第17話「それぞれの十六年」
第一級クラスの教室へ足を踏み入れた瞬間、アカメは昨日の試験会場とよく似た空気を感じた。
半円状に並んだ机にはすでに多くの生徒が座り、近くの席同士で自己紹介をしている。しかし、入口に立ったアカメに気づいた者から少しずつ声を潜め、いくつもの視線がこちらへ集まってきた。
「あいつだろ、《アサシン》」
「昨日、グレイグ教官に食い下がってた奴か……」
「第一級に入ったのかよ」
聞こえないように話しているつもりらしいが、内容までは隠せていない。アカメは気づかないふりをして、中央付近の空席へ向かった。
「ここ、座っていい?」
隣の少年はアカメの顔を見た途端、空いていた椅子に鞄を置いた。
「悪い。そこ、友達が来るから」
「……分かった」
周囲を見ても、その席へ向かってくる者はいない。わざわざ問い詰めるのも嫌で別の席を探したが、近くにいた女子生徒まで友人と顔を寄せ合い、空席に荷物を置いてしまった。
リュネ村だけでなく、王都でも同じらしい。
自分自身、《アサシン》のことはまだ分からない。分からないからこそ警戒されるのだろうが、何もしていないうちから避けられるのは、やはり気分がよくなかった。
教室の後方まで進むと、端に一つだけ席が空いていた。隣には淡い銀白色の髪をした小柄な少女が座り、膝の上で冊子を抱えている。
「ここ、空いてる?」
「えっ? あ、はい。大丈夫です」
「ありがとう!」
少女は驚いたように肩を揺らしたものの、椅子に置いていた鞄を足元へ下ろしてくれた。アカメが座ると周囲からまた視線が集まったが、彼女は少し俯いただけで席を離れようとはしなかった。
すると、前の席にいた桃色の髪の少女が勢いよく振り返った。
「ねえ! 昨日、グレイグ教官と戦ってた人だよね?」
「うん。最後は完敗だったけど」
「でも、あんなに攻撃をかわしてたじゃん! すごかったよ!」
「そう言ってもらえると嬉しいな。俺は必死だったけど!」
「あははっ、素直なんだね!」
少女は楽しそうに笑った。さっきまでとはまるで違う反応に、アカメの方が少し戸惑ってしまう。
「おい、そいつとあんまり関わらない方がいいんじゃないか」
少し離れた席の男子生徒が、露骨に眉を寄せた。
「なんで?」
「《アサシン》だぞ。何するか分からないだろ」
「でも、この人まだ何もしてないじゃん」
「だから危ないって言ってんだよ」
近くの生徒たちも不安そうにアカメを見た。言い返そうにも、自分のジョブを説明しきれないのがもどかしい。
「何もしてない人を勝手に嫌う方が変じゃない?」
桃色の髪の少女があっさり言うと、男子生徒は「好きにしろよ」と顔を逸らした。少女はその反応を気にも留めず、再びアカメへ笑いかける。
「そういえば、まだちゃんと自己紹介してなかったね!」
「確かに。名前は聞いてたけどな」
「じゃあ、あとで改めて自己紹介しよ!」
ちょうどその時、教室の扉が開いた。
「席につけ。そろそろ始めるぞ」
入ってきたのは、眼鏡を掛けた男性教師だった。資料の束を教壇に置き、教室を見渡す。
「一年第一級クラスの担任、ハロルドだ。今日は午前中を使って学園の施設や授業について説明する。その前に、互いの名前くらいは覚えておこう。名前、ジョブ、出身地を順番に話してもらう」
前の席から一人ずつ立ち上がり、自己紹介が始まった。騎士家の子息や地方出身の魔術師など、育ってきた環境はさまざまだ。やがて、桃色の髪の少女の番が回ってくる。
「アリア・フェルネットです! A級《魔糸操士》。王都の近くの町から来ました。家は仕立て屋です! みんな、よろしくね!」
教室から小さな笑いが起こった。アリアは座るなり後ろを向き、得意げな顔をする。
「これで改めて自己紹介できたね!」
「うん。よろしく、アリア!」
「正解! 今度はそっちの番だよ!」
