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57/140

57.ポップコーン


正直キッツいな〜。

そんな臭いセリフが飛び交う恋愛映画だった。


夏休みという事もあるけど、公開からしばらく経っていたようで、シアター内は4割程度の人しかいなかった。


久しぶりの映画館で見る映画は、それでも楽しくて、予告編は面白そうな映画のオンパレードだった。


上映前に買ったポップコーンを食べきれるか心配で、それを言ったら遥さんは笑っていた。


着席してからポップコーンを夢中で食べてたけれど、映画が始まると、自分の食べてる音がうるさいんじゃないかって、気になった。


隣に遥さんがいるから。


口で溶かしながら食べる方法を編み出して、音を立てないようにポップコーンを食べた。左手で、食べていた。


映画は本当にありがちな、そんな恋愛映画で、見てるこっちが恥ずかしくなった。


遥さんはどう思って、観ているんだろう。


俺からすれば、この人は大人で、魅力的だ。そういう、大人の女性って、こういう恋愛映画、好きなのかな?


それでもやっぱり、女の子だから、好きなのかな?


そういったことばかりが、気になっていた訳なんだけど、段々とそうもいかなくなっていた。ポップコーンの油分のついた左手を拭きたい。でも、拭けない。それには理由があった。


キッカケがどうだったか、分からないんだけども・・・







俺と遥さんは手を繋いでいた。






俺の右手は、遥さんの左手が触れていた。

繋ぐ?って表現が的確かは分からないけど、俺の右手の上に遥さんの左手が乗っかっていて、優しく俺の手を握っていた。


俺はそれを拒否しなかった。

遥さんも緊張していたのか分からないけど、なんだか少し湿っていた。


それ以上に俺の手のひらは、汗だくだった。





キツくてありがちな恋愛映画の中身など



全くもって頭に入っていなかった。






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