第4話「もう一度、友達に」
十歳になったからといって一人で村の外へ出ていいわけではない。
ましてアカメは少し前、父との約束を破ってそのそばを離れ、一人で森の奥へ入り込み、《森狼》に殺されかけたばかりだ。
「アカメ」
「……何?」
「どこへ行くの?」
「父さんのところ」
裁縫の手を止めた母が、椅子に座ったままアカメを見る。
「森じゃないでしょうね?」
「行かないよ」
「本当に?」
「本当」
「一人で?」
「父さんのところへ行くんだから、着いたら一人じゃなくなるよ」
「そういう話じゃありません」
「……はい」
信用がない。完全に自業自得なので、こればかりは何も言い返せなかった。
今日は本当に森へ行くつもりはない。家の裏へ回ると、父が狩りに使う道具を並べ、一つずつ状態を確かめているところだった。弓、矢、革の鞄、縄。その隣には、いつも腰に差している短剣が置かれている。
父は短剣を持ち上げると、柄を握って軽く力を込めた。すると、ごく小さな軋みが聞こえた。
「やっぱり駄目だな」
「壊れたの?」
「まだ使えないわけじゃない。ただ、このまま森へ持っていくのは危ない」
見せてもらうと、柄と刃の接合部分がほんのわずかに緩んでいた。言われなければ気づかない程度だ。
「これくらいでも?」
「狩りの最中に外れたら、その『これくらい』で死ぬかもしれないからな」
いかにも父らしい答えだった。
「新しいの買うの?」
「いや、ガルドに直してもらう」
「ガルド?」
「村の鍛冶屋だ。俺の幼馴染でもある」
鍛冶屋という言葉を聞いた瞬間、アカメの中に自然と興味が湧いた。
「俺も行く」
「何でそんなに嬉しそうなんだ?」
「鍛冶場、見てみたい」
「面白いものじゃないぞ」
「俺には面白いかもしれないでしょ」
前世でも本物の鍛冶場なんて見たことがない。それも異世界の鍛冶場となれば、剣や槍だって作っているかもしれない。ゲームなら武器屋に入るだけでも少し楽しかったのだから、実物を見られるなら行きたいに決まっている。
父はしばらくアカメの顔を見てから、小さく息を吐いた。
「邪魔するなよ」
「分かってる」
「炉には絶対近づくな」
「分かってるって」
「森の時も『分かってる』って顔をしてたからな」
「……まだ言うの?」
「一生言うかもしれん」
「長いよ」
父は笑いながら短剣を鞘へ戻した。
どうやら一度失った信用を取り戻すには、かなりの時間が必要らしい。
―✧―◇―✧―
村の鍛冶場は、中央の通りから少し外れた場所にあった。
建物が見えるより先に、その存在は音で分かった。カン、カン、と一定の間隔で金属を叩く音が響き、近づくにつれてそれが大きくなる。さらに歩けば、まだ外にいるというのに肌へじんわりと熱が伝わってきた。
父が慣れた様子で扉を開ける。
「ガルド、いるか?」
「いるぞ! 勝手に入れ!」
奥から腹に響くような声が返ってきた。
中へ入った瞬間、最初に目を奪われたのは炉の火だった。赤々と燃え上がる炎の中心は黄色に近く、そのそばには大きな金床が置かれている。壁には大小様々な金槌や鋏が掛けられ、棚には鉄の塊、木材、革、それに何に使うのか分からない素材まで所狭しと並んでいた。
剣や槍、斧もある。ただ、それ以上に多かったのは鍬や鎌、鍋、扉の金具、荷車の部品といった生活道具だった。
「すごい……」
「武器だけ作ってるわけじゃないぞ」
剣ばかり見ていたアカメに気づき、父が苦笑する。
「村じゃ壊れた物があれば、大抵ここへ持ってくる」
「じゃあ何でも直せるの?」
「何でもは無理だ!」
答えたのは父ではなかった。
炉の奥から、一人の男が姿を現す。父より一回り大きな身体に、丸太のように太い腕。袖を肘までまくり上げ、額には汗が浮かんでいる。その姿だけで、鍛冶場の主だと分かるような男だった。
「何でも直せるなんて言ったら、村中から無茶な物を持ち込まれるだろうが」
「今さらじゃないか?」
「ロンド、お前まで言うな」
