第12話 「変わったもの、変わらないもの」
「確認が済むまで、その場から動かないでください」
神官の言葉が、静まり返った教会の中へ落ちた。
アカメはすぐに返事ができなかった。何か危険なことをしたわけではない。ただ神授晶に触れ、そこに現れた《ジョブ》を見ていただけだ。それなのに神官の声には、これまで授業で何度も聞いてきたものとは明らかに違う慎重さが混じっている。
「……確認って、何をですか?」
「《アサシン》というジョブについてです。階級が判定されなかったことも、七つの初期スキルが表示されたことも、少なくとも私たちの知る記録には前例がありません。教会としても、上位の教会へ報告しなければなりません」
「それは分かりました」
アカメが静かに答えると、神官は続きを口にしかけたまま僅かに黙った。
その背後では、村人たちの囁き声がまだ続いている。
「暗殺者だって……」
「近づいて大丈夫なのか?」
「でも、あの子はロンドのところの……」
「ジョブが出る前まで普通だったのに」
最後の言葉が、妙に耳へ残った。
ジョブが出る前まで普通だった。まるで、水晶に《アサシン》という名前が浮かんだ瞬間から、自分はもう普通ではなくなったとでも言われているようだった。
アカメは目の前の神官を見る。
「神官さん」
「は、はい」
ただ呼びかけただけなのに、神官の肩がほんの僅かに強張った。その反応を見た瞬間、胸の奥に残っていた戸惑いが少しだけ冷たいものへ変わる。
「俺、いつも授業を休まず受けてましたよね」
「……そうですね。アカメ君は、ほとんど休んだことはありませんでした」
「授業がない日も来ましたよね。分からないところを質問したり、本を借りたりしてましたよね」
「え、ええ……」
「魔法が全然使えなくて、何回も相談したこともありました」
「……ありましたね」
答えるたび、神官の声が小さくなっていく。
アカメは責めたいわけではなかった。怒鳴りたいとも思わない。ただ、本当に分からなかったのだ。
「今の俺は、何に見えますか?」
「…………」
神官は答えなかった。
アカメは少し待ったが、それでも言葉は返ってこない。
「朝ここへ来た時と、今の俺って違いますか?」
「アカメ君、それは、そういう意味では……」
「俺、誰も殺したりしてませんよ」
その一言で、教会の空気がさらに重くなった。
口にしてから、アカメ自身も妙なことを言っていると思った。十六歳になったばかりの少年が、自分は誰も殺していないと説明しなければならないこと自体がおかしい。
「授業を受けてた俺も、本を借りに来てた俺も、今ここにいる俺も同じです。それなのに、ジョブの名前が分かっただけで……そんなに違って見えるんですか?」
神官の唇が僅かに動いたものの、結局その口から答えが出ることはなかった。
その沈黙だけで、アカメには十分だった。
「アカメ」
背後から、聞き慣れた声がした。
振り返ると、母が村人たちの間を抜け、まっすぐこちらへ歩いてくる。
「母さん」
神官が慌てて手を上げた。
「お待ちください。まだ《アサシン》について何も分かっていません。念のため、今は距離を取っていただいた方が――」
「どうしてですか?」
母は足を止めなかった。
「いえ、ですから、未知のジョブである以上、安全だという保証がありません。どのようなスキルなのかも、まだ詳しくは――」
「この子は私の息子です」
神官の言葉が止まる。
母はそのままアカメのところまで来ると、何のためらいもなく頬へ手を伸ばした。
「ジョブを一つ授かったくらいで、今さら何が変わるんですか? 顔も同じ、声も同じ。朝ご飯を食べるのが少し遅かったところまで同じでしょう?」
「最後いらなくない?」
「いるわよ」
あまりにも普段通りだったため、アカメは一瞬だけ呆気に取られた。
母は軽く頭を撫でてから神官へ向き直る。
「調べる必要があるなら、どうぞ調べてください。でも、この子が何か悪いことをしたわけでもないのに、危険なものを見るような目で見ないでください」
