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転生貴族の三男だけど、前世の知識で帝国を買い取ります  作者: ニートは34歳まで
第一章 帝都物流革命編

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第十一話 商会を作ろう

 帝都へ戻った翌日。

 灰狼商会の倉庫は、朝から妙な熱気に包まれていた。


「次の共同輸送、いつだ!?」


「俺も参加したい!」


「護衛費が半分近く違うって本当か!?」


 商人たちが押し寄せている。

 しかも昨日参加していない連中まで来ていた。


(情報回るの早いな)


 アルノルトは少し驚く。

 だが考えてみれば当然だった。

 この世界の商人は、皆輸送コストに苦しんでいる。

 つまり共同輸送は、それだけ衝撃だったのだ。


「坊ちゃん」


 ガルドが呆れたように笑う。


「お前、南区ひっくり返したぞ」


「まだ始まったばかりだよ」


「怖ぇこと言うなぁ……」


 だがガルドは楽しそうだった。

 実際、灰狼商会の利益も増えている。

 護衛依頼。

 管理料。

 物流量。

 全部が増加していた。

 つまり共同輸送は、灰狼商会にとっても得だった。


「問題はここからだな」


 アルノルトは倉庫を見渡した。

 人が増えすぎている。

 今のままでは管理しきれない。


(そろそろ必要か)


「ガルド」


「あ?」


「受付作ろう」


「……受付?」


「参加希望を整理する場所」


 ガルドが眉をひそめる。

 アルノルトは指を立てた。


「今は全部口頭でしょ?」


「まあな」


「それだと混乱する」


 誰が参加するのか。

 何を運ぶのか。

 いつ出発するのか。

 全部曖昧。

 つまり規模が大きくなるほど破綻する。


「だから窓口を作る」


「……ほぉ」


「参加登録」


「積荷確認」


「料金計算」


「全部まとめて管理する」


 前世なら当たり前。

 だが、この世界では珍しい。


「つまり“組織化”だよ」


 ガルドが腕を組む。


「面倒が増えそうだな」


「でも儲かる」


「それ大好きだ」


 即答だった。

 アルノルトは苦笑する。

 本当に話が早い。


「あと、もう一つ」


「あ?」


「共同輸送専用の名前を作る」


「名前?」


「ブランド」


 その瞬間、ガルドが露骨に嫌そうな顔をした。


「……また知らねぇ言葉出てきたな」


「簡単に言うと、“信用の看板”」


 アルノルトは周囲を指差した。


「今後、共同輸送が増えたら、似たことを始める商会も出る」


「まあ出るだろうな」


「だから区別する」


 これは灰狼商会の輸送。

 安全。

 安い。

 信頼できる。

 そう認識させる。

 つまり。


(名前そのものに価値を持たせる)


 前世企業がやっていたことだ。


「名前か……」


 ガルドが少し考え込む。


「坊ちゃん、何かあるのか?」


「ある」


 アルノルトは迷わず答えた。


「“灰狼共同輸送”」


 一瞬静まり返る。

 次の瞬間。


「……そのまんまだな」


 ガルドが真顔で言った。


「分かりやすいでしょ」


「嫌いじゃねぇ」


 むしろ気に入ったらしい。


【ユニークスキル《企業経営》が発動】

【新概念:《ブランド》を構築】

【灰狼共同輸送の認知度が上昇】

【成功率:81% → 89%】


(おお、成功率がかなり上がった)


 どうやら正解らしい。

 その時だった。


「アルノルト様!」


 リリアが慌てて駆け込んできた。


「大変です!」


「どうしたの?」


「侯爵家から使者が来ています!」


 空気が止まる。

 ガルドが目を細めた。


「……坊ちゃんの実家か」


「しかも」


 リリアが言いづらそうに続ける。


「旦那様が、“すぐ戻れ”と……」


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!


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