24.自宅アパート
5月の朝焼は美しくもない。
モヤがかかっていて、濁っている感じの朝だ。
眠気を保ちながら母の運転で駅を目指す。
バイトがあるので、連休の中頃だけど
俺は帰る。自分の今の居場所に帰る。
「次いつ帰るの」
母が問う。
「う〜ん、夏?」
「アンタも彼女でも連れてきたら?」
「なぁっ、何言ってんだよ」
「ま、気軽に帰って来なさいよ」
その言葉を聞きながら、車を降りる。
「じゃあ、また」
鈍行電車で3時間。
そしてバスに揺られて降りて、そこから歩いて、俺による俺の為の城、自宅アパートにたどり着いた。
ガチャリ。
隣の部屋の扉が開く。
なぁっ!夏美さんだ!
今日もまたギャル風味な先輩女子!
「よっ、1年生」
「こんにちは」
「実家から帰ってきたの?」
「はい」
「いいね~親孝行」
なんだか今日の夏美さんは気さくに話しかけてくれる。
「こ、これから、お出かけですか?」
俺は他愛もない会話を投げかけてみる。
「うん。バイト」
「頑張ってください」
「君バイトしてんの?」
髪を揺らしながら問いかけるギャル夏美。
「コンビニで」
「あっそ。私のバイト先さ~、人足りなくて、困ってんだよね〜」
「何のバイトを?」
「乗り捨てレンタカーの配車」
ノリステレンタカーのハイシャ?
なんじゃそりゃ。
「ってゆーか、君、あれか。免許ないもんね」
「無いです」
「ざんね〜ん、そんじゃ、時間なのでバイバーイ」
「お!お気をつけて」
夏美さんは、バイビー、みたいなポーズを取って去って行った。
そして自宅に帰った俺は
夏美さんとの会話を思い出し
ああすれば良かったとか
こうすべきだったとか
そういう事を考えていた。
・・・免許って、運転免許の事か。
そっか、取ろうかな、運転免許。




