103.毒
そこから帰りまでの間、
俺と遥さんの会話は少なかった。
帰り道の車中は、ラジオがずっと流れていた。
あ、でも、聞いておかなくちゃならない事がある。
「遥さん」
「ん?」
「そもそも、このデートって、その、あの日、映画館で手を繋いで、その答えを教えてくれるデートだって、言ってましたよね?」
「そうだね」
そうだ、まだ、夏の暑い日。
映画館に行って、恋愛映画を観て、遥さんが手を繋いできて・・・
「手を繋いだ理由って何ですか?」
「ごめんね。貴方が鍵だから、繋いだの」
「単純な、デートじゃなかったんですね」
「うん」
「俺を、騙したって事ですか」
「でも好意もあるよ」
「えっ?」
「えっ?って、私だって、女の子だよ?」
ドッ、ドッキーーーン!!!!
何を考えているんだ俺は!?
この人は娘を殺すかもしれない、
危険な人物だというのに。
この人から好意を伝えられた瞬間・・・しかもなんか急に女の子だよ?ってカワイイ発言されたから・・・
意味分からない感情のまま俺はドキマギしてしまった!
「ま、まぁ、そうですよね、」
「最初に言ったじゃない。今日は魔女の事忘れて、デートしよ?って」
「ま、まぁ・・・」
それにしても、新たに疑問が浮かぶ。
俺は質問を続ける。
「そもそも、どうして、俺が、その、鍵って分かるんですか?」
「それは教えられない」
「えっ?」
「でも、映画館で手を繋いだ時に、貴方が鍵である事は確認した」
「は?」
「実はね、申し訳ないけど、貴方にあの時、魔女を殺す為の毒をほんの少しだけ塗って触ったの」
「魔女を殺す、毒?」
「魔女だけに反応する毒。貴方の手は、少しだけ赤みがかっていた。反応したのよ。リトマス紙のような物なの。真っ青になれば間違いなく魔女。人間なら無反応。鍵には試した事が無いけど、赤らんだ」
「そ、それは!緊張で!」
「数週間、赤くなってたはずだよ。その手、薄らと・・・あっ、絵空市に突入しちゃうね。この話は終わり!」
手が赤い・・・思い出せない・・・




