113.お前かよ
「なぁ、暇すぎないか?」
「俺もそれを言おうと思っていた」
ユキちゃんが持ち場を離れてから
30分が経過した。
誰も俺らに話しかける事なく、テーブルのパンフレットを取っては去っていく。
同時に、俺はユキちゃんと遥さんが接触していないか、不安になっていた。
・・・すまん、茂木!
「ちょっとトイレ行ってくるよ」
俺はそう言って持ち場を離れた。
賑わうキャンパスを歩く。
不安だ。
たぶん、こういう時の不安ってのは
的中しない。杞憂に終わるものだ。
それでも、不安だ。
なんだかんだで、やっぱり
妹なんだ。
いま、どこにいるんだ。
こんなキャンパスがいつもより広く感じる。
仮屋の手伝いだから、
たぶん、イベントのある場所かもしれない。
イベント会場に向かう。
午前中はミスコン、午後はアイドルのライブだったはずだ。
ユキちゃん!ユキちゃん!
どこにいるんだ!
ユキ!
「あれ?何してたの?」
振り向く俺。
目の前に現れたのは真琴だった。
「お前かよ」
「何よ、悪いの?」
「ち、違う」
「何してたの?」
「この学祭のボランティアスタッフなんだよ」
「誰か探してたの?」
「ま、まぁね」
「ふ〜ん。じゃ」
あれ?あんまり構ってくれないの?
って、それより今はユキちゃんだ!
イベント会場の裏手、スタッフが待機するテントを覗く。
いない。
近くの講義棟に入る。
スタッフのジャンパーを着た人間が数人いる。
この建物も実行委員の準備室が数室あるようだ。
ーどこだ、ユキちゃん、
俺は、窓が布で隠された扉の前に立つ。
なぜ、わざわざ布で隠す!?
まさか、遥さんが・・・
ここで、魔女狩りを!?
俺は、扉を勢い良く開いた。
ーおい!お前!何やってんだよ!
遠くから、スタッフらしき人間の声が聞こえる。
その勢いで部屋に入る。
「・・・・えっ?」
お菓子を食べている女の子がひとり。




