2.友達第一号
「君ぃ!いいバイクだね!それ!」
説明会が終わり、今日は解散だ。
俺は知らぬ間にこの冴えない男と大教室を後にして歩く仲になっていた。
出身県が一緒という事で湧いた妙な親近感で知らぬ間にお近づきになっていた。
これはその友達第一号というやつなのか?
いやいや、まて!
こんな冴えない男と友達でいいのか!?
そういう訳で駐輪場にいる。
「原付だよこれ」
俺は愛車のズーマーを駐輪場から引きずり出し
跨いで座って、エンジンをかける。
「乗せてよ」
「免許が必要な自転車なんだよ」
半ヘル装着の俺。
こんなやつ、さっさと撒いて、帰ろう。
バイト探しに自炊、大学一年生の春は忙しいのだ。
「じゃ、また」
そう思って逃げようとすると、
どこかの人の群れから
10点の女が走ってくる。
走り方が乙女だ。
乙女はこの子の為の言葉だ!
「茂木っち〜!久しぶり!」
「愛生さん!卒業式ぶりですね!」
数秒で、俺は理解するー
この冴えない男の名前は茂木!
そして10点のゆるふわボブカットの名前は
愛生さん!
おそらく、学校が一緒だ!
つまり俺とも同郷!
少しの間を置いて、愛生さんが俺をみる。
「いいバイクだね」
「こ、これは!原付と言いまして!」
久しぶりに喋ったな。女子と。
1オクターブ上がる声。
震えてるのがバレてやしないか、心配だった。
「ふふ、知ってた」
遠くから、愛生さんを呼ぶ女子の声。
それに反応して、元いた集団に戻る愛生さん。
「またね」
その時間、1分もなかったように思える。
再び、2人は残される。
「あ、あのさ、茂木くん」
「なんだい?」
「・・・アドレス、教えてよ」
コイツを手掛かりに、あの10点の女と
お近づきになれるぞ!
大学生活、友達第一号!
茂木くん!
よろしく!