次に呼ばれたのは、アカメの隣に座る少女だった。制服の裾を指で握り、緊張した様子で立ち上がる。
「エアシル・リーフェンです。A級《風癒術師》で、ベルディア領から来ました。その……よろしくお願いします」
最後の方は声が小さくなったが、どうにか言い切って席へ戻った。
「エアシルか。俺もベルディア領なんだ。よろしく!」
「……はい。よろしくお願いします」
彼女は少し驚いた顔をしたあと、小さく微笑んだ。
自己紹介はさらに続く。
「ノア・ベルンです。A級《魔獣使い》。北部のグラディオ領から来ました。魔獣と一緒にいることも多いですけど、勝手に人を襲わせたりはしないので……よろしくお願いします」
昨日、巨大な灰色の狼と連携していた少年だ。柔らかな声でそう告げると、少し照れくさそうに笑った。
「セドリック・ローヴェン。A級《魔剣士》。西のヴァルネス領出身。よろしく」
銀灰色の髪をした少年は、必要なことだけを告げて座った。そして、いよいよアカメの番が来る。
「アカメ・オルディンです。ベルディア領のリュネ村から来ました。ジョブは《アサシン》です」
名前を告げた途端、教室がざわついた。アカメは一度だけ周囲を見回し、続ける。
「階級は判定できなかったので、学園では暫定A級相当になってます。正直、俺もこのジョブのことはよく分かってません。だから、ここで勉強して確かめたいと思ってます。よろしくお願いします!」
頭を下げて座ると、「本人も分かってないのかよ」と小声が聞こえてきた。アカメが前を向いたままでいると、アリアがくるりと振り返る。
「アカメね。覚えた!」
「早いな!」
「名前くらい覚えられるって!」
隣のエアシルも、少し迷ってから頭を下げた。
「改めて……よろしくお願いします、アカメさん」
「うん、よろしく!」
ノアは目が合うと微笑み、セドリックも特に気にした様子はなかった。警戒する生徒はまだ多いが、全員が自分を避けるわけではない。それだけで、居心地の悪さが少し軽くなった。
―✧―◇―✧―
自己紹介を終えると、午前中はそのまま学園生活の説明に移った。
王国史などの一般教養に加え、魔術基礎、戦闘訓練、魔物学、ジョブ研究、野外実習。授業によっては《特級クラス》との合同演習もあるらしい。図書館や工房棟の利用時間、寮の門限、武器の持ち込み規則まで説明が続き、配られた資料には細かな決まりがびっしり並んでいた。
アカメは要点を確認していたが、どうしても壁の時計へ目が向いてしまう。
十六年ぶりに再会した奏馬――今はルカと名乗る親友と、まだまともに話せていない。どこで育ち、何をして過ごしていたのか、聞きたいことはいくらでもあった。
「アカメ」
「はいっ!」
突然呼ばれて顔を上げると、ハロルドがこちらを見ていた。
「時計を何度見ても、昼になる時間は変わらないぞ」
「……すみません」
「もう少しだから、説明を聞け」
「はい!」
教室に笑いが広がった。アリアは肩を震わせ、エアシルも口元を緩めている。アカメは照れくさくなり、今度こそ資料に目を落とした。
ようやく午前最後の鐘が鳴り、解散が告げられると、アカメは資料を鞄へしまって立ち上がった。
「やっぱり急いでる! そんなにご飯が楽しみなの?」
「ちょっと会いたい奴がいるんだ」
「朝、一緒にいた特級の人?」
「うん。二人とも!」
「そっか! じゃあ、また明日ね!」
「おう、また明日!」
エアシルにも手を振り、教室を出る。廊下では相変わらず《アサシン》の噂が聞こえたが、今は昼食の約束が頭の中を占めていた。
―✧―◇―✧―
学生食堂には、すでに大勢の新入生が集まっていた。長い机が何列も並び、料理を受け取る窓口からは焼いた肉や温かなスープの匂いが漂ってくる。
「アカメ! こっち!」
