125.ガチャ
物覚えも悪く、土地勘も無い俺がユキちゃんの住むボロアパートに着いたのは8時頃だった。
それでも街は暗くて、なのに8時だから街灯は消えていて、外は本当に闇のようだった。
急いで来てみたものの、よくよく考えたら遥さんはユキちゃんの住所は知らないはずだ。
焦る必要も無かったのかもしれない。
ユキちゃんの部屋のチャイムを鳴らす。
ガチャ
扉が開く。
ーえっ?
「あれ?」
現れたのは、
夏美さんだった。
「・・・どうして」
「ごめんねー、私も修道女なのよー」
夏美さんは軽々しく口を開いた。
「い、妹は?」
「安心してよ、何もしてないから」
俺は夏美さんの事など御構い無しに、うまくすり抜けて、部屋の中に入る。
散らかった部屋に
震えながら体育座りをする妹がいた。
「どうして、こんな事・・・」
「じゃあ、逆に聞かせてよねー。〝どうして、朝が来ないの?〟って」
「破滅の魔女の仕業なんです!」
「それが君の妹さんじゃないのかなー?」
夏美さんの口調は相変わらずギャルだ。
この状況を飲み込めている自分がいる。
やはり、遥さんと夏美さんは繋がっていたのだ。昨日のソラサイ、あのテロみたいな毒霧の噴射。
「信じてください。魔女には、救済の魔女と、破滅の魔女っていうのがいて・・・」
「うんうん、遥から聞いてたよ」
「それで、妹は救済の魔女で・・・」
「うんうん、聞いた」
「破滅の魔女の事は、分からないんです!」
「それも聞いてた。でもさぁー、昨日の今日でこれ。タイミング悪過ぎない?」
「たまたまっ!たまたまですよ!」
「キューサイの魔女だろうと、こういうヤバい魔法使えるんじゃないの?」
「そ、それは、分かりません!」
俺だって、分からない事だらけだ。
昨日の学園祭で、俺が距離を近付けた人間のうち誰かが破滅の魔女で、この不可解な現象を起こしているとして、そうなれば全く見当がつかない。
分からないのに、夏美さんの質問責めを受けている。
逃げ出したい・・・




