56.恋愛映画
歩きながら事前に上映時間と作品を調べ
俺はアクション映画、遥さんは恋愛映画を提案し
ジャンケンで負けた訳で、不本意ながら恋愛映画を観ることになった。
少し時間があり、待合室のような場所に座って
遥さんと会話をする。
「なんかさー?元気ない?」
遥さんが会話の流れを切って俺に問いかけてきた。
「えっ?そんな事ないですけど」
「映画、行きたくなかった?」
「そ!そんな事ないですよ」
「それならいいけど」
「なんか、すみません」
「ほら、悩みとかあるならさ、話したい時に話してよ」
「はい・・・」
悩んでいるのか、俺?
いや、きっと悩んでいるに違いない。
ユキちゃんの事・・・
魔女の事もあるけど、
あの日俺はユキちゃんを泣かせてしまった。
それだけで胸が痛かった。
さらに現実的な事を言えば
これからバイトは続いていくわけだし
それはそれで、気まずい。
そういった胸の痛みも伴っていた。
「ま、ぱぁっと!映画を観て、気晴らししよー」
「ありがとうございます」
と、その時。
「あれ?遥さん?」
目の前に現れたのは、夏美さんだった。
遥さん!?
「あっ、なっつー、久しぶり。ソラサイ以来だね」フランクな物言いの遥さん。
「あれ?1年、なんでここに?」俺を見て言う夏美さん。
「それはこっちの台詞というか・・・」状況を理解出来ない俺。
3人で状況を整理すると、簡単なことだった。
夏美さんと俺はお隣同士。
遥さんと俺は同じサークル。
夏美さんと遥さんは1年前に学園祭の実行委員で一緒になった事のある仲らしい。
聞いてみれば然程仲が良さそうでは無い。
なんだか敢えて距離を立ってるような、そんな距離感の2人。女子ってコワイ。
というか、学祭の実行委員なんてあるんだ。
そういう出会いもありかなあ・・・
「えっ、遥さん?もしかしてこれデートですか?付き合ってるとか?」
夏美さんが唐突にそんな事を言い出す。目を丸くしている。
見れば見る程、ギャルだな。この人は。
「そうかもしれないよぉ〜?」
にやけながら、遥さんが言う。
俺は胸の高まりと、緊張と、恥ずかしさで一気に体温が上昇した。
「それじゃ、邪魔しちゃうと悪いから〜」
バイビーのポーズでその場を去る夏美さん。
去っていったその先には、
男がいた。




