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勇者たちはというと・・・

時は少しさかのぼる。


洋平以外の勇者はどうしていたかというお話。


彼らは異世界に転生されてかららというもの、日々、訓練に明け暮れていた。

訓練はそれなりに辛く厳しいものではあったが、3食豪華な食事がつき、一人一人豪華な個室が与えられ、欲しいものはメイドに伝えれば手配してもらえるという、割と至れり尽くせりな環境だった。


訓練も基本的には朝9時から夕方3時までで、それ以降は自由タイムだ。町に繰り出してもいいし、王宮でのんびりしていてもいい。


洋平とは天と地ほどもある境遇差。


ちなみに、日々の訓練は次第にレベルアップしていった。最初は武器の扱いやスキル、魔法の使い方を騎士団から懇切丁寧に指導を受ける。


それがひと段落すると、王都近辺で魔獣を狩る訓練をした。さすがに生き物を殺すのだから抵抗を持つ勇者もいたが、全員がその経験を得るに至った。


最初は騎士団が捕らえて瀕死の状態にした魔獣を寄ってたかってなぶり殺しにする。


それがひと段落して生き物を殺すことに抵抗がなくなったら次は生きのいい魔獣を集団で狩猟する。


そして全員すっかりそれにもなれて今では王都周辺の魔獣程度なら単独で狩猟できるまでになっていた。


すっかり生き物を殺すことに快感を得るようになっていた勇者たちは魔獣の狩猟を嬉々として行ったていた。それは洋平のように生きるために狩猟するのではなく、殺すという快楽を得るための狩猟だ。


そして、今は何をしているかといえば・・・


魔獣ではなく、この世界では亜人と呼ばれる種族の狩猟・・・であった。


亜人というのは、主な種族ではゴブリン、コボルト、オーク、オーガ、ドワーフ、エルフ、獣人といった種族で、ドワーフ、エルフ、獣人に至っては人間と同じ言葉を話せるのだ。



今、勇者たちのうち4人の前には丸太に縛り付けられたゴブリンの姿があった。

これから自分の身に起こることを察してか、震えている。


彼は勇者には伝わらない言葉で必死に語り掛けていた。


『なぜこんな残酷なことをするんだ!?俺たちが一体何をしたというのか!?』


「あぁ?なんて言ってるのか全然わかんねー」

「きゃははっ。きっと命乞いしてるんだよー。たすけてーって言ってるんじゃない?」

「ゴブリンって、なんて醜いのかしら・・・」

「うへぇ~、さっさと殺して終わらせようぜ・・・」


上から順に


・本田晴人。

185センチという高い身長に筋肉隆々の肉体。元々不良で素行が悪く、元の世界でもよくトラブルを起こしていた生徒だ。

【鬼神化】という強力なスキルを持ち、スキルを発動すると肉体能力が全て5倍になるというチート性能だ。


・佐野愛羅

テンションがやたらと高く、お調子者の性格。異世界に来てちやほやされるようになってか、お調子者な性格に拍車がかかった。クラスで一番狩猟を楽しんでいるのは彼女かもしれない。

【爆裂】というスキルを持つ。彼女がスキルを発動させた状態で触れたものは破裂する。


・吉田聡美

度の強い眼鏡に狐のような細い目をしており、何とも性格が悪そうな顔立ちである。性格は潔癖症かつやたら美意識が高い。ぶっちゃけ、彼女に「醜い」と言われるゴブリンに同情を抱いてしまう。

【眼力】というスキルを持っており、所謂テレキネシスのようなもので、目でとらえた対象を操作することができる。


・石田純平

面倒くさがりな性格かつ、インドア派。血を見るのも嫌い。なので魔獣や亜人の狩猟は苦手。

【必中の的】というスキルをもっており、マーキングした対象に向けて放った遠距離攻撃は必ず命中する。



こんな連中である。



「はぁ、こんなやつにスキル使うのも面倒だな!じゃ、いつもの通りなぶり殺しってのでいいよな?」

「賛成~」

「「さっさとやれ」」

「ったく、吉田に石田よぉ?ちょっとは協力しろや。」


そういって、本田は素手でゴブリンの顔を殴る。


『ぐほぉ』


「じゃあ、次は私~。私はスキル使うね♪」


佐野はスキルでゴブリンの腕に振れた


ぼふっ


『うぎゃぁぁぁ』


何とゴブリンの腕は内部から爆発してもげてしまう。


「あははっ、もろーい。」


佐野は手をぱちぱちさせて上機嫌に笑う。


「はぁ・・・」


とため息をつきつつも、吉田はスキルを発動させて、片足を操り、360度ひねる。


『ぶぎゅ?も、もうやめてくれぇぇぇ』


ゴブリンの相手に伝わらない絶叫があたりに響く。


「もう終わりにするね?じゃあね、ばいばい」


石田はそういうと、胸元からナイフを取り出し、スキルでゴブリンの頭にマーキングし、ナイフを投擲する。


ズブッ


『ぐふっ』


ゴブリンは石田の一撃で絶命した。彼はまだ運がよかったかもしれない。何故なら、ここにはほかにも勇者がいて、それと同じく様々な亜人種がなぶり殺しの目にあっているのだから。


「どっ・・・どうしてこんなひどいことを・・・」


別の場所ではよろよろと弱ったドワーフが勇者に懇願の眼を向けていた。


「ぎゃはははは!魔王を倒すための生贄だぁ!勇者に殺されるなんてありがたいことなんだぜっ?」


「こっ、こんな者達が勇者だなんて・・・」


と口にしたのはエルフの美しい女性。それを女の勇者たちが囲んでいる。


「ほんっと、エルフだけは許せないわね~」

「だよねー。なにこいつ、自分が奇麗とかおもってるのかな?ちょっと改造してやろうよ。」

「あ、賛成~とりあえず、髪を抜いちゃおうよ」

「じゃあ、私はこのでかい胸を切り落としちゃうわ」


まさに勇者達の訓練場はこの世の地獄と言えるおぞましい世界だった。そこで嬉々として楽しみながら日々殺人を楽しむ勇者たち。


彼らはすっかり王国に洗脳されていた。「勇者とは何人にも負けぬ強者を言うのです!」と王女や騎士から毎日言われ続け、魔獣や亜人を殺せば褒めたたえられる。


すっかり元の世界での倫理観は消え去り、訓練とは名ばかりのスキル・魔法を使っただけの殺戮に興じるただの快楽殺人者たちがそこにいた。

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