03-1
いっつも見守ってるよー!
「…パーちゃん、相変わらず勝手だなあ」
手紙を片手に、ルカは苦笑いをする。
時刻はお昼過ぎ。今日は珍しく、任務の封筒は来ていない。
心地よい風を受けながら、ルカはベランダの椅子に腰かけて手紙を読んでいる。
コテージを思わせる家に、それを取り囲むかのような木々たち。目の前に海と砂浜のある、独立した小さな島。現世ではなく、海の中でもない。その狭間のような領域にあるこの場所が、現在の彼らの拠点である。当然彼ら以外に人の姿はなく、島の外を見渡してみても、あるのは透き通るような海だけ。
その拠点のポストに、大抵は朝一に任務の封筒がいくつか入れられているはずが、今日は一通しか入っていなかった。
しかもその一通は、ルカへの個人的な手紙だった。
パラティリティス。
セオとルカに、回収装置や記石に関する諸々の教育を施してくれた、いわば彼らにとっての「先生」である。
度々このように手紙を送ってきてくれるのだが、心配してくれているのか面白がっているのかよく分からない人物で、いまいち掴みどころがない。
そんなところをルカは好ましく思っているが、セオはうっとおしく感じているらしい。
「返事書かなきゃ…でも…今は…眠い…」
任務がないということは、久々の休日。恐らく兄も自室に籠って読書に明け暮れているだろう。
口うるさい兄が叩き起こしに来ないことを祈りながら、ルカは緩やかにやってくる微睡みに目を閉じるのであった。
「…妙に静かだな」
ルカの予想通り部屋の中で読書をしていたセオは、普段騒がしい弟の声が聞こえないことに違和感を覚える。
どこか外にでも行ったのだろうか。ここに来たばかりの頃は、大物を釣り上げるとか訳の分からないことを言って、自作の釣り竿で海に張り込んでいた。
当然釣れるはずもなく(というか釣れたところであんまり食べようとも思わないのだが)、パラティリティスに手紙でコツを聞く始末であった。
パラティリティスも釣り好きらしく、実際何度か釣りをしているのを見たことがある。しかし、釣れているのを見たことは一度もない。
『この釣れるか釣れないかの緊張感、そして静寂!これが良いらしいよ!まあよく知らないんだけど』
貼り付けたような笑みでそう語る奴を前に、知らないなら何故釣りしているのかと聞きたいところであったが、聞くのもめんどくさかったのでスルーした。あの日の記憶を思い出し、セオは遠い目をする。
どうしてこう自分の周りには変なのしかいないのだろうか。
パラティリティス…あの何考えているのかも分からない表情は、正直あまり好きではない。けれど根本的に悪い奴ではないことはわかる。要するに「ろくでなし」という器に収まる感じだ。
「…思えば色々教わったな…」
本を閉じ、窓の外を見つめる。外は相変わらず海の景色が広がっているが、生まれ育ったあの場所で見るそれとは随分違っているように感じる。…何故なのだろうか。
セオはボーっと代わり映えのしない海を見つめながら、あの日のことを思い出す。
ろくでなしと定義づけた、あの不可思議な存在と出会った日を。
お疲れ様です、柏田です。
次回は過去編です。
02でルカが語った部分からの続きになります。
新キャラがどのように動くのか、楽しみにしてもらえると嬉しいです!
良ければ高評価等して頂けますととっても嬉しいです。
いつも見てくださり、本当に、ありがとうございます!励みになってます!!
それでは。




