102.乱反射
そもそも、デートなのか?
これって、仕組まれた罠だったりして。
レストランで昼食を取る間も、
水族館に入ってからも
俺は〝魔女狩り〟と言う言葉と
〝殺す〟というシンプルな言葉が持つ
その恐怖を感じていた。
大きなガラス張りの水槽の近くへ
遥さんが駆けていく。
ただでさえ綺麗な女性は
デートの為にさらに可愛くなり
水槽から銀の水面のランダムな光が乱反射し、青の背景の遥さんをゆらぎの光が照らす。
どうしてこんなに、綺麗なんだ。
もしかしたら、妹を殺すかもしれない
そんな、人なんだぞ・・・
何を話せばいいのだろうか。俺は。
でも、探りを入れるしか出来ない。
どうしてこうなるんだよ。
せっかくちょっといいな人だなって
そう思ったのに、それでいて、破滅の魔女じゃないって分かったのに。
「さっきの話って本当なんですか?」
「魔女狩りの話?」
「はい・・・」
「うん。本当」
「どうして俺にそんな事を?」
「貴方が鍵だから」
「その、キーってのは?」
「キーが魔女と接触し、何かしらの条件を起こすと、魔力が蓄積される。魔女は魔力を貯める。貯めて、我慢出来なくなると、魔法が使われる」
「魔法・・・」
「もう、分かってると思うけど、円形隆起が起きたのも、雪が降ったのも、魔女の仕業。だから、貴方は何となく、察しているものがあるはず。魔女の存在を・・・」
水槽を、大きな魚が横切る。
「本当に、もし、魔女がいたとしたら、遥さんは、、、、殺すんですか?」
「うん」
「そんな話、にわかに信じ難いです」
「貴方は何故、私の魔女狩りや、殺す事に固執してるの?もしかして、貴方は魔女の見当がついていて、それは貴方にとって大切な人だから、焦ってるの?」
恐ろしい。
この人こそが魔女に見えてくる。
魔性の女、そんな感覚。
いかにしても、バレてはならない。