入口から奥を探すと、ルカが大きく手を振っていた。向かい側には、すでにヴァルが座っている。
「遅い!」
「鐘が鳴ってすぐ来たぞ!」
「俺たちはもっと早かった!」
「特級の説明が先に終わっただけだろ」
「細かいことはいいって! 飯、取りに行こうぜ!」
三人で窓口へ並ぶと、アカメは肉と野菜の煮込みにパンを選び、ヴァルは焼いた肉を追加した。ルカだけは料理の前で何度も立ち止まり、肉も魚も野菜も、少しずつ皿に載せていく。
「それ、全部食べられるの?」
「食える! ……たぶん」
「たぶんで取るなよ」
「だって、好きなの選んでいいんだろ?」
「そりゃそうだけど……」
アカメが答えると、ルカは自分の皿を見下ろし、妙に嬉しそうに笑った。
「……そっか。そうだよな」
何か引っかかったものの、その場では聞かなかった。
三人で席に着き、まずは互いの教室の話をした。ヴァルは工房棟の設備に興味津々らしく、ルカは特級クラスでも学力の確認があると知って、早くも嫌そうな顔をしている。
笑いながら話しているうちに、十六年も離れていたことを忘れそうになる。それでも、アカメにはどうしても聞きたいことがあった。
「なあ、ルカ。この十六年、どこにいたんだ?」
ルカは匙を止め、向かいのヴァルも顔を上げた。少し考えてから、ルカは皿を脇へ寄せる。
「ベルディア伯爵領。《ロメル農荘》ってところで生まれた」
「……ベルディア領?」
「ああ。知ってんの?」
「俺たちもベルディア領だよ。リュネ村!」
「……マジで?」
「マジ。ずっとそこで育ったんだ」
今度はルカが驚く番だった。王都まで六日もかかる広い領地とはいえ、十六年間探していた相手が同じ領内にいたとは思わなかった。
「じゃあ、俺たち結構近くにいたのか?」
「分かんない。ロメル農荘って名前は聞いたことなかったし」
「俺もリュネ村なんて知らなかったな」
ルカはそう言ってから、少しだけ笑みを薄くした。
「まあ、知ってても会えなかっただろうけど」
「なんで?」
「俺、農奴だったから」
あまりにも普通の口調で言うものだから、アカメはすぐに返事ができなかった。
「……農奴?」
「そう。ロメルは貴族の農荘でさ。俺の父ちゃんも母ちゃんも農奴だったから、俺も生まれた時から農奴だったんだ」
農奴という身分は、教会の勉強で習ったことがある。だが、リュネ村で暮らしていたアカメにとっては、本の中の話でしかなかった。
「農荘の外には出られないの?」
「許可がなきゃな。仕事も選べないし、収穫した作物も大半は持っていかれる。子供の頃から畑に出て、石拾いや荷運びをしてたよ。大きくなってからは朝から日暮れまで働く日も多かった」
「学校は?」
「ない。農奴に文字なんか教えても畑仕事には必要ないってさ」
ルカは肩をすくめた。
「だから読み書きもほとんどできない。自分の名前や簡単な言葉なら書けるようになったけど、それも神授祭のあとに教わったんだ」
「じゃあ、入学試験を受けてたら……」
「絶対落ちてたな! そこだけはS級で助かったよ」
冗談めかして笑うルカに、アカメは笑い返せなかった。
自分は森へ行きたければ父についていき、ヴァルの家へ遊びに行くのも自由だった。教会では文字や計算を教えてもらえ、本も借りられた。それが当たり前ではなかったことを、今になって思い知らされる。
「逃げようとは思わなかった?」
「何回も思ったよ。でも、外のことなんて分からないし、金もない。それに俺一人で逃げたら、父ちゃんと母ちゃんが残るだろ。弟も二人いるしさ」
「弟もいるんだ」
「ああ。でも、今はみんな農奴じゃないよ」
そこで初めて、ルカは心から嬉しそうに笑った。
「神授祭で《ソードマスター》を授かったおかげで、家族全員、農奴身分から解放されたんだ」
「ルカだけじゃなくて、家族も?」
