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居るわけの無い人の声に驚き振り返る。
「なんで、ここにいるの?」
そこに居たのはお母さんや村の人達、ミルダさん、ゼビオおじさんもいた。
無断で夜の森に入った事を怒っているようでもなく、感情の読めない表情で立っていた。
「…モリス、ありがとう」そう言ってお母さんはモリスの肩を優しく撫でた。
「お母さんもみんなも変だよ!」
自分だけが異質のように感じる。
「…あなたに話す時が来た……私達は昔に命が尽きて
いるの……争いが激しい時代に私達は生きていた」
「ねぇ、やめて!」
お母さんの話を遮るように叫ぶ。それでもお母さんはやめない。
「そんな時代でも救いはあったの、女神様が私達を導
いてくれていた。でも一部の人間達が誤った判断し
て女神様を傷付けてしまった…深い愛を与えて下さ
ってた分その時の絶望感は計り知れないわ」
「……お願い…もう聞きたくないよ……」
悲しみが込み上げる。
「私達の死が…女神様を消滅にまで追い込んでしまっ
た…」
当時を思い出しながら話しているせいかお母さんの目に涙が溜まる。
「そんな時制約の男神様が何とか消滅を防ごうとされ
たんだけど力を消耗されていたから女神様の魂を生
まれ変わらせる事しか出来なかったの。」
「制約の男神は女神の生まれ変わりの側にいる人間を
死者から選び生まれ変わりが現れるのを待った」
ゼビオおじさんが静かにそう言った。
「そして制約の男神は力尽きる前に自分の魂を移した
んだ」
モリスは目を細めながらじっと見ている。
「長い…長い時を過ごした。いつ生まれ変わりが現れ
るか分からない状態で死者のはずの私達は生かされ
た。最初は罰を受けているのかとすら思った」
ミルダさんは少し笑って言った。
「罰のような時間を過ごしていたある日、星が流れ
たんだ」
「まさにこの場所で煌めく星、スノーを見つけたの」
目眩がする。アタシの知らない情報ばかり…
「女神の生まれ変わりが困らぬように見守るのが私達
の使命」
「永遠とも思える時間かついに終わる…」
「あなたは女神の生まれ変わり…そして星が動き出し
た」
村人達が次々に言う。
「…アタシが…女神様の生まれ変わりだったとしてみ
んなずっと一緒にいてくれるんだよね?」
「終わる」という言葉が別れを意味している事を分かった上でアタシは問いかけた。
「……あなたの力が発現しなかったらそのままだった
かもしれない」
お母さんが静かに言う。
「でも、運命は動き出した。あなたの力はいずれ沢山
の人を救うでしょう」
いつの間にか辺りは明るくなっている。そしてみんなの周りに光る粒子が纏わりつく。
「長い時間縛られてはいたがスノーと過ごした時間は
穏やかだった」
「いつか別れる事が分かとていたの、でも…それが思
っていたよりも早かった」
「お母さん…みんな…」
「これをあなたに受け取って欲しいの」
「?これは…!」
アタシに綺麗な指輪を渡してお母さんは満足そうに言った。
「これは元々はあなたの物よ…あなたがここに現れた
時に持っていたの」
朝日に照らされてその指輪は光り輝いていた。
「…アタシ1人になるの?」
「…私達が見守っているわ、それにあなたは1人じゃ
ない」
「言ったろ?男神は最後の力で魂を移したんだ」
「?」
「あのビルにな」
「?!ウソっ!」
「本当さ、今はあの姿でも俺達が役目を終えればある
程度力が戻られる」
モリスとゼビオおじさんに説明されてビルを見る。
(まさか、ビルが…)
ビルは微動だにせずにこちらを見ていた。
朝日に照らされさらに光る指輪と光の粒子が纏わりつきぼやけていく村人達。終わりの時だ。
「…スノー、ありがとう。みんなあなたのお陰で笑っ
て逝けるわ」
「……」
最後なのに言葉が出ない。
「なぁ、笑ってくれよ。スノーは笑った顔がよく似合
う」
モリスはいつもの様子で最後ではないかのように言う。もう見えなくなりそうだ。
「…あ、ありがとう!アタシを育ててくれて、見守っ
てくれて!」
泣きながら叫ぶ。消えかけた人達に声がちゃんと届くように。
「あなたのこれからは、楽しい事ばかりではないでし
ょう、でも諦めないで、前を向いて歩き続ける
の!あなたはアタシの子ども、スノーだから!愛し
てる!ずっと愛してるわ、だからさよならは言わな
いね…またねスノー」
「っ…アタシも愛してる!アタシのお母さん…ま
た、またね」
眩い光に目を閉じた。




