03-2
中々面白そうな子たちだなと思ったものさ。
「…酷い目にあった」
砂浜に仰向けに寝転がり疲労困憊の様子のセオの隣では、同じように仰向けではあるもののテンションが最高潮に達した様子のルカが腕をブンブンと振り回し、セオに話しかける。
「すっっっっっごかったね兄さん!!何あれ!!海に飛び込んでいったらぬるっと海が開いてさ!!そのまま僕らを飲み込んじゃうんだもん!!息できないかと思ったら息は出来るし!!凄いよね!!」
「いやまあ、確かにそれは凄かったし意味わからんかったが…スピードが…」
海に飛び込んだ後、まるで何かに引き寄せられるように、セオとルカの体は海の奥へ奥へと進んでいった。その勢いたるや、まるで磁石にくっつくときのネジになった気分だった。出来れば二度と味わいたくない。
普通なら間違いなく死んでいる。なのにこうして自分たちは生きて、何故か砂浜にいる。
…砂浜?
「…なあルカ、俺たち確かに海に引きずり込まれたよな?」
「え、うん。だからそうだって言ってんじゃん、どうして?」
「ならなんで俺たち…今砂浜にいるんだ…?」
セオは疲れ果てた脳みそをなんとか必死に動かしてルカに問いかける。実際二人が倒れ込んでいるのは砂浜で、今も下半身は海に浸かった状態である。どう考えてもおかしい。
「…あれ?」
ルカも事の重大さに気づいたのか、無言でセオと目を合わせ、気の抜けた声を出す。
「それは君たちが海の裏側まで来れたからさ」
唐突に頭の方向から聞こえる、見知らぬ声。
二人はガバッと起き上がり、後ろを振り向く。そこには一人の人間(?)が立っていた。
先ほどまで人の気配なんて微塵も感じなかったにも関わらず、だ。
「…」
セオは相手をじっと見つめたまま、その場で相手の出方を窺う。分からない事だらけで体も重いが、そうやすやすと信用も出来ない。そんなセオとは正反対に、呑気にもルカは相手に話しかけた。
「ここ人なんているんだ!!凄い!!お兄さんはここに住んでる人なの?」
「おいルカ…!」
「あっはは!反応が正反対で大変よろしい!そのくらい個性が違う方が面白いもんね」
男はケラケラ笑いながら言う。緊張感のなさに、こちらも肩の力が抜ける。
「ところで、なんでそんなに君は疲れてるんだい?」
ふとセオの顔を見つめ、男は不思議そうに尋ねる。
「…あんだけ揺さぶられながら乱暴に連れてこられたら、こうもなるだろ」
男の慮る様子のない発言に、少し苛立ちを覚えながらそう伝えるセオに、男はおや?といった様子で喋る。
「もしかして、正規ルートを外れて来ちゃったのかな?たまにあるんだよね。特に移動に慣れてない子とかはさ。道が開いてる時、『潜る』って言ってるのに『飛び込む』とかをやっちゃうと、海側がそのまま飲み込んじゃうんだよね」
「…」
セオは無言でルカの方向を見る。その目は非常に冷たく、もはや沸点を超えた何かだ。ルカはやっちまったといった顔で、これまた無言で目を背ける。
「おやおや、今度の回収装置達は、随分とわんぱくみたいだ」
クスクスと笑う男に、セオは言い返す。
「いや俺がっていうよりルカが…『回収装置』?」
男の発した聞き覚えのない言葉に、思わずセオは反応する。
「まあ詳しい話でこっちでしよう。君も疲れているみたいだしね」
おいで~と呑気な口調で男は先へ進んでいく。
よく見ると、ここは一つの小さな島らしい。男の後ろには、黒板と椅子が2つ。更にその奥には古びた家と森が広がっている。
気になることは多いが、その前に一つだけ聞かなければ。
「なあ!あんたの名前は?」
男はセオの言葉に足を止め、ああそういえば言ってなかったねえとこれまた緊張感のない声を発すると、二人に向き直り、告げる。
これから何度も聞くであろう、名を。
「私の名前はパラティリティス、どうぞよろしく。」
お疲れ様です、柏田です。
セオたちとパラティリティスの初対面、気持ち綺麗に書けたかなと思っております。(ちょっと短かったかもですね…すいません)
最近読みたい小説が多くて困りますね。時間を見つけながらチマチマ読んでます。
内容忘れちゃった本とかもまた読み返してみたいものです。
次も過去編続きます。お待ちいただければと思います!
いつも本当にありがとうございます。pvも増え続けており、大変嬉しいです。
これからも何卒よろしくお願いいたします。
評価や感想、ブクマも引き続きお待ちしております!
それでは。




