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50.心臓の音


コンビニの廃棄やカップラーメンが散乱し

居間には小型のテレビとテーブル

テーブルには丸い鏡を中心に化粧道具が乱雑に置いてある。

汚いのに、部屋の中は化粧品と芳香剤の混じった

いわゆるオンナの匂いが充満していた。


キッチンの長い蛇口からポタポタと流れた雫が

ポタポタ・・・そして音がもうひとつ。


心臓の音、バクバク。


俺はユキちゃんからみてストーカーを退治し

家まで送るよと自然な流れでユキちゃんの部屋にいた。


「ありがとう」

「うん。大丈夫、もうストーカーは来ないよ」

「どんな人だった?」

「うーん、暗くてよく見えなかったけど、髭が生えてて、メガネをかけてたよ」

俺は適当な犯人像を作り上げた。


「遠くから、聞こえたよ」

「え?」

「私に手を出すなって、言ってくれたでしょ?」

「あっ、ああ、あれね!」

なぜか恥ずかしくなる俺。


「ありがとう」

「うん・・・」


なんだ、この空気感。


静まる部屋。

ユキちゃんが、ジリジリと近づいている。


ユキちゃん、今は昼のユキちゃんですか?

コンビニの、バイトの・・・それとも

夜のユキちゃんですか?

キャバクラ嬢の、妖艶な・・・


あどけなく、そしてエロティックな顔が近付いてくる。





「いいよ」





心臓が破裂しそうだ。

顔と顔が近づく、


そして、ふと、過ぎる。

さっきの、不安要素。


そして、いつしかの〝救済の魔女〟の言葉を思い出す。


ー貴方は、好きになってはならない人と近づいてしまった。


ーキスとまではいかないけど、心の距離が近づくほど、破滅の魔女は禁忌という力を得る。



もし、ユキちゃんが破滅の魔女で、



もし、ここでキスをしたら?



また、円形隆起でも起きるのか?



もっと、酷いことが起きるのか?



本当に、世界が滅びるのか?







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