この男がガルド・グランツ。父の幼馴染で、リュネ村の鍛冶場を営んでいるらしい。
父は腰から短剣を外し、慣れた様子でガルドへ渡した。
「柄が緩んだ」
「見れば分かる」
「直るか?」
「見れば分かるって言ってるだろ」
「で、直るのか?」
「直る」
妙に遠慮のない会話だった。
幼馴染だと説明されるより、今のやり取りを見た方がずっと分かりやすい。
ガルドは短剣を手の中で返しながら接合部分を確認し、次に刃へ目を走らせた。
「刃も少し鈍ってる。ついでに研いどくぞ」
「頼む」
「最近、使い方が荒くないか?」
「《森狼》を相手にした」
「またか?」
「今回はちょっと事情があってな」
父の視線がアカメへ向いた瞬間、何となく天井を見上げた。
「……なるほどな」
「何で分かったの?」
「ロンドとは長い付き合いだからな。それに、お前の顔を見りゃ大体分かる」
「どの顔?」
「やらかした顔だ」
「そんな顔してないよ」
「してるぞ」
父まで頷いた。どうやら、ここには味方がいないらしい。
その時、鍛冶場の奥から大きな声が飛んできた。
「ガルド! またそこに鉄屑積んでるだろ!」
「あとで片づける!」
「昨日も聞いたよ、それ!」
勢いよく奥の扉が開き、大きな袋を両手に抱えた女性が入ってきた。母さんより少し背が高く、かなり重そうな荷物を持っているのに、足取りには妙な力強さがある。
「おや、ロンドじゃないか!」
「久しぶりだな、エルナ」
「アカメも一緒かい? 大きくなったねぇ!」
「こんにちは」
「はい、こんにちは! アレシャは元気?」
「元気です」
「今度また顔出すって言っといておくれ。あの人、放っとくとずっと家で仕事してるからね!」
返事をするより早く会話が進んでいく。
どうやらこの人がガルドの妻、エルナ・グランツらしい。鍛冶場では商品の注文や材料の仕入れを担当しているようで、父から聞いていた通り、かなり豪快な人だった。
「エルナ、それ材料か?」
「そうだよ。注文してた分。それよりガルド」
「何だ」
「鉄屑」
「……あとで片づける」
「昼までにね」
「分かった」
強面のガルドが少しだけ小さく見えた。
その夫婦のやり取りに笑いそうになった時、鍛冶場の隅にいるもう一人の存在に気づいた。
ふと鍛冶場の隅へ目を向けると、アカメと同じくらいの年齢の子供がいた。床に座り込み、壊れた木製の道具を前にして小さな金具をいじっている。周囲には木片や細い針金のようなものが並んでいて、遊んでいるというより、本当に何かを修理しているようだった。
「ヴァル、留め具はどうだ?」
ガルドが声をかける。
「たぶん直る」
「たぶんじゃ困るぞ」
「じゃあ、もう少し見る」
「そうしろ」
ヴァルとは、あの子の名前らしい。
何となく眺めていると、向こうもアカメの視線に気づいた。手を止め、顔を上げる。
目が合った。
「…………」
その瞬間、胸の奥に妙な引っかかりを覚えた。
少なくとも、まともに話した記憶のない子供だ。この顔に特別な見覚えがあるわけでもない。それなのに、なぜか目を逸らす気になれなかった。
「……何?」
ヴァルが首を傾げる。
「いや……」
声も違う。顔も違う。
けれど、返事をするまでの微妙な間や、少し面倒そうにこちらを見る目つきに、妙な覚えがあった。
その仕草を見た瞬間、アカメの頭に一人の顔が浮かんだ。前世で凛や奏馬といつも一緒にいた幼馴染――柳木健太だ。
女神から三人とも同じ世界へ転生すると聞いてはいたが、同じ国に生まれるとも、まして同じ村にいるとも思っていなかった。
王都か、別の国か、場合によっては大陸の反対側にいる可能性だってあると思っていたのだ。もし目の前の少年が本当に健太なら、二人は十年間ずっと歩いて会える距離にいたことになる。
確かめたかったが、いきなり前世の話を持ち出すわけにもいかない。もし人違いなら、まともに話したこともない子供へ転生の話を始める危ない奴になってしまう。
「……三人揃ったら?」
ヴァルの手が止まり、ゆっくりと顔を上げる。