声は穏やかだった。怒鳴っているわけでも、相手を責め立てているわけでもない。それでも神官はすぐに言葉を返せなかった。
その横から父も歩いてくる。
父は黒く曇った神授晶を一度だけ見たあと、いつもと変わらない足取りでアカメの前まで来た。
「父さん」
「ああ」
それだけ答えると、父は森から帰った時に怪我を確認するような目で、アカメを上から下まで眺めた。
「具合は?」
「別に何ともない」
「頭痛は?」
「ない」
「身体が勝手に動いたりは?」
「しないよ」
「なら帰るぞ」
「……それだけ?」
「他に何がある」
父が本当に何も分かっていないような顔をするので、アカメは少し迷ってから尋ねた。
「怖くないの?」
「何が?」
「《アサシン》」
父は神授晶へ視線を向けたあと、すぐにアカメへ戻した。
「お前、昨日まで誰か殺してたのか?」
「殺してない」
「今日、急に誰か殺したくなったか?」
「なってない」
「なら今日も同じだろ」
父はそれで話は終わりだと言わんばかりに踵を返した。
アカメはしばらく、その背中を見つめてしまった。あまりにも父らしい答えで、胸の奥に絡まっていたものが少しだけ解けていく。
「アカメ」
今度はヴァルが人の輪を抜けて隣まで来た。
「……何?」
「いや、何ですか?って顔してるから」
「みんな離れてるのに」
「だから?」
「俺、《アサシン》だぞ」
「知ってるよ。さっき一緒に見てたから」
「そうじゃなくて……」
ヴァルは意味が分からないという顔で首を傾げた。
「ただジョブを授かっただけだろ。普通にアカメじゃん」
「普通にって何だよ」
「神官さんに何回も質問して困らせるところとか、全然変わってないし」
「それ悪口?」
「分かってんじゃん」
「うるせぇ」
思わず笑ってしまうと、その後ろからエルナの大きな声が飛んできた。
「そうそう! アサシンだろうが何だろうが、腹は減るんだから!」
「母さん、教会でそれ言う?」
「何よ、間違ってないでしょ」
「間違ってはないけど……」
エルナの隣では、ガルドがいつものように腕を組んでいる。
「その短剣で変なことするようなら、ロンドが先に殴るだろ」
「お前、俺を何だと思ってる」
「息子が馬鹿やったら止める父親」
「否定はしない」
「だろ?」
ガルドはそう言いながら、アカメの腰に下がった短剣へ目を向けた。
「それに、道具は使う奴次第だ。刃物だから悪いんじゃない。誰が、何のために使うかで変わる」
鍛冶師らしい言葉だった。
アカメはもう一度周囲を見る。
まだ警戒している村人は多い。目が合えば逸らす者もいれば、幼い子供を自分の後ろへ隠す親もいる。昨日まで普通に挨拶していた相手ですら、今は声を掛けようとしなかった。
何もなかったことにはできない。
それでも、アカメのすぐそばにいる五人は、神授晶へ触れる前と何一つ変わっていなかった。そのことに気づくと、胸に張りついていた冷たい感覚が少しずつ薄れていく。
神官はもう一人の神官と短く言葉を交わし、再び記録簿へ目を落とした。何度か頁を行き来しながら確認したものの、《アサシン》について新たに分かることはなかったらしい。やがて記録簿を閉じると、困ったように小さく息を吐いた。
「……現時点で、アカメ君自身に異常が起きている様子はありません。これ以上は、この教会だけでは判断できないでしょう」
「神官さん」
アカメが改めて声を掛けると、神官は先ほどより少しだけ落ち着きを取り戻した顔でこちらを見た。
「俺、帰っていいですか?」
「……はい。ただ、《アサシン》については必ず上位教会へ報告します。後日、ベルクか領都から神官が来る可能性もあります」
「分かりました」
「それから、スキルについても、詳細が分かるまでは慎重に扱ってください。とくに《隠密》や《急所看破》など、使い方によっては危険になり得るものもあります」
「どうやって使うのかも分からないけど」
「……そうですね」
神官は少しだけ苦笑した。
その表情を見て、アカメはほんの僅かに安心する。完全に元通りではない。それでも、さっきまで《アサシン》という文字しか見えていなかった神官の中に、少しだけ以前の先生が戻ってきたような気がした。