「うん。S級だって報告が伯爵家と王都に届いて、役人が来たんだ。俺を王立学園で育てることになったからって、正式に身分を解いてくれた」
ルカは制服の袖を少し持ち上げ、確かめるように眺めた。
「父ちゃんも母ちゃんも、もう監督役に許可を取らなくていい。弟たちも、俺みたいにずっと畑で働かなくて済むんだ」
「……そっか。それはよかったな!」
「うん。本当に、よかった」
迷いのない返事だった。しかし、ルカはすぐに目を伏せる。
「でもさ、変なんだよ。神授祭の前の日と次の日で、俺自身は何も変わってないのにな」
「……どういうこと?」
「それまで『手を止めるな』って怒鳴ってた監督役が、いきなり『ルカ様』だぞ? 怪我してないか、飯は足りるかって、今まで一度も聞かなかったことを聞くんだ。服も寝る場所も全部変わった」
ルカは苦笑したが、その笑みにはどこか寂しさがあった。
「泥だらけで畑を耕してた俺も、S級って分かったあとの俺も、同じ人間なのにな。あいつらが見てたのは俺じゃなくて、《ソードマスター》だったんだろうな」
その言葉を聞き、アカメは今朝の教室を思い出した。空いていた席をわざわざ塞がれ、名前を名乗れば警戒された。ジョブが違うだけで、相手の見方まで変わってしまう。
「……俺と逆だな」
「何が?」
「ルカはジョブを授かって大切にされるようになった。俺は《アサシン》を授かってから避けられるようになったんだ」
「……そっか」
「今朝なんか、空いてる席に座ろうとしたら鞄置かれたし」
「マジかよ! そいつ誰だ?」
「名前は知らないけど……」
「じゃあ、次会ったら教えろよ!」
「何する気だよ!」
「結局、同じだろ」
それまで黙っていたヴァルが口を開いた。
「周りが本人を見ないで、ジョブだけで勝手に決めてる」
アカメとルカが同時にヴァルを見た。短い言葉だったが、ルカはしばらく考えてから笑った。
「健太、お前たまにいいこと言うよな!」
「ヴァルだ」
「十六年経って、前より頑固になってない?」
「前からだ」
そのやり取りにアカメも笑い、重くなりかけた空気が少し和らいだ。
ふと、ルカの皿へ目を向ける。肉も魚も野菜も、見つけた料理を一通り試すように取ってあった。
「さっき、好きなの選んでいいって喜んでたのも、農荘にいたから?」
「ああ。前は何を食べるかも、どれだけ食べるかも自分じゃ決められなかったからな。今日は肉にするとか、パンを二個取るとか、そんなことでも楽しいんだ」
ルカは皿に視線を落とし、照れくさそうに続ける。
「服も選べるし、行きたい場所にも行ける。これから何を勉強して、何を仕事にするかも考えられる。俺、やっと自由になったんだよ」
その言葉に、アカメは返す言葉を探した。自分にとっては何でもなかった小さな選択を、ルカは十六年間ほとんど持てなかったのだ。
同じ領地にいながら、二人の暮らしはあまりにも違っていた。もし何か一つでも手掛かりがあれば会いに行けたのではないか、と考えかけたが、農荘から出ることさえ許されなかったルカに、その機会があったとは思えない。
「……近くにいたのに、会えなかったんだな」
「仕方ないって。俺もリュネ村なんて知らなかったんだからさ」
ルカは笑ってパンをちぎった。その姿を見ているうちに、アカメは以前から気になっていたことを思い出す。
「そういえばさ。女神との話、覚えてる?」
ルカの手が止まった。
「……覚えてるよ。世界を救ってほしいってやつだろ?」
「うん」
「でも俺、正直あんまり乗り気じゃないんだ」
「えっ、なんで?」
ルカは怒っているわけではなかった。ただ、長い間考えてきたことを話すように、ゆっくりと言葉を続けた。
「今話しただろ? 俺、やっと自由になったんだよ。十六年間、どこで暮らすかも何をするかも、自分じゃ決められなかった。それなのに、自由になった途端『今度は世界を救うために生きろ』って言われてもさ」
