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1.4

気づけば、ポーチのベンチから五人ほどの男たちが立ち上がり、皆同じ星付きの帽子をかぶって、我めがけて駆け出してきていた。


「ま、待て、これは何かの間違いだ!我は――」


我は身を翻して逃げようとしたが、中年の男二人に両腕を掴まれた。


「どこにも行かせねえぞ!地獄へ帰れ、悪魔め!」


「違う!離せ!これは全部間違いだ、我は悪魔なんかじゃない、くそ、ただ適当な単語を並べていただけだ!」


だが無駄だった。二人の握力は、一人の若者が振りほどけるものではなかった。


仕方なく、我はポリスに投降した。


いや……そうではない。


我はいつでも逃げ出すことができたのだ。人間二人分の力など、我には及びもつかぬ。奴らなど、羽根のように軽い存在に我を押さえつけられているようなものだった。逃げようと思えば、ただ走り去ればよかったのだ。


だが、我は哀れみを覚えた。この哀れな中年の男二人は、自分たちが善行を行っている、王国から悪魔を排除しているのだと信じ込んでいるのだから。


もし真実が違うと――我が地獄の存在どころか、まったくの正反対であると知れば、彼らの顔に浮かぶ失望は、致命的とすら言えるものになるだろう。泣き崩れ、「ただの」若者をルシファーの息子だと思い込んだ罪悪感を、残りの人生ずっと背負い続けることになる……それは彼らの記憶に、永遠に刻み込まれてしまうに違いない。その恥辱を。


ゆえに、哀れみから我は身を委ねた。抵抗はしなかった。ただ静かに運命を受け入れ、手錠を我が手首に掛けさせてやり、怒りに満ちた彼らの視線には、丁寧な微笑みを返してやった。王たる者は慈悲深くあるべきだ。


そう、それが真実だ。そして我は、自らの涙に溺れる鶏のごとく叫んだりなど、断じてしていない。そんなことは起きていない。


五分が経過した。今、我は待っている。


牢屋の中ではない。少なくとも、今のところは。だが、我が既にいたあのバーの中――保安官の助手が我を裁くために到着するまでの間、待たされている小さな寝室だ。


狭く、木製のベッドと、ちぐはぐで雑然とした家具が置かれている。懐に余裕のない者向けの、安っぽい部屋のひとつだ。


外には三人のポリスが見張りに立っている――帽子の先端だけがかろうじて見える。まるで貴重な何かがこの部屋にあるかのように、警護しているのだ。実際、その通りではある……ただし、それは悪魔などではない。


そして内側にいるのは、無論、この我だ――ベッドに腰掛け、手錠をかけられたまま、待っている。


だが……もうひとつ、何かがある。我を深く苛立たせる、何かが。


「一体全体、なぜ貴様らはここまで我についてきたのだ!?」


我の両脇には二人の男が腰掛け、腕を組み、怒りと嫌悪の入り混じった目で我を睨みつけていた。


「何でだと思う?お前が逃げねえよう見張ってんだよ!」


「このドアのすぐ外に見張りがいるだろうが。それはあいつらの仕事だ。貴様ら二人がここにいる意味などない!」


まったく……新世界に来てまだ三十分だというのに、我は既に投獄されかけている。


だが、我は恐れてはいない。


無論、我は悪魔ではないと証明してみせる。何しろ……本当にそうではないのだからな。そうすればポリスも、我を解放するはずだ。


唯一の問題は、我についての記録が存在しないことかもしれないが、遥か遠方から来た異国の者だとでも言っておけば済むだろう。それなら、我の服装や言葉が違うことの説明にもなる。


異世界転生ものの主人公たちが、決して「我は異世界から来た」などと言わない理由が、我にはようやく分かった気がする。


い、いや「分かった」ではなく、「学んだ」というのが正しい言葉だ。我は、下級神になりかけている上級人間とでも言うべき存在であり、そのためには、いま少し賢くなる必要があるだけなのだ。そして人は、学ぶことによって賢くなるものなのだから。


