41 - 絡み合う“いと”
彼が王都を立った次の日、恒例となった?報告会で、レティとフィリップにことの仔細を話した。
微妙な様子で聞いていた二人だったが、私らしいと笑っていた。しかし最後のクツァールの羽根を渡した話をすると、その反応は違った。
「えぇ!? 羽根を渡したの!?」
〈御守りにいいかと思ったの。ダメだったかしら?〉
「ダメじゃないけど、そうじゃなくて……」
「まぁまぁ、いいじゃないですかお嬢さん。兄貴も気合い入っただろうし、結果オーライでしょう」
「うーん、そうかもしれないけど」
「それに何より面白い。カミールお前、兄貴が戻ってきたら忙しくなるぞ〜」
〈……何の話をしているの?〉
ニヤニヤしているフィリップと悩むレティ。
どちらの反応もよく分からない私は首を傾げた。
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連日の魔獣被害による対応に追われるユリウスのもとに、招かれざる客が訪れた。
「あなたからお話しがあるなんて珍しいですね、神殿長」
「いやいや、こんな時こそ助け合わなければいけないと思いましてな! 同じく王家の血を引く者同士、何か協力出来ることがあればと」
「それはありがたい。ですがこちらは大丈夫ですので、神殿としての仕事を頼みたい。傷ついた騎士が多いのです」
「……それは勿論。ですがそもそもの話、何故このようなことになってしまったのか、私は愚考致しました」
両腕を大きく広げて喋る姿は態とらしく、嘘くさい。
「……その考えとは何だろうか」
「我々王家の加護が弱まってしまったからです」
「神殿長。あなたは先程から我々というが、同じ血が僅かでも流れていようとラドフォード家とオーケルバリ家では立場が明確に違う。そこは気をつけてもらいたい」
「もうそんな事はどうでもいいのですよ! 神獣様が目覚めさえすれば、その立場とやらもどうなるか分かりませんからな!」
「そんな事だと? いや、それより貴方は何を言っているのだ」
「まだ分かりませんか、殿下! 状況は多少は違えど、似たような現状。これからもっと被害が出れば、そして聖女の祈りが届けば神獣様はこの国を守るために目覚めるでしょう! その時にラドフォードに落胆すれば、オーケルバリが選ばれるかもしれない!」
ともすれば謀反とも言える言葉にその場が殺気立つ。
それでも尚冷静なユリウスは静かに問いかける。
「まさかこの現状、貴方が仕組んだものか?」
「それこそまさかですよ! 私が? どうやって? 証拠も無しにその様なことを言うのは辞めて頂きたい。私はただ、希望はあるとお伝えしに来たまでです」
「……そんなに上手くいくとは思えませんが」
「そうでしょうか?」
「一つお聞きしたい。貴方の言う聖女とは、誰を指している?」
ユリウスの瞳に冷たい影がさす。
しかしそんなものは関係ないとばかりに、ダーヴィドはニタリと笑った。
「殿下もご存知のはずでしょう? うちの甥っ子は随分とお喋りなようですから。いつの間に鳥と戯れるようになったのか」
「……ルーカスは」
「勝手に色々喋るのは良くないですからね、謹慎中です。あの子にはまだやって貰うこともありますから」
黙り込んだユリウスに、要件は済んだと言うように嘘くさい笑みを浮かべたまま部屋を出て行った。
捕縛するかと尋ねるラーシュに首を振り、何かに気づき声を張り上げた。
「ヴィーは? 二人は今何処にいる? 急ぎオルブライト家に人を遣ってくれ! 奴らの狙いは彼女だ! 先に保護をする! 彼女は——」
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怪我を負った人の治療の手伝いとして、レティはアミーと共に神殿へ手伝いをしに行っていた。
アミーの力はだいぶ安定したものの、まだ子供のため無理はさせないように気を使っていた。一番の懸念は飽きっぽいところだ。
無事に終わり、フィリップが公爵家の馬車を呼びに行っている時だった。一人の神官が、神殿長が話をしたいと言っていると話しかけてきた。そして一台の質素な馬車が近づいて来ると乗るように促される。
最初は戸惑っていたレティだったが、開いた扉の中にいたルーカスを見て近づいてしまった。
しかしこちらを見て、まるで来ては行けないとばかりに首を振るルーカスに、レティを止めようとしたところで——
〈待ってレティ、フィリップを待たないと……〉
私ごと一緒に馬車へと押し込まれてしまった。
“彼女は聖女の血を引いている……!”