ほんの数秒、アカメたちは黙って見つめ合った。
「……とりあえず飯?」
背中をぞくりと何かが走った。
間違いない。
「健太?」
ヴァルの目が大きく見開かれる。
「……凛?」
「健太!」
「凛!?」
顔も声も身体も前世とはまるで違う。それでも、目の前にいるのが健太なのだと不思議なくらい自然に分かった。
「本物!?」
「たぶん」
「何でそこで『たぶん』なんだよ!」
「自分が本当に自分かって聞かれたら難しくない?」
「再会一発目から哲学始めないで!」
その返しまで前世と何も変わっておらず、アカメの中の確信はさらに強くなった。
「アカメ?」
後ろから父の声が聞こえ、我に返る。
振り返ると、父とガルド、それにエルナまで揃ってこちらを見ていた。
「知り合いなのか?」
ガルドに聞かれ、アカメとヴァルは顔を見合わせる。少なくとも今世では、まともに話した記憶すらない相手だ。
「……今、知り合った」
「それにしては随分仲がいいな」
父が怪訝そうに眉を寄せる。
「気が合った」
「早すぎないか?」
「子供なんてそんなもんだよ!」
助け舟を出したのはエルナだった。
「ヴァルなんて普段、同い年の子が来ても工具ばっかり見てるんだから、友達ができたならいいじゃないか!」
「母さん、余計なこと言わなくていい」
「何だい、照れてるのかい?」
「違う」
ヴァルが露骨に嫌そうな顔をする。
その表情まで妙に健太らしくて、アカメは笑いを堪えるのに苦労した。
―✧―◇―✧―
ロンドとガルドが短剣について話している間、アカメとヴァルは鍛冶場の外へ出た。
大人たちから姿は見えるが、普通に話しているくらいなら声までは届かない距離だ。そこで改めて向き合うと、さっきまでの勢いが少しだけ落ち着いた。
「……本当に健太なんだよね?」
「うん」
「本当に?」
「たぶん」
「だから何でまだ『たぶん』なの?」
「自分が――」
「その話はもういい」
思わず笑った。
そのやり取りだけで、本当に健太なのだという実感が一気に強くなった。
前世で当たり前のように隣にいた親友が、今ここにいる。一度は本当に死んで、二度と会えないと思った相手と、別の世界で向かい合っている。
「……いた」
「うん」
「本当にいたんだな」
「いたね」
それだけなのに、胸の奥が妙に熱くなった。
泣くのは何となく恥ずかしかったから、代わりに笑った。ヴァルも少しだけ笑う。
「そういえば、お前、今はヴァルなんだ?」
「ヴァル・グランツ。そっちは?」
「アカメ・オルディン」
互いに今世での名前を確認し合う。まだ耳には馴染まないものの、これからはアカメとヴァルとして呼び合うことになる。
「いつからこの村にいる?」
「生まれた時から」
ヴァルが黙る。
「じゃあ、十年間ずっと近くにいた?」
「たぶん」
「何してたんだろうね、俺たち」
「赤ん坊の頃はどうしようもないだろ」
「それはそうだね」
考えてみれば、アカメが父について森へ行っていた時、ヴァルはこの鍛冶場にいたのだ。母と村を歩いていた時に、どこかですれ違ったことだってあったかもしれない。
そんな距離に十年間もいたのに、お互いが誰なのか知らなかった。
「女神のこと、覚えてる?」
「覚えてる」
迷いのない即答だった。
「世界が悪へ傾いてるって話も?」
「覚えてるよ」
少しだけ肩の力が抜ける。
あの白い場所で起きたことも、女神から聞いた話も、アカメ一人だけの記憶ではなかった。
「その『悪』について、何か分かった?」
「いや、全然」
「だよな」
「普通に暮らしてた」
「俺も」
少なくとも、ヴァルから見たリュネ村も平和だったらしい。
「そういえば、《ジョブ》のことは何か知ってる?」
「《ジョブ》?」
「十六歳になると、教会で神様から授かるんだって」
「何を授かるの?」
「だから《ジョブ》」
「その《ジョブ》が何なの?」
「そこまでは俺もよく知らない。女神から十六歳で授かるって聞いたし、母さんも同じようなことを言ってたけど」
