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転生貴族の三男だけど、前世の知識で帝国を買い取ります  作者: ニートは34歳まで
第二章 辺境開拓編

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第四十一話 “信用” で戦え


 赤蛇商会がラウル村へ来てから、三日後。


「……始まりましたね」


 ミレナが嫌そうに呟いた。

 場所はアルノルト商会の倉庫。

 机の上には、周辺市場の価格表が並んでいる。


「塩、銀貨一枚値下げ」


「保存食も三割近く下がっています」


 ベルマンが青ざめた。


「さ、三割!?」


 かなり大きい。

 普通なら利益が飛ぶレベルだ。


「赤蛇商会?」


「ほぼ確実です」


 ミレナがため息を吐く。


「典型的な価格潰しですね」


(やっぱり来たか)


 前世でも何度も見た。

 巨大資本が新規参入者を潰す時の定番。

 赤字覚悟の安売り。

 体力勝負。

 小さい側から死ぬ。


「侯爵の坊ちゃん」


 ダンが腕を組む。


「どうする?」


「価格を合わせる?」


「無理です」


 ミレナが即答した。


「資本量が違いすぎる」


 赤蛇商会は大商会。

 数ヶ月赤字でも耐えられる。

 だがアルノルト商会はまだ小さい。

 同じ土俵で戦えば負ける。


「アルノルト様……」


 リリアが不安そうだった。


「やっぱり大商会って怖いですね……」


「怖いよ」


 アルノルトは素直に頷く。

 だが。


(だからって勝てないわけじゃない)


 重要なのは、相手の強い場所で戦わないこと。


「ミレナさん」


「はい」


「赤蛇商会って、何が強い?」


「資本力と物流量です」


「つまり大量輸送型?」


「ええ」


 アルノルトは少し笑った。


(なら逆だな)


 前世でもそうだった。

 大企業は大量流通が強い。

 だが逆に、

•小回り

•地域密着

•細かい調整

は弱い。


「価格競争はしない」


 空気が止まった。


「え?」


 ベルマンが固まる。


「でも値下げされていますよ!?」


「だからって付き合ったら負ける」


 価格戦争は体力勝負だ。

 資本量で負けている側がやることじゃない。


「じゃあどうするんですか?」


 リリアが聞く。


「価値で勝つ」


「価値?」


「うん」


 アルノルトは価格表を指差した。


「赤蛇商会、安いけど配送不安定なんだよね」


 ミレナが少し驚いた顔をする。


「……気づいていましたか」


「定期輸送じゃない」


「大商会側物流を流しているだけでしょ?」


「その通りです」


 つまり赤蛇商会は、

•安い

•でも不安定

 一方。

 アルノルト商会は、

•定期輸送

•共同護衛

•北部特化

 つまり。


(“止まらない”が価値になる)


 前世でも物流業界はそうだった。

 多少高くても、

•安定供給

•納期厳守

•品切れしない

会社が最終的に勝つ。


「侯爵の坊ちゃん」


 ダンがニヤリと笑う。


「つまり?」


「定期契約を増やす」


 アルノルトは即答した。


「村単位で契約取る」


「冬までの固定供給契約」


「あと保存食予約」


 ミレナの目が変わった。


「……なるほど」


「価格じゃなく、“安心”を売るんですね」


「そう」


 北部は不安定だ。

 だからこそ、

“届く”

こと自体が価値になる。

【ユニークスキル《企業経営》が発動】

【《定期供給契約》を認識】

【価格競争耐性が上昇】

【アルノルト商会の市場安定性が向上】


(よし)


 アルノルトは静かに笑った。

 大商会が価格で来るなら。

 こちらは、“信用”で戦えばいい。


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!


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