「……うん」
「俺たちを転生させたのが女神だってことは分かってる。だからって、俺の人生を全部そのために使わなきゃいけないのか?」
アカメはすぐに答えられなかった。
この世界へ来た時から、女神との約束はずっと頭の片隅にあった。いつか三人で再会して、世界を救うために何かをするのだと漠然と考えていたが、ルカが過ごした十六年間を聞いたばかりでは、約束を理由に彼を急かす気にはなれない。
「俺、学校に通ってみたいんだ。ちゃんと文字を覚えて、行けなかった場所にも行ってさ。自分で稼いだ金で好きなものを買って、家族にも楽をさせたい。そういう普通のこと、まだほとんどやったことないから」
昔の奏馬なら、目の前に困っている人がいれば真っ先に手を差し伸べた。それは今も変わらないだろう。だが、自分の意思で誰かを助けるのと、世界を救う使命に人生を捧げるのは別の話だ。
「……じゃあ、今すぐ決めなくてもいいんじゃない?」
「いいの?」
「だって俺も、何から世界を救うのか知らないし。何が起きるのか分からないまま、どうするか決められないだろ?」
「まあ、それはそうだけど」
「まず調べようよ。世界のことも、女神のことも。何をするべきか分かったら、その時また三人で考えよう!」
ルカはしばらくアカメを見つめ、ふっと表情を緩めた。
「……凛らしいな」
「今はアカメ!」
「俺たちで話してる時くらい、凛でもいいだろ?」
「じゃあお前は奏馬な!」
「俺は別にいいよ」
「それ、ずるくない?」
ヴァルが呆れたように息を吐いた。
「好きに呼べばいいだろ」
「じゃあ、健太!」
「ヴァルだ」
「お前だけ絶対譲らないな!」
十六年間離れていたのに、名前の呼び方だけでこんな言い合いができる。それが可笑しくて、三人とも自然に笑っていた。
「ところでルカ。読み書き、本当にどれくらいできるの?」
「自分の名前は書けるぞ!」
「ほかは?」
「簡単な言葉なら……」
アカメは思わずヴァルを見た。
「……結構まずくない?」
「かなりな」
「おい、そんな顔すんなよ! 俺、S級だぞ?」
「ジョブと勉強は関係ないだろ」
「特級の特権でどうにかならない?」
「個別指導が増えるだけじゃねえか」
「それ特権じゃなくて罰じゃん!」
ルカが本気で嫌そうな顔をしたので、アカメは堪えきれずに笑った。
「世界を救う前に、まず文字だな!」
「急に世界より難しい問題出すなよ!」
「文字の方が簡単だろ」
「俺には十六年まともに向き合えなかった相手なんだよ!」
「相手って言うなよ! 文字は敵じゃないだろ!」
「今のところ敵だよ!」
声が大きくなったルカを、ヴァルが「うるさい」とたしなめる。そんな二人のやり取りを見ながら、アカメは改めて思った。
十六年間探していた奏馬が、ここにいる。けれど、昔とまったく同じではない。ルカには農奴として生き、家族を守ろうとしてきた十六年があり、アカメにもヴァルにも、それぞれ積み重ねてきた時間がある。
これから何が待っているのかは分からない。それでも今は、ようやく自由になった親友が、自分で選んだ昼食を食べながら、明日からの勉強を嫌がっている。
昔の三人へ戻る必要はない。アカメとヴァルとルカとして、ここからまた一緒に歩いていけばいい。
アカメはそう思いながら、三人で囲む久しぶりの食卓を楽しんだ。
第17話をお読みいただき、ありがとうございます!
今回は、三人が離れ離れになっていた16年間のお話でした。
同じ世界に転生しても、生まれた環境によって人生は大きく変わるもの。
ようやく自由を手に入れたルカには、これから学園生活を思いっきり楽しんでほしいですね!
そして、世界を救うという女神との約束はどうなるのか……。
次回からもアカメたちの学園生活をよろしくお願いします!




