21.見慣れたアパート
【chapter.02】 不可解な出来事 (全13話)
そこそこの荷物を拵えて、
アパートを出る。
鍵をかける。
ガチャリ・・・
隣の部屋の扉は開かない。
ちょっと期待する俺がいた。
出てこないかな、夏美さん。
アパートから歩いて10分。
バス停留所で待つ事5分。
市営バスに揺られる。
意外にも座席から見える街の景色は新鮮だ。
少し目線が異なる。
そうして最寄駅に到着した。
そこから新幹線・・・に乗る金が無い!
先日、知らぬ間にキャバクラで使い果たしていたのだ!
いや、これも健気なロリキャバ嬢ユキちゃんの為だ!
そういうわけで鈍行電車を乗り継ぎすること3時間。
懐かしい駅に到着し、そこから連絡を取り
母親が迎えにくる。
相変わらずの黒の軽自動車。
助手席に乗りシートベルトを着用する。
整わない茶髪と薄化粧、昔から着てるブランドもののTシャツを着た痩せた女。母親。マイルドヤンキーとでもいうのだろうか。
それにしてもタバコ臭い車内だ。
「楽しい?」
「何が?」
「大学生活」
「まだ1ヵ月だよ」
「1ヵ月もあれば、分かるでしょ」
「分からないでしょ」
苦笑する俺。
相変わらずの母親だ。
点数は付けないが、たぶん低い。
男に逃げられるレベルの女。
俺からすればそういう事だ。
駅から車で5分。
段々と懐かしい景色が見えてくる。
「えっ!ここ!コンビニ出来たの!?」
「アンタが大学行く前からあったでしょ」
「無いよ!」
「ホントー?」
「疑ってどうするんだよ」
「そうね」
「いやぁ〜、懐かしいなぁ〜」
「え?大学行って1ヵ月でしょ?」
「でも懐かしいよ」
「そんなもんなの?」
「そんなもんでしょ」
見慣れたアパートにたどり着く。
「ただいま」
俺、帰省!




