44.歯痒いシチュエーション
あれは1ヶ月ぐらい前か。
ビアガーデンでバイトした初日。
真琴に出会った。
珍しく会話が盛り上がったな。
そこからなぜか連絡先交換をして
アイツとバイトが一緒の時は実は嬉しかった。
それだけだ、それだけの事。
狩屋との会話でふと、好意がある事を
自分でも気づいてしまったけど
何かが違う。
なんだろう、なにが違うんだろう。
とりあえず告白はしない。
合宿14日目の夜。
明後日、オートマ組はうまくいけば卒業だ。
つまり狩屋は明日の夜に告白するらしい。
狩屋に言っておかなきゃ。
「狩屋、ごめん、俺は明日告白はしない」
「わかったー。俺は告白するぜー」
「うまくいくといいな」
「お前もさー、真琴ちゃんに告白しちゃえよー。付き合えばヤれるんだぞ」
「やめとくよ」
そうだ。
アダルトな事をしたい気持ちは山々だが
別にその為に付き合うわけじゃない。
告白しない理由は2つある。
ひとつは、そういう付き合いをすれば、
クソ親父みたいになって、俺みたいな奴が生まれる。そういうのは、ナシだ。
「ちょっと散歩してくるよ」
意味もなくセンチメンタルな気分になった俺は外へ出る。
もう気がつけば日付を超えていて、合宿所を飛び出して意味もなく歩く。
「なんだよ、俺も連れて行けよなー」
正直ひとりになりたかったのだが、狩屋がついてきた。
そして、呼び出そうということで茂木も遅れて到着する。
3人で、どうでもいい話をして盛り上がる。
何故こんなところにあるのか?と公務員に聞きたくなるような、何もない、規模も小さい、
謎の公園に俺たちはいた。
男3人、夜の公園。
気持ち悪いような、でもちょっと憧れていたようなそんや歯痒いシチュエーションだ。
「改めて言うけどさー、俺さー、明日、愛生さんに告白するわー」
「頑張れ」俺。
「だね」茂木。
狩屋とは知らぬ間に仲良くなった。
でも、何故か、どこかで
狩屋の告白が失敗する事を望む俺がいた。
あのデカ女に告白しない理由のもうひとつだ。




