↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生貴族の三男だけど、前世の知識で帝国を買い取ります  作者: ニートは34歳まで
第二章 辺境開拓編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/61

第四十八話 大商会の営業


 フェルン村の入口。

 そこには三台の荷馬車が止まっていた。

 赤蛇商会の紋章が大きく描かれている。


「本当に来ましたな……」


 オルド村長が顔をしかめる。

 その気持ちは分かる。

 数日前までは見向きもしなかった大商会だ。

 それが急に現れた。

 警戒するのも当然だった。


「失礼します」


 馬車から降りてきたのは、身なりの良い男だった。

 三十代前半ほど。

 笑顔は柔らかい。

 だが目はよく動いている。

 かなり慣れている。


「赤蛇商会のエドガーと申します」


 男は周囲を見回す。

 そして。

 アルノルトを見つけて少しだけ眉を動かした。


「これは驚いた」


「アルノルト様までいらっしゃるとは」


「偶然だよ」


「本日は?」


 オルド村長が聞く。

 するとエドガーは笑顔で羊皮紙を取り出した。


「提案です」


 やはり営業だった。


「フェルン村へ農具を無償貸与します」


 オルドが目を見開く。


「無償?」


「ええ」


「さらに種子の提供」


「収穫物の買い取り保証」


「輸送費の一部負担」


 かなり良い条件だった。

 周囲の村人たちもざわつき始める。


「すごいな」


 ベルマンが小声で呟く。

 確かに凄い。

 普通なら断る理由がない。

 だが。


(利益はどこだ?)


 アルノルトはそこを考える。

 大商会は慈善事業をしない。

 必ず見返りがある。


「条件は?」


 オルド村長が慎重に聞いた。

 エドガーは笑顔を崩さない。


「収穫物の優先販売権だけです」


 その瞬間。

 アルノルトは少し笑った。


(そこか)


 優先販売権。

 一見すると小さい。

 だが実際は違う。

 流通を握られる。

 価格決定権も握られる。

 長期的には依存状態になる。


「どう思いますかな?」


 オルド村長が小声で聞いてきた。

 完全に判断を委ねるつもりはないらしい。

 だが意見は欲しい。


「悪い条件ではないよ」


 アルノルトは正直に答えた。

 オルドが驚く。

 エドガーも少し意外そうだった。


「ただし」


 アルノルトは続ける。


「何を渡して、何を得るのかは理解した方がいい」


 オルドが真剣な顔になる。


「どういう意味です?」


「農具を借りる」


「種をもらう」


「買い取り保証もある」


「でも代わりに販売先を固定する」


 それだけだ。

 契約としては普通。

 問題は。

 理解して契約するか。

 理解せず契約するか。

 そこだった。

 エドガーが初めて少し笑った。


「さすがですね」


「何が?」


「反対しない」


 アルノルトも笑う。


「商売だからね」


 相手の商品が悪いわけではない。

 むしろ優秀だ。

 だから競争相手になる。


「侯爵家の方なのに、意外です」


「意外?」


「普通は邪魔をします」


 それはそうかもしれない。

 だが。

 アルノルトは首を振った。


「選ぶのは村だよ」


 自分ではない。

 オルドでもない。

 最終的には村全体が決めることだ。

 その時だった。

 オルドが腕を組んだまま口を開く。


「なら、一つ聞いてもよろしいですかな」


 エドガーが頷く。


「もちろん」


「赤蛇商会と契約した場合」


「我々の村は十年後、どうなっていますかな?」


 その場の空気が変わった。

 アルノルトは少しだけ笑った。


(良い質問だ)


 契約とは。

 今日の利益だけではない。

 未来を選ぶことでもあるのだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。