10.里山さん
ウキウキしながらバイト先のコンビニに来たのだが
今日のバイトはユキちゃんがいない。
ガッカリだ。
俺はコンビニで店長と先輩にあたる
里山さん(42歳)と3人で店番をしていた。
人手不足とは言うものの、
どうやら俺が働くこのコンビニは
売上は中の下、客の数も少ないらしい。
本来ならもっと人がいても良いらしいのだが
基本は2人で店を回すと言うのだ。
とはいえ、暇な時間はあまり無い。
色々と教えてもらいながら、
世間話が出来るようになったのは
バイト終了1時間前だった。
「大学生かぁ〜羨ましいなァ」
里山さんが俺に話しかけてきた。
「まだ始まって1週間ちょっとですよ」
今のところ、羨ましいと思える事は
麻雀サークルで巨乳を拝められる
それだけだ。
それにしても、その、まぁ、なんだ
世の中は仕事はどれも素晴らしいのだが
里山さんはなぜ、齢42にして
コンビニのバイトなんてしてるんだ?
いやぁ、失礼だよな。
流石にストレートに聞くのはなぁ。。。
「僕はねぇ。大学は中退したんですよ」
聞いても無いのに語り出す里山さん。
「夢を追いかけてね、記者になる為に」
「はぁ。。。」
「魔女は実在するんだよね。それを追い続けた。」
何を言ってるんだ、このオッサンは。
呆れたもんだ。
「その夢を追う為に若い人生を積み重ねて、
今があるわけですよ」
里山さんは、自慢したいのか自虐したいのか
よくわからない人だ。
俺は話を膨らませるために
単純に質問を投げてみる。
「結局、魔女って実在するんですか?」
「いるんだねー。これが。しかもこの地域には元々魔女の一族が住んでいたらしい」
う、胡散臭すぎる!
なんとも馬鹿げた話だ。
魔女、だなんて。
客が来て、そこで話は途切れた。