教会を出る時、何人かの村人と目が合ったが、誰も声を掛けてこなかった。胸の奥には小さな痛みが残ったものの、アカメは何も言わず、父と母、それにグランツ家の三人に囲まれるようにして教会を後にした。
―✧―◇―✧―
夜になると、オルディン家の食卓は普段の倍以上に賑やかになっていた。
「はい、そこ詰めて! ヴァル、これ持って!」
「何で僕が?」
「若いから!」
「理由になってないよ!」
「口動かす暇あるなら手を動かす!」
「はいはい」
エルナが大皿を次々と運び込み、その後ろをヴァルが追いかけている。
テーブルには焼いた肉や煮込み料理、野菜、パン、果物まで所狭しと並び、母も朝から料理を追加していたらしく、六人どころか十人集まっても食べ切れるのか怪しいほどの量になっていた。
「これ、本当に全部食べるの?」
アカメが聞くと、エルナは当然のように頷いた。
「祝い事なんだから、多いくらいでちょうどいいのよ」
「何のお祝い?」
「二人が無事に十六歳まで育ったお祝いよ」
答えたのは母だった。
アカメは一瞬、言葉を失う。
「ジョブのお祝いじゃないの?」
「それもあるけど、一番はそっちよ。S級でも判定不能でも、今日まで十六年生きてきたことは同じでしょう?」
「……うん」
朝にも似たようなことを言われていた。それでも昼間の出来事を経験したあとでは、その言葉の重さがまるで違って聞こえる。
皆が席へ着くと、ガルドが隣のヴァルの肩を叩いた。
「S級《戦闘鍛治師》か」
「うん」
「明日から鍛冶場の掃除がなくなると思うなよ」
「思ってないよ!」
「S級だからって煤が勝手に消えるわけじゃないからな」
「もう少し何かないの? 『息子よ、誇らしいぞ』とか」
「まだ何も作ってないだろ」
「厳しい!」
「作ったら褒めてやる。出来が良かったらな」
「そこ条件つくの?」
そのやり取りを聞いていたエルナが声を上げて笑う。
「何言ってるのよ。ガルドなんて教会から帰る途中、ずっとニヤニヤしてたじゃない」
「してねえ!」
「してたわよ」
「してない」
「口元がこうなってたもの」
エルナがわざとらしく両手で頬を持ち上げると、ガルドが嫌そうに顔をしかめた。
「やめろ!」
「父さん、嬉しかったんだ」
「違う!」
「じゃあS級じゃなくても同じ顔してた?」
ヴァルが聞くと、ガルドは少しだけ黙った。
「……お前が鍛冶をやるって言った時点で、嬉しかったよ」
今度はヴァルが言葉を失う番だった。
「何だ、その顔」
「いや……急にまともなこと言うから」
「殴るぞ」
「褒めたのに!」
笑い声が食卓いっぱいに広がり、アカメも自然と笑っていた。
昼間、教会で村人たちが自分から距離を取った時には、リュネ村そのものから拒絶されたように感じた。
明日からいつもの店へ行っても同じように話してもらえるのか、道ですれ違った相手は挨拶を返してくれるのか。教会へ本を借りに行けば、以前と同じように迎えてもらえるのか。考え始めれば、不安はいくらでも浮かんできた。
けれど、この家の中では誰も《アサシン》という名前を気にしていない。
「アカメ」
「何?」
エルナが大皿の肉を指差した。
「もっと食べな」
「今食べてるよ」
「足りない。もっと」
「何で?」
「細いから」
「父さんより食べてるよ」
「ロンド基準にするんじゃないよ」
「俺まで巻き込むな」
酒の杯を持っていた父が呆れたように口を挟む。
すでに頬が少し赤い。その向かいに座るガルドも同じくらい酒が回っているらしく、二人とも普段より声が大きくなっていた。
「そういやロンド」
「あ?」
「昔、お前、俺より腕力あるって言ってたよな」
「言ってない」
「言った」
「お前の記憶違いだ」
「逃げるのか?」
「何からだよ」
「勝負からだ」
ガルドがそう言いながら片肘を机へ置くと、父の視線がその腕へ落ちた。
「……やるか?」
「やるか」
「何でそうなるの?」
ヴァルが呆れた声を漏らす。
