第2話 指名手配書の作画が強烈な件に関して
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「――おいおい、誰だよこれ。俺、こんなにゴリラ系男子じゃないぞ?」
城の壁をぶち抜いて華麗に(※本人の主観)脱出してから数日。
俺は人間が立ち入らないはずの『黒の原生林』の入り口付近で、近くの街道沿いにある掲示板を木の上から眺めていた。
そこに貼り出されていたのは、出来たてホヤホヤの【全世界指名手配書】。
国を挙げて大急ぎで作ったのだろう。だが、パニック状態で絵師に発注したせいか、そこに描かれた俺の
顔はモヒカンのザコ敵と、激怒した野生のゴリラ、日本昔話の鬼、西洋の悪魔を足して二で割ったような、ものすごい劇画風の『化け物』になっていた。
手配書の下には、仰々しい文字でこう書かれている。
【大罪人:未確認の破壊者】
罪状:国家転覆未遂、および神聖なる城郭の破壊。
特徴:魔力ゼロを偽装する邪悪な古代魔法の使い手。極めて凶暴。
生死を問わず。見つけ次第、ただちに国家騎士団、または最寄りのギルドへ連絡せよ。
「魔力ゼロを偽装って……普通にゼロだったじゃん。あと邪悪な古代魔法って何だよ。空気をちょっと握っただけだっつの」
まあ、これだけ作画崩壊していれば、俺が普通に街を歩いていても絶対に本人だとバレないだろう。ある意味ラッキーである。
「グルルルル……ッ!」
手配書にツッコミを入れていると、背後の草むらが大きく揺れた。
現れたのは、この森の生態系の頂点に君臨すると言われる、体長五メートル超の『キングベア』だ。筋骨隆々の巨体に、すべてを切り裂く鉄の爪。人間なら一国を挙げて討伐隊を組むレベルの魔獣である。
「オオオオオン!」
キングベアが地響きのような咆哮をあげ、太い腕を振り下ろしてくる。
「うわ、危なっ! ……いや、待てよ?」
俺はその丸太のような腕を見て、ふと思いついた。
こっちの世界に来てから、まともなまともな食事がなくて、そして異世界っぽい魔法とかが使えなくて、ちょっと退屈していたところだった。
「オオオォォン!!!」
「 なになに、魔法の実験体になってくれるの?!ありがとう!!」
こいつの耳は、都合のいい言葉が聞こえてくるように改造がされているのか? ここで言えることは、キングベアは、そんなことは言っていないということだ。
「よーし。今回は、詠唱してみるか!なんかそれっぽいこと。なんかいい枝ないかな…あった!!」
ここで、駆が拾ったのは、まぎれもないただの枝である。
「よーしお前は、今日から魔法の杖だ。よろしくな!!」
「ほんじゃ…なんか…火!火の魔法やってみようっと~ えっと詠唱は…あ!! 火炎攻撃!!!ひゅーひょいいっと」
ピョイ…
ドカ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ン
魔法の杖(枝)から放たれた火がキングベアに直撃して、なんやかんやで大爆発を起こした。
「おぉ~すげぇこの魔法の杖。これからもよろしく相棒!でも…あのクマの肉…なくなっちゃった…まあいっか~」
「もう一発今度は空に向かって…」
杖を空に向けて
「火炎攻撃…花火!!…ヒューどっかーん!!!」
ピョイ
ヒュー―――
ドカ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ン
杖から放たれた火が空へ空へと上昇し、爆発を起こした。
「おぉ~なんかいい感じ~今度は、夜にやってみよーっと」
駆は、森の中へと歩いて行った。
一方その頃――。
壊されたお城では、予備の戦力(俺)を失い、城は、壊され、兵士は士気が下がりで、人手不足に陥った国家が、イケメン勇者を「お前しかいないんだ!」と毎日のように魔王軍の迎撃へこき使っていた。
「アイツ……あのゴリラ魔法使い……! 絶対に許さない、僕のホワイトな異世界ハーレム計画を返しやがれぇえええ!」
目の下にどす黒いクマを作ったイケメン勇者が、血涙を流しながら残業(魔物討伐)に明け暮れているとは、この時の俺は知る由もなかった。
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