いや、実のところ我は、既に下級神であり、中級神になりかけているのかもしれんな……


だが、我が心に重くのしかかるものがある。論理的に考えれば、我が悪魔ではないと証明された暁には、こやつらは重い処罰を受けることになるだろう。


無論だ。何もないところからポリスを動員したのだから、罰を受けて当然だろう。愚か者どもめ。


だが、こやつらはあまりにも純朴で、貧しい……毎日飢えに苦しんでいるであろう、無邪気な心の持ち主たちなのだ。


王たる者は慈悲深くあるべきだ。


「おい、お前たち」


「何だ?」


「あのな、ここから出て行け。我は本当に悪魔などではないのだ、ポリスが来れば、貴様らは罰金を払うことになるぞ。逃げろ、た、たの……お、お願――た、頼む」


自らを貶める言葉すら、我が利益のために戦略的に用いてやったのだ!


「知ってるよ」


「……あ?」


「ああ、お前が悪魔じゃねえってことくらい、知ってるさ」


「いつから知っていた!?」


「お前が自分を解放するのに、魔力を一切使わなかった時からだよ」


ああ、なるほど、筋が通っている……


「では、これは一体何の茶番だ?」


「俺たちが逮捕されたいからだよ」


我は二人の方を向いた。どちらも満面の笑みを浮かべていた。


「俺たちはただの農民でよ、一月前に洪水で作物が全滅して、このでかい街レニスブルクに移ってきたんだ。だが仕事なんてろくに見つからねえ」


「一体全体、なぜ逮捕されたいなどと思うのだ?」


「牢屋に入れば、飯も水も服もタダで手に入る。俺たちにゃ、それだけあれば十分なんだよ」


それ以上の言葉は不要だった。すべてを語り尽くしていた。


極度の貧困は、絶望的な行動を生む。


何とも……信じがたい。本当に信じがたい話だ……


それは――


こやつらが、あまりにも愚かだということが。


「それだけでは逮捕されんぞ」


……


「何?」


「当然だろう?誰かを犯罪者だと思い込んだくらいで、逮捕などされん。せいぜい、軽い罰金を払わされるだけだ」


「……あ……」


二人はゆっくりと顔を見合わせ、ごくりと唾を飲み込んだ。


「ぎゃあああ!くそったれ!」


二人は勢いよく立ち上がり、部屋中を駆け回り始めた。


「全部無駄だったってことかよ!!」


一人が、そこに転がっていた台所包丁を掴んだ。


「早く、こいつを殺して逮捕されねえと!」


「や、やめろ!我を殺せば逮捕じゃなく処刑されるだけだぞ!」


包丁が床に落ち、音を立てた。


二人は逃げることを考えた。罰金など払えば、状況はさらに悪化するだけだ。


だが、既に手遅れだった。


ドアが勢いよく開け放たれた。


「よしよしも!!」


現れたのは小さな少女だった。背丈は我のへそにも届かぬほど小柄だ。長いピンクの髪に、青い瞳、そして思わずこちらまで浮き立ちそうになるほどの興奮ぶり。白い手袋、少なくとも二回りは大きすぎるベージュのチュニック、そして何より目を引くのは、星のついた大きな帽子だった。


我の全財産を賭けてもいい。この子は絶対に12歳を超えていない。


だが、星……?まさか……


「こんにちは、みなさーん!~わたしの名前はララ、この事件を裁くのはわたしだも!~」


少女は歩くというより、楽しげに跳ねるような足取りで我に近づいてきた。一方、大人の男二人は部屋の隅で身をすくめていた。


「あ、あなたが被告人ね!はじめましてだも」


少女は帽子を脱いでお辞儀をした。長い髪がさらに露わになる。


「いい子にしてたら、今すぐ帰してあげるも~ふふ、わたし、ポリスとして優しすぎるんだも!」


少女は、あの大きくて可愛らしい笑みを浮かべたまま、我の目をじっと見つめた。


「さ、何か言いたいことあるも?そんなに難しいことじゃないも~わたしに優しくしてくれたら、あなたなんて存在しなかったことにしてあげるも!だって悪魔なんて、そもそも存在しないんだも~」


我は一瞬の躊躇いもなかった。


「なぜ保安官は、助手にロリを選んだのだ?」


「死刑だも!」

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