↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生貴族の三男だけど、前世の知識で帝国を買い取ります  作者: ニートは34歳まで
第二章 辺境開拓編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/61

第十九話 まずは“道”

 

 ラウル村へ到着した翌朝。

 アルノルトは、村の外周を歩いていた。

 空気は冷たい。

 北部特有の乾いた風が吹き、遠くには雪の残る山々が見える。


「寒いです……」


 リリアが肩を縮こませた。


「まだ秋なんだけどね」


「北部おかしいですよぉ……」


 帝都より明らかに寒い。

 これでは冬になれば物流が止まるのも当然だった。

 だがアルノルトは別のものを見ていた。


(道が酷すぎる)


 村へ続く街道。

 いや、“元街道”と言った方が近い。

 地面はえぐれ、ぬかるみ、ところどころ崩れている。

 馬車の車輪跡が深く沈み、そのまま固まっていた。


「ベルマン」


「は、はい!」


 代官ベルマンが慌てて駆け寄る。


「これ、最後に整備したのいつ?」


「ええと……三年前ほどかと……」


「三年」


 アルノルトは思わず遠い目になった。


(終わってる)


 前世日本なら苦情案件だ。

 物流会社がブチ切れるレベル。


「予算不足でして……」


「まあ、そうなるよね」


 ベルマンが悪いわけではない。

 そもそも利益が出ない。

 利益が出ないから税収が少ない。

 税収が少ないから道を直せない。

 結果、さらに物流が死ぬ。

 典型的な衰退ループだった。


「アルノルト様」


 リリアが不思議そうに聞く。


「やっぱり共同輸送をやるんですか?」


「やる」


 即答だった。


「でも、その前に必要なものがある」


「必要なもの?」


 アルノルトは足元を指差した。


「道」


 物流の基本。

 それは輸送手段より先に、インフラだ。

 どれだけ優秀な馬車があっても、道が死んでいれば意味がない。


「まずは街道整備をする」


 ベルマンが絶句した。


「む、無理です!」


「即答だね」


「人手も金も足りません!」


 まあ当然の反応だ。

 道の整備は重労働。

 しかも長距離。

 辺境村単独では維持できない。

 だがアルノルトは冷静だった。


(全部を直す必要はない)


 重要なのは。


(物流の要所だけ)


 前世でもそうだった。

 物流網は、

“全部を最高品質にする”

必要はない。

 重要地点を押さえるだけで、効率は激変する。


「ベルマン」


「は、はい」


「荷馬車が特によくハマる場所ってある?」


「……あります」


「そこだけ直そう」


 ベルマンが目を瞬かせた。


「全部ではなく?」


「全部は無理」


 即答だった。


「でも、通行不能地点だけ潰せば物流はかなり改善する」


 前世のボトルネック理論。

 全体ではなく、詰まりを解消する。

 それだけで流れは変わる。


「あと」


 アルノルトは周囲を見回す。


「石は?」


「え?」


「街道補強用」


「あ、ありますが……近くの川辺に」


「よし」


 アルノルトは少し笑った。


「まずは簡易舗装から始めよう」


 ベルマンとリリアが揃って固まる。


「ほそう?」


「道へ石を敷くんだよ」


「そ、そんなことできるんですか?」


「できる」


 というか前世では普通だった。

 舗装。

 排水。

 物流。

 全部繋がっている。


【ユニークスキル《企業経営》が発動】

【《インフラ整備》を認識】

【北部街道改善計画を開始】

【推定物流効率:12% → 27%】


(上がり方エグいな)


 まだ何もしていない。

 それなのに、改善幅が大きい。

 つまり。


(今が酷すぎる)


 アルノルトは少し笑ってしまった。

 だが悪くない。

 むしろ好きだ。

 改善余地が大きいほど、利益も大きいのだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。