4.カラマーゾフの兄弟
大学1年生の春は忙しい。
基礎教育を必要な単位だけ取るように
授業を選ばなければならないのだ。
俺は友人第一号の茂木と
外国語の授業をどれにするか、悩んでいた。
フランス、ドイツ、ハングル、ロシア、中国語。
俺的にはどれでもいい。
ただ、茂木を友達にしたからには
目的がある。
「・・・な、なぁ、お前の知り合いとか、何語受けるんだろうな?
ほら、高校時代の友達とか、いないのか?」
そう、あの子!愛生さんと!
お近づきになりたいわけだ!
「う〜ん」
なんだか、歯切れの悪い茂木。
「ほら、この前!説明会の日にいた、あの子とか!」
「・・・聞いてどうするの?」
「もしかしたら、なんか良い情報あるかもしれないじゃん!」
「ないでしょ。学びたいのを学ぼうじゃないか」
あれっ、茂木くん。
まさか、いや、そのまさかに違いない。
俺は茂木くんがあの10点ガール愛生さんと同じ学校出身だから、という不埒な理由で友達になったけど・・・
茂木くん、って、愛生さんと接点ほとんど無いカンジ・・・?
「も、茂木くんて、愛生の連絡先とか知らないの?」
「知らないといえば、そうなるかなー」
ん?
知らないといえば、そうなるかなー?
いや、知らねーだけじゃねーか!
「ちょうど今、〝カラマーゾフの兄弟〟っていうロシア文学を読んでたんだ。ロシアにしよう」と茂木。
「なんだよその兄弟」
「複雑な兄弟なんだよ」
「ロシア語ってめちゃくちゃ難しそうじゃねーか?」
「確かに」
「じゃあ、ドイツ語だな!」
翌日、
ドイツ語の授業に愛生さんがいた!




