16.定員
状況整理だ。
巨乳美女の遥さん。
そして俺。
ふたりは麻雀サークルに所属していて
今日も人が集まらないからと
花見をする為にキャンパスを歩いていた。
そんな最高の場面において
ドイツ語の授業で俺が話しかけた男
文学部魚顔の2点チャラ男が現れたのだ。
「麻雀サークル、入部希望で!」
そして今、コイツは軽々しく入部を
希望してきた!
「う〜ん、定員越しちゃったんだよね」
と遥さん。え?定員なんてあるの?
「えっ・・・?」
「じゃ、またね」
行くよ、と俺を促し、遥さんと俺は
その場を後にし、桜の捜索を再開した。
文学部の魚顔は、意外にもメンタルが弱いのか
なにかを察したのか、粘ることなく
その場を離れた。
「は、遥さん、麻雀サークルって定員あるんですか?」
俺は歩きながら素朴な疑問を投げかける。
「無いよ」
「えっ?」
「あのコ、私の顔を見ながら喋ったから」
「ん?」
顔を見ながら喋ると
サークルに入れないのか?
「多分ね、あのコ、私の身体目当てだよ」
なっ!
思いがけない言葉が遥さんから出てくる。
リアクションを取りづらい。
「か、身体目当てなら、その・・・」
「普通は私のおっぱいを見るよ。でも逆に
下心を隠そうとして、〝敢えて顔を見てる〟の」
あえて、顔を見る。
なんとなく分からなくも無い。
俺は何故かその時
遥さんが何歳も年上に見えた。
「ま、ほら、麻雀って、相手の表情を読んだりするから、
そういうのなんとなく分かるの」
「・・・す、凄いです」
「でも、君は私のおっぱい見過ぎ!」
「えーっ!いやっ!違いますよ!」
顔が真っ赤になる俺。
笑う遥さん。
遠くに、ピンクの桜の木が見える。
最近出来た理学部のビル陰に隠れて
成長が遅かったようだ。
「意外と早く見つかったね」
ひらりひらりと、俺は恋に落ちていた。