「剣士とか魔法使いとか、そういうやつ?」
「たぶん」
「異世界で十六歳になったら神様から力を授かるんだよ? もっと興味持とうよ」
自分が興味を持ったことには、とことんのめり込むくせに、興味のないことには驚くほど反応が薄い。
やっぱり健太だった。
その時、鍛冶場の中からガルドの声が響く。
「ヴァル! その留め具、あとで見せろ!」
「はーい」
返事をしたヴァルの手元を見て、さっきから気になっていたものを思い出した。
「そういえば、それ何?」
「これ?」
ヴァルが持ち上げたのは、木でできた部品だった。片側には取っ手のような部分があり、反対側には小さな金具がついている。
「井戸の滑車の留め具。少し削れてたから直してる」
「十歳が直すものなの、それ?」
「父さんがやってるのをずっと見てたから」
ヴァルはそう言いながら、削れた部分を指先でなぞった。
その時のヴァルは、さっきまでとは少し違う、心から楽しそうな表情をしていた。
「物作るの好きなの?」
「うん」
今度は迷わず答えた。
「面白いよ」
「どこが?」
「壊れてる物って、ちゃんと理由があるんだよ。ここが削れてるとか、こっちに力がかかりすぎたとか、素材が合ってないとか」
ヴァルは手にした金具を裏返しながら話を続ける。
「何で壊れたか分かれば、次は壊れにくくできる。それで直したら、また使える」
そう言って笑うヴァルを見て、アカメは少し驚いた。
前世では、こんな顔で物作りについて話す健太を見た記憶がない。
転生して変わったのだろうかと一瞬思ったが、すぐに違うと感じた。きっと、これも健太なのだ。
この世界で生まれ、ガルドとエルナの子供として十年間を過ごす中で、新しく見つけた好きなもの。
アカメが父から森について教わり、母との暮らしの中でリュネ村を故郷だと思うようになったのと同じように、健太にもアカメの知らない十年間がある。
「いいじゃん」
「何が?」
「似合ってる。そういうの」
「……そう?」
「うん」
ヴァルは少しだけ照れたように視線を落とした。
アカメたちは二度目の人生で前と同じ人間になるわけじゃない。この世界で出会った人や、好きになったものや、積み重ねた時間の分だけ、少しずつ新しい自分になっていくのだ。
たぶん、アカメも同じなのだろう。
―✧―◇―✧―
鍛冶場へ戻ると、父の短剣はすっかり手入れを終えていた。
緩んでいた柄はしっかりと固定され、刃も見違えるほど綺麗に研がれている。
「助かった」
「これならしばらく持つ。ただ、違和感があったらすぐ持ってこい。無理して使って折れたら、俺の仕事が悪いみたいに言われるからな」
「そんなこと言わないだろ」
「お前は言わなくてもエルナが言う」
「聞こえてるよ、ガルド!」
「ほらな」
奥から飛んできた声に、父が笑う。
父はガルドが直した短剣を腰へ戻した。
何気ない光景だった。
けれど、それを見ているうちに、今まで考えたことのなかったことに気づいた。
ガルドが父の短剣を直し、父はその短剣を持って森へ入る。そこで仕留めた獲物の肉はアカメたちの家だけでなく、村の誰かの食卓にも並ぶ。ガルドの家で食べることだってあるだろう。
農家が育てた野菜をアカメたちが食べ、その農具が壊れればガルドが直す。エルナが必要な材料を仕入れ、母は破れた服を繕う。
狩人だけでも、鍛冶師だけでも暮らしは成り立たない。誰かが育て、誰かが作り、誰かが直し、誰かが狩る。その一つ一つが繋がって、この小さなリュネ村の日常を支えている。
アカメはまだ世界についてほとんど何も知らない。それでも、世界を知るというのは遠い国や大きな出来事を知ることだけではなく、自分のすぐそばにいる人が何をして、その仕事が誰の暮らしへ繋がっているのかを知ることも、その一つなのだと思った。
―✧―◇―✧―
帰る時間になり、アカメは鍛冶場の前にいたヴァルのところへ駆け寄った。
「また来る」
「うん」
「いつ空いてるの?」
「分からない」
「十歳ってそんなに忙しいの?」
