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53/140

53.魔女説


里山さんはドリンクを飲みながら

答えた。


「何度も言うけど、ストーカーじゃない」

「じゃあどうしてユキちゃんを」

「彼女が昔、魔女ヶ崎に住んでいたからだ」

「それだけの理由で?」

「ぼ、僕はね、ユキちゃんとキャバクラで同伴出勤した事があるんだぞっ!!!」と里山さん。


里山さんは、何故か自慢するような顔で語る。

同時に俺もショックだ。

なんだ、ああ、ユキちゃんは別に俺だけを頼りにしていた訳じゃない。

ただ、金が欲しかったのか。

俺じゃなくても、良かったのか。


「ど、同伴出勤が何か関係あるんですか?」

「その時、聞いたんだ、ユキちゃんの両親がある理由で魔女ヶ崎を追放されたって・・・」


それは俺も聞いていた。


「何かあるに違いないだろう?」

里山さんはドリンクを飲み干した。




確かにそうだ。

順序を逆にしてて考えてみれば

自然現象とは考えにくい円形隆起が起きて

その円の中心が魔女ヶ崎で

魔女ヶ崎には昔ユキちゃんが

住んでいて・・・

そのユキちゃんの両親が

何かの理由で追放されて・・・




「魔女の一族・・・の可能性があるって事ですか?」

昔、里山さんが言っていた。

魔女ヶ崎には昔、魔女の一族が住んでいたと。


「否定は出来ない」

「魔女の一族は、他にもいるんですか?」

「それを探しているんだよ。必死に」


里山さん曰く、魔女ヶ崎には昔からの一軒家が多くあり

それに疑いをかければ魔女候補はたくさんいるのだと言う。

しかし、里山さんが提唱する魔女伝説とやらは江戸時代ぐらいまで遡れるらしく

その時の流れのなかで一族が残っている可能性は少ないとの事だ。


そう言うわけで、微かな望みを託し

ユキちゃんのストーカー行為を行っていたらしい。


更には俺がこれまでの経緯(いきさつ)を話したので

里山さんの中のユキちゃん魔女説が重みを増しているようだ。



「手掛かりが、少ないですね」

「そうだね。だけど、魔女は確かにいるよ。君の話を聞いてより確信した。人生を賭けて、追い求めてきた意味があったよ」



ユキちゃんが魔女?



それだけ分かればいい。

俺はあの子に近づかなければ

それだけでいいはずだ。



あの子と、キスをしなければいい。

ただそれだけだ。

恋愛の対象から外せばいい。



そんな事を考えながら、

頭の中は昨日の高揚感と後悔で渦巻いていた。





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