↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
27/31

04-3あるいは独り言


「…あちゃ~、まあいつかはそうなると思っていたけどね」

外のベンチに腰掛け、オペラグラスを覗き込みながらパラティリティスは呟く。

「う~んどうすべきかな~?今のところマザーからは何も言われないし…もう少し様子見かな~」

わざとらしくそう呟くと、オペラグラスから目を離し、ベンチでうたた寝の体制になったパラティリティスに近付く影。


「どうせそんなことだろうと思っていた」

機嫌の悪そうな声で、パラティリティスへ話しかける影――「女」は、本で顔を覆いかぶそうとしていたパラティリティスからそれを取り上げる。赤い髪紐で長い髪を結い、くるぶし辺りまである上着を身にまとっている。上着は腰から下でスリットスカートのようになっており、その間からスキニーが見える形となっていた。切れ長の目が、パラティリティスに圧をかけるように前髪から覗く。

「あっ、ちょっとやめてよ~。今からひと眠りしようとしてたのに~」

「どうせ眠れないくせによく言う。あのガキ、何故処分しない」

「……あのガキって…ルカ君のこと?」

パラティリティスがジッと女を見つめる。どこか不思議そうな目線に、女は一層眉をひそめる。

「石を回収できない方だ、名前は知らん。満足に役目を果たすことも出来ない奴を生かしておいてどうする」

「何回も名前教えてるじゃん…まあいいや。あの子たちは何もかもが特殊だ。簡単に処分なんてできないし、今後同じ事例が生まれたときの良いサンプルにもなる」

本を取り返して膝の上に置きながら、パラティリティスは言う。

「ステリ―。何を苛立ってるのか知らないけど、あの子たちに余計な茶々入れないでね」

ステリ―と呼ばれたその女は、パラティリティスの言葉になおも納得のいかない様子で詰め寄る。

「最終試験を突破できなかった者を任務に向かわせるなんてどうかしている」

「突破はしたさ」

「小細工がバレていないとでも?」

「……」

「目をそらすな」

「やっべ」とでも言いたげなパラティリティスの顔に、ステリ―は呆れたようにため息をつく。二人を包んでいた緊張がわずかに解け、ステリ―は隣に腰掛ける。そんなステリ―を横目に、パラティリティスは口を開く。

「君の言い分も分かるよ。私も随分迷ったけれど、最終的にはこの方が石を回収できるようになるかもしれないと思ってね」

「…石を回収できない理由は俺だって知っている。それが一緒に任務を果たしていくことで解消されるとは思えんがな」

「そう?私はそうは思わない」

パラティリティスは膝から本をどかしてベンチから立ち上がると、遠くの海を見つめる。

「…ここからは独り言なんだけどね」

「?」

「私たちは回収装置ではない。どこまで行っても傍観者だ。どうしても、彼らの心を十分に理解することは難しい」

パラティリティスはステリ―の方を振り返る。光を帯びた美しい瞳が、柔く細まる。

「でもね、だからこそ私は見てみたいんだ。石を還せぬ者が、石を還せるようになる、その旅路を」


こんなに面白いこと、滅多にないだろ?


そう笑うパラティリティスに、ステリ―は目を奪われる。相も変わらず、顔だけは綺麗な奴だと思いながら、再び、今度は盛大にため息をつく。

「…いっそあの二人が哀れになって来たぞ俺は」

「え~なんのことかな~?独り言を聞くなんて趣味悪いよ~」

「お前な」

そして相も変わらず悪趣味なやつだと呆れ果て、これ以上話をしても無駄だと判断したのか、ステリ―もベンチから立ち上がり、海へと向かう。

「あれ?もう帰っちゃうの?のんびりしていけばいいのに」

「お前と話してると疲れる。…くれぐれも、俺たちから見て目立つ行動は控えろパラティリティス。石を回収できないものが任務をしていると、界隈では良くも悪くも噂になっているからな。そろそろちょっかいをかけだす奴も出てくるかもしれん」

「私がそれに気づいていないとでも~?分かってるよ、相変わらず優しいね~ステリ―ちゃん♡」

「殺すぞ」

ステリ―は心底不快そうな顔をすると、背中から羽を伸ばす。

「じゃあな、ろくでなし」

そう言うと、そのままパラティリティスの方を振り返ることなく、海の方へ飛んで行った。美しい白い羽は、ステリ―たちの持つ特徴である。白い羽が太陽の光を受けて輝く様を、パラティリティスは見つめ続ける。

「仕事熱心な事で」

そう言いながらベンチへと戻り、再びうたた寝の姿勢を取る。


彼等が何を得ていくのか。どんな出会いと別れを経験していくのか。

まるで冒険譚を読む少年のように心を躍らせながら、パラティリティスは目を閉じるのであった。


お疲れ様です、柏田です。

対象的な美しい存在が隣同士並んでるのっていいですよね。両方を眺めながら拝みたいです。

ステリ―の今後も見守っていただければと。

いつも本当にありがとうございます。この度2000pvを突破いたしました!

ひとえに皆様のおかげでございます!本当にありがとうございます!!嬉しい!!

今後も執筆頑張りますので、引き続き応援の程、何卒よろしくお願いいたします!!

評価感想等もお待ちしております。

それでは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
XのRT企画から伺わせていただきました! 読ませていただいた印象として、物語の中にそこまで起伏や緩急を付けず、そういう意味で分かりやすいエンタメでは無く、各キャラクターの心情や会話劇を軸に読ませるこ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。