110.ポスターを支えている間
11月の中ごろ。
何度か持っていこうと思っては忘れていた、ソラサイのポスターを持って俺はバイト先のコンビニに向かう。
熊のような猫背の店長にポスター掲示を尋ねたところ、許可を貰った。
「大学生の青春って感じでイイねぇ〜」
店長がポスターを貼る俺を見ながら言う。
「別に、頼まれごとですから」
セロハンテープを使って窓にポスターを貼るのだが、意外にも水平に何かを貼り付けるってムズカシイ。
もたとたしてると、ユキちゃんが現れた。
「不器用さんですねぇ、手伝いますよぉ」
俺がポスターを支えている間に、ユキちゃんがセロハンテープを貼る。剥がしやすいように両端が折り返されていた。
「いいなぁ〜、学園祭って」
ユキちゃんがふと、こんな事を漏らす。
そもそも、この子は、俺の事を
どう思っているのだろう。
ー恨んでたり、したりして。
考えてみればそうだ。
互いにクソ男の遺伝子で産まれた訳だが
俺は母子家庭で、ユキちゃんは両親と別れてくらした。
そして、今がある。
俺は大学生で、ユキちゃんは、フリーターで、昼はコンビニ、夜はキャバクラの二重生活。
金の為に。
そんな人生の不公平感を、感じない訳がない。
「ゆ、ユキちゃんも来なよ」
「えーっ!?でも一緒に行く人もいないから無理〜!でも行ってみたいなぁ〜」
「俺と行く?って、ああ、俺は当日ボランティアだから無理だ」
「じゃあ、ボランティアに混ぜてくださいよー!」
なるほど。
確かにボランティアなら参加できるか。
仮屋に聞いてみよう。ボランティアは在校生だけが対象なのかと。
「わ、分かった!聞いてみる!」
(お願いね、おにーちゃん)
ユキちゃんがささやく。
お兄ちゃん。