「アカメが暇なんじゃない?」
「俺だって仕事してるよ!」
「してないぞ」
背後から父の声が飛んできた。
「父さん!」
「お前はまだ勉強中だ」
「森で手伝ってるじゃん!」
「たまにな」
ヴァルが笑う。
「じゃあ、暇な時に俺から来る」
「分かった」
父と一緒に歩き出して数歩進んだところで、アカメはまだ一つ忘れていたことに気づき、足を止めて振り返った。
「ヴァル」
そう呼ぶと、少しだけ不思議な感覚がした。目の前にいるのは確かに健太なのに、今の名前はヴァルであり、それがこの世界で十年間生きてきた彼の名前なのだ。
「何?」
「奏馬」
ヴァルの表情が変わった。
再会できた嬉しさで一瞬だけ忘れかけていたが、アカメたちは最初から二人ではない。もう一人、奏馬がいる。
「まだ会ってないよな?」
「うん」
「俺もだ」
女神の言葉が本当なら、奏馬もこの世界にいる。
凛と健太が十年間も同じ村で暮らしていたのなら、もしかしたら奏馬だって遠くにはいないのかもしれない。
「奏馬も近くにいるかもしれない」
「うん」
「探そう」
ヴァルは少しも迷わなかった。
「探そう」
これまでは一人だった。村の外へ自由に出ることもできず、どこから探せばいいのかさえ分からなかったが、これからは二人で考えられる。探せる場所も、知ることのできる情報も、きっと少しずつ増えていく。
アカメが片手を上げると、ヴァルも小さく手を上げ、その掌を重ねた。二人の間に、乾いた音が一つ響いた。
目の前のヴァル・グランツは、前世と同じ健太でありながら、前世とまったく同じ人間ではなかった。この世界で新しい家族を持ち、新しく好きなものを見つけ、アカメの知らない十年間を生きてきたのだ。
それでいいのだと思う。アカメだって同じだからだ。
アカメたちは前の人生をやり直しているわけではなく、死ぬ前の続きをそのまま生きているわけでもない。前の人生で得た記憶を抱えたまま、それぞれがこの世界で新しい人生を生きている。
その日、アカメは一度失った親友と、もう一度出会った。
読んでいただき、ありがとうございました!
今回は、ついにアカメとヴァル――前世の凛と健太の再会でした。
同じ世界へ転生したとは聞いていても、どこに生まれたのかは分からない。そんな二人でしたが、まさかの同じリュネ村、それも歩いて会いに行ける距離で十年間暮らしていました。
ただ、再会した健太はもう「前世の健太」だけではありません。
ガルドとエルナの息子、ヴァル・グランツとして生まれ、鍛冶に興味を持ち、アカメの知らない十年間を生きてきました。
アカメ自身もまた、ロンドとアレシャの息子として、この世界で新しい人生を歩んでいます。
前世をやり直すのではなく、前世の記憶を持ったまま、それぞれが新しい人生を生きていく。
そんな三人を描いていければと思っています。
そして、残るのはあと一人。
奏馬は今、どこで、どんな名前で暮らしているのか。
次話もよろしくお願いいたします!
続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや評価をしていただけると、とても励みになります!
登場したキャラクター紹介
【ガルド・グランツ】
ヴァル・グランツの父親。
職人気質で少し頑固だが、面倒見は良い。リュネ村で鍛冶場を営んでおり、武器だけでなく、農具や調理器具、荷車の部品など、村人たちの生活に必要な様々な道具を作り、修理している。
アカメの父ロンド・オルディンとは幼馴染。子供の頃から長い付き合いがあり、大人になった現在もロンドの短剣や狩猟道具の手入れを任されるなど、交流が続いている。
【エルナ・グランツ】
ヴァル・グランツの母親。
明るく世話好きで、少し豪快な性格。ガルドが営む鍛冶場で、商品の注文や代金の管理、材料の仕入れなどを担当している。グランツ家では彼女が一番強いように見えることもしばしば。
アカメの母アレシャとも親しく、オルディン家とは長い付き合いがある。




