この世界の初めての仲間
「あ、はいぃぃ。ぜひ一緒に連れて行ってくださいぃ!」
は?
ちょっと軽くね?いや、ちょっとどころではないわ。
あなた一応この国の貴族だよね?そう言ったよね?
それが見ず知らずの異世界の人間に「一緒に脱獄しようぜ?」って言われてのこのこついてくるものか?
・・・まぁ、誘ったのは俺なんだが。
そうすると、今度は「本当に彼女を誘ってよかったのか?」という疑念がわいてくる。いくら俺が欲しいものを彼女が持っていたとしても、彼女のこの軽さはいずれ命取りにならないか?と。
だが、一方で、彼女に声をかけられてそれに俺が反応した時点で詰んでる、ということに気づいた。
仮に彼女を置いていき、俺一人で脱獄したところで、「兵士さん~お隣さんから急に声が聞こえなくなりましたぁ。ちょっと様子を見ていただけませんかぁ?」なんて言われたら速攻で脱獄がばれる。
そのリスクをなくすには、もう一緒に連れていくか口封じするしか方法がないのだ。
ああ、もう一つあったな。彼女に独房に残ってもらい、俺が脱獄したことは極力黙っていてもらうという手もあるにはある。だが、それを彼女が実行してくれると俺が信じられるかはまた別問題だ。というか普通は信じられん。なぜなら彼女にメリットがない。
「あのぉ?和田さん~?どうして黙っちゃうんですかぁぁぁ?」
いかん、長考しすぎたようだ。
「あ、はいはい、すみません。ちょっと考え事してました。」
「ところで、意味わかってます?一緒に独房を出るということは、はっきり言えば脱獄ですよ?国から追われますよ?分かってますよね?」
俺は彼女の理解度を確認する。
「勿論わかってますよぉ。私だって少しは考えてるんですよぉ?ここにいてもいつ出られるかわからないし、もしかしたら死ぬまでここにいるかもしれないじゃないですかぁ。だったら、生きられる可能性にかけてみようかなぁって、そう思ったんですぅ。」
「・・・確実にこの国から出ていくことになります。確かノベルさんは貴族でしたよね?あと図書館の司書だった。その地位もお仕事も失いますよ?」
「もういいんですぅ。あの王女様に睨まれたらもうおしまいですよぉ・・・」
まぁ、俺もそんな気はするんだよなぁ。あのアリア王女の腹黒さはなかなかのものだ。
敵に回したら最後、相手が死に絶えるまで容赦はしなさそう。
だから、仲間になるか無関係でいるかを貫き通す必要があった。まぁ、もう無理だけど。
というわけで、腹をくくりなおして?彼女と一緒に脱獄することにした。
「ふぅ。わかりました。じゃあ、一緒に脱獄しましょう。プランは----」
「その前に」
と、ノベルさんが話を中断させた。
「もう私たち一連托生ですよねぇ?」
「ああ、そうなりますね。」
「だったら、私のことはノベルと呼んでくださいぃ。」
ああ、そいういうことか。
「分かりました。じゃあ俺のことも洋平って呼んでください。」
「洋平さんですねぇ?ああ、それと敬語も禁止ですぅ。」
「わかり、、いや、わかった。ノベル、よろしくな。」
「洋平さん、こちらこそよろしくお願いしますぅ。」
この世界の初めての仲間。それは脱獄犯の文学少女?だった。(あ、文学ではないか)




