109.カメラ小僧
その写真には、俺と遥さんがレンタカーでドライブデートをしている姿が写されていた。
見覚えのある風景で、絵空市内の道路の信号待ちで撮られていた。うまい具合に光の反射で遥さんの顔が隠れている。横断歩道を渡る人々も写っていた。
結構、距離が近いのに俺はなぜ気付かなかったのだろう。いいや、緊張していたから無理もないか。
「なっ!」俺はたじろぐ。
「これは、本当にたまたま、君を見かけて撮ってしまったものだ」
「盗撮ですか?」
「違う。カメラ小僧なりの、職業病のようなもので・・・」
「里山さん、信用してたのに・・・」
「違うんだ。だから、その、謝罪の意味と、写真を返す為に君を呼び出した・・・それに話には続きがある」
「えっ?」
「正直にいうと、僕は君が助手席に乗せている女性が魔女ではないかと、そう、疑ってしまって・・・君たちの車のナンバーを控えて、〝わ〟ナンバーだったから、その、レンタカーって分かって、エソラレンタカーで君達の帰りを待った。そして、その女性を尾行した」
本来なら、怒り狂って、その場で里山さんを殴っても構わなかっただろう。こんなにも気持ち悪い男がいるものか。
しかし、この会話からすれば、里山さんと遥さんの繋がりは無いように思える。
それに、里山さんは遥さんを尾行して・・・
何か手掛かりを掴んだのだろうか。
「び、尾行して?」
「水鉄砲を取り出して、試し打ちしていた。良い大人の女性が」
み、水鉄砲!?
「な、なんですか、それは?」
「何というか、撃つ練習をしていた」
お茶目な一面もあるのか?
遥さんは・・・?
あ、いや違う。
その水鉄砲の中身はおそらく・・・
毒。
「あ、怪しくないですか!?それ!」
ーそうだ。この人を利用すれば良い。
俺は里山さんに引き続き尾行をお願いする事にした。
妹を、守らなくちゃ。