アカメはパンを齧りながら二人を眺めた。
「止めてもやると思う」
「だよね」
父とガルドが机の上で手を組む。鍛冶仕事で鍛えられたガルドの腕は太く、対する父も獲物を担いで山道を歩き続けてきた狩人だ。酒が入っていることを除けば、意外と良い勝負になるのかもしれない。
「いくぞ」
「来い」
「ちょっと待ちなさい」
母の声が飛んだ瞬間、二人の動きが止まった。
「その机、壊したらどうするの?」
「壊さない」
「多分」
「今『多分』って言った方、夕飯の片づけを全部やってもらいますからね」
父が黙る。
エルナも横からガルドを見る。
「うちの人が壊したら、自分で直させるから大丈夫よ」
「俺だけ条件重くないか?」
「鍛冶師でしょ」
「木工師じゃねえ!」
結局、二人はそのまま腕相撲を始めた。
ヴァルが審判役になり、アカメも机の横から覗き込む。
「じゃあ、三、二、一!」
掛け声と同時に二人の腕へ力が入り、机が小さく軋んだ。
「ちょっと!」
母の声が飛ぶ。
「大丈夫だ!」
「まだ壊れてない!」
「『まだ』って言ったわね?」
「ロンド、今のはお前だろ!」
「ガルドだ!」
「二人とも同罪!」
アカメとヴァルは顔を見合わせ、ほとんど同時に吹き出した。
結局、どちらが勝ったのか分からないまま勝負は強制終了となった。父は「もう少しだった」と言い張り、ガルドは「俺が押していた」と譲らない。エルナが「そんなにやりたいなら外でやりな」と言えば、二人とも寒いから嫌だと即答した。
あまりにもくだらない光景だった。けれど今のアカメには、そのくだらなさがたまらなく心地よかった。
この食卓では、誰一人としてアカメを《アサシン》とは呼ばない。呼ばれるのは、昨日までと同じ名前だけだった。
「何笑ってるの?」
隣のヴァルが聞く。
「別に」
「絶対何か考えてた」
「父さんたち、馬鹿だなって」
「それは僕も思ってた」
「聞こえてるぞ!」
ガルドがすぐに反応する。
「父さんも!」
「お前らなぁ!」
再び笑い声が食卓いっぱいに広がった。
昼間には、世界中から自分だけが切り離されてしまったように感じた。それでも夜になって、アカメはようやく分かった。
今日という一日で変わってしまったものは、確かにある。けれど同じくらい、何があっても変わらず残ってくれるものも、ちゃんとここにあった。
―✧―◇―✧―
同じ日、同じベルディア領の片隅にある小さな農奴集落でも、十六歳を迎えた者たちへの神授が行われていた。
リュネ村の教会とは違い、古びた礼拝堂には白い花も華やかな布も飾られていない。
壁には長年染みついた汚れが残り、並んでいるのは農作業で日に焼けた農奴たちばかりだった。その後方では、集落を管理する役人が腕を組み、彼らを監督するように立っている。
やがて、一人の少年が祭壇の前へ進み出た。ルカ・ハルデン――それが彼の名だった。
幼い頃から畑へ出て、収穫期には日が沈むまで働き、冬になれば家畜の世話や道具の修理を手伝ってきた。農奴の家に生まれた以上、それが特別なことだと思ったことはない。
住む場所を自由に決めることも、領主の許可なく土地を離れることもできない。父も母も同じ身分であり、ルカ自身もこれまで、この土地とは別の場所で生きる未来を現実のものとして考えたことはほとんどなかった。
「手を置け」
神官に促され、ルカは神授晶に右手を置いた。
直後、水晶から白い光が溢れ出し、薄暗かった礼拝堂の中を眩しいほどに照らした。それまで何人もの神授を見てきた農奴たちが一斉に息を呑み、後方にいた役人まで腕を解いて身を乗り出す。
「これは……」
神官も目を見開いていた。
やがて光が収まると、水晶の上方にジョブと階級が浮かび上がった。
S級。
その文字が現れた瞬間、礼拝堂のざわめきが嘘のように消えた。
「……S級?」
役人の口から、乾いた声が漏れる。
神官は自分の目を疑うように何度も水晶へ視線を向け、それでも表示が消えないことを確認すると、ようやく興奮を隠しきれない声で告げた。
「間違いありません。S級です」
その言葉を境に、礼拝堂の空気が一変した。
先ほどまでルカへ「次だ」「早くしろ」と命じていた役人が、慌てたように背筋を伸ばす。
「ル、ルカ君だったな?」
その呼び方に、ルカはゆっくりと顔を向けた。
昨日まで、その男が自分を名前で呼ぶことすらほとんどなかった。「おい」「そこのお前」と呼ばれることの方が多く、まして「君」など一度も付けられた覚えはない。
「はい」
「いやあ……素晴らしい。まさかこの農荘からS級が出るとは思わなかった。これはすぐに伯爵家へ報告しなければならないな。場合によっては、王都から使者が来るかもしれんぞ」
役人は満面の笑みを浮かべていた。
それは、ルカがこれまで一度も向けられたことのない種類の笑顔だった。
神官まで先ほどとは違う声音になり、王立学園への推薦や騎士団への登用、さらに王家直属となる可能性まで説明し始める。その話を聞いた周囲の農奴たちは息を呑み、父と母も信じられないものを見るような表情で息子を見つめていた。
しかし、ルカ本人だけは神授晶に浮かぶ文字よりも、周囲の人間たちの顔を見ていた。
昨日までと、自分の何が変わったのだろう。
今朝も畑で働いたばかりで、爪の間にはまだ土が残っている。着ている服も、帰る家も、父も母も、何一つ変わっていない。
変わったものがあるとすれば、神授晶に浮かんだ「S級」という二文字だけだった。
それだけで、昨日まで命令していた男が「ルカ君」と呼び、これまで近づいてすらこなかった人間が笑顔を向ける。
その光景を眺めながら、ルカは誰にも気づかれないよう、静かに拳を握った。
彼には、かつての二人が知らない十六年間があった。そして彼自身もまた、二人がこの世界でどんな名前を与えられ、どこで十六年を生きてきたのかを知らない。
農奴として生まれ、今日、S級を授かった少年の名は、ルカ・ハルデン。
そして、その前世の名は――永川奏馬だった。
読んでいただき、ありがとうございました!
今回は《神授祭》のその後と、変わってしまったもの、変わらなかったものを描きました。
そして最後には、ついに三人目――ルカ・ハルデンの正体も明らかになりました。
同じ十六歳で《神授》を迎えながら、三人を取り巻く環境も、授かった《ジョブ》も大きく異なっています。
【アサシン】
アカメ・オルディンが《神授祭》で授かった、既知の記録では確認されていない未知のジョブ。
階級は判定不能。
初期スキルは《隠密》《気配感知》《危険感知》《急所看破》《暗視》《体術》《毒適性》の七つ。
さらに、高い敏捷・感知適性と、奇襲・隠密・精密動作への高い適性を持つ。
神授の際には神授晶が黒い靄に覆われ、赤黒い光を発するという異常な反応を見せた。七つもの初期スキルについても神官の知る限り前例が確認されておらず、その正体や能力の全貌は現時点では不明。
名称から「暗殺者」を連想され、周囲から警戒されることになる。
【S級 戦闘鍛治師】
ヴァル・グランツが授かった、非常に希少なS級ジョブ。
初期スキルは《鑑定》《素材理解》《鍛造》《付与》《戦場加工》《修復》の六つ。
鍛造・器用適性に優れ、自ら製作した武器を使用する際には高い戦闘適応を発揮する。
武具の製作だけでなく、戦場での加工や修復にも適性を持つと考えられている。神授直後から六つもの初期スキルを持つこと自体、S級の中でも非常に珍しい。
【S級 ソードマスター】
ルカ・ハルデンが授かったS級ジョブ。
剣を扱うことに高い適性を持つ戦闘系ジョブであり、その希少性から王立学園や騎士団、王家からも注目される可能性を持つ。
農奴として生きてきたルカに対する周囲の扱いを、神授の瞬間から大きく変えることになったジョブでもある。
現時点では、初期スキルや詳細な能力についてはまだ明らかになっていない。
これにて、第一章「神が与えたもの」は終了です。
そして次話から、いよいよ学園編へ。
アカメ、ヴァル、そしてルカ。
別々の場所で十六年を生きてきた三人の人生が、ここから少しずつ動き始めます。
次話もよろしくお願いいたします!




