表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『プチ』モンスターテイマー  作者: BIG PURIN
神々と封神晶
93/95

93話 たった一夜の修行-4


「メェー!!」


山羊が槍を手に見た目からは想像もつかない程勢いの付いた連続突きを放ってきた。

それを小吉は真っ向から迎え撃ち、上半身だけを動かしてその悉くを避けていく。

そのうち焦り始めた山羊の突きが乱れ始め綻んでいく…。


(ここだ!)


ガッ!!


「!?」


槍を掴んでそのまま奪い取り後ろからさり気なく飛び掛ってきた猿を柄で殴りつけると小吉は集中して時間を引き伸ばす…。

不気味に思える程に周りがゆっくりとした動きになり最後には止まった…正確にはほんの少しづつ動いているのだが今はこれが精一杯だ。


その中で前に苦渋を舐めさせられたでかいハトを見つけ、そいつに向かって槍を思いっ切り投げる。


「オラァ!!」


ゴォォォォ!!!

ゴパァン!!


通常の時間では音速を軽々と超えた槍がハトに直撃しその強靭な胸筋を粉々にする…。


「「グルルル…」」


恐らく狼なのであろう、2本足で立つ犬系の鎧がこちらを挟むようにして立ち、剣を手に牙を剥き出しにして睨んでいる。

こちらも剣を出し相手を睨みつける。


「「ガァァ!!」」


残像を残し周りを飛び回り交互に攻撃を仕掛けてくる。

必ず挟み込む様な位置取りをしてくるのが非常に厄介だが捌くのは簡単だ。


ガガガガガガガガガ!!!


小吉が立っている場所を中心に大量の火花が飛び散り辺りを照らす…。

あくまで修行なので時間を引き伸ばして、攻撃を逸らしては元に戻すを繰り返していく。

それを続けてそろそろいいかな?と思い始めたとき…


ズシンズシン!!


「パオォーー!!」


巨象が手に巨大な斧を持って振りかざしている…どうやら狼ごと小吉を両断するつもりらしい。


ブォン!!!


風切り音というよりもジェットの轟音に近いような音をまき散らしながら横に薙ぎ払われ、斧の先端が少し先の地面を抉り飛ばし、振り払われた先に居た一部の鎧達を鎧ごとすり潰す。


「パオォーーン!!」


余程自信があったのか巨象は残骸の確認もせずに大きな雄叫びを上げる…、残骸には逃げ遅れた狼も巻き添えになって横たわっている。


「うおらぁぁ!!!」


ズシン!!

メキメキ…


しかしそんな事は知った事かと空から小吉が勢いを付けて巨象の脳天にかかと落としを食らわせ、嫌な感触と音を出した。


……ズドーン!!


ちょっとやり過ぎたかな?などと若干反省しつつ地面に降りた小吉は苦笑いをして周りを見渡す…。

動物鎧達はどっちが上かを完全に察した様で、目が合うと一歩づつ後ろに下がった。


ぱちぱちぱち!


「中々使いこなせてるみたいね!上出来!」


「何かお前に言われるとイラッとするな…。でもまぁ、ルルーンが居なかったら出来なかった事だしそこだけは認めてやろう!!」


「なんで上から目線なのよ!!……でもそうでもないよ。それは貴方が元から出来る事だった訳だし」


「…いや、こんな事できる様になるきっかけが想像つかないんだが…」


「うーん…色々あったけどーー…ってそんな事はどうでもいいわ。最後の課題をやりましょ!」


「お、おう」


その数日色んな事を教えてもらった。

最小限の動きを作る方法、魔力を使った擬似的な時間停止、更には小さなルルーン自身が針のような小さな剣を持ち指導もしてきた。

流石にどうしても魔術はお子様レベルしか使えなかったが最初から知っていた様で溜息をつかれるだけに終わった…。


で、最後って事は大体予想がつく。


「あたし相手に1分生き延びなさい!」


ほらでた。お決まりのパターン。

だから答えも最初から決まっている。


「無理だ!!!」


「じゃあ出来たら何か1つ教えてあげる、それでいい?」


「出来ない約束しても意味は無い!!!」


「胸を張って言うことじゃなーい!」


ぷんすこぷんすこと空中で地団駄踏んで怒っている。

少しマニに似てるな…と思ったのは内緒だ。


「もういいわ!勝手に始めまーす!しかも出来なかったらペナルティがありまーす!!」


「ちょっと待て!色々おかしい!」


「問答無用でーす!!」


ボッ!!


両手に真っ黒な炎を纏わせその場から消える…どうやら本当に問答無用で来るらしい。

1分と言っていたがどっちの1分だろうかと一瞬思ったが、空から大きな砂時計が落ちてきて爆音を立てたので、現実時間で1分らしい…正直キツイ。


「どこだ…?」


体感時間を極端に遅らせ周りを見渡す…しかしルルーンの姿は見えない。


ボンッ!!


「っ!?」


嫌な感覚がしてすぐさまその場から飛び退く…


バゴーン!!


直前まで居た場所を中心に大きくヒビ割れ、冷や汗が流れる。


(上から!?全然見えなかったぞ!!)


もしかしたら今までは本気なんて微塵も出していなかったかもしれない…そういう考えが頭を過ぎり、着地後の反応が遅れた…。


メコッ…


「やばっ!?」


ルルーンを中心に地面があちこちで膨れ上がり足が取られ体勢が崩れた事で致命的な隙が生まれてしまう…。


ドンッ!ドドドドドーン!!!


あちこちで膨れ上がった地面が爆発し真っ黒な火柱が立ち上る。

そして小吉の居る場所も例外に漏れず爆発し大きく吹き飛ばされる…。


(熱っ!?)


地面を転がり火を消そうとするが全く消える気配が無い…もうどうしようもないと思ったその時…


ジュゥ〜…


真っ黒な火が消えると同時に熱さも痛みも消えた…そして目の前にはルルーンが腕を組んでこちらを見ていた…。

誰がどう見てもこちらの完敗だろう…。



……


………


結局負けは負けと認めた所でペナルティがあるのを思い出した…そしてルルーンが提示したのはペナルティと呼べるものか分からないような物だった。


なでなで…


「ふふーん♪」


「どうしてこうなった…」


即席のお風呂に浸かった小吉の膝の上には服等を全て着たままのルルーンが居て、呑気に寛いでいた…。

そして小吉がルルーンのフードの上に手を置いてひたすら撫でる行為をしている。


「…なんだこれ?」


「ペナルティー♪」


「ひたすら撫でるのがか?」


「誰も嫌な思いをするペナルティなんて言ってないでしょうが…、はいそこ!手を抜かない!」


「へいへーい」


なでなで…


「えへへ…」


「お前の頭の中見てみたいわ…」


「いいじゃん!あたしだって寂しいの!!」


「逆に考えろ。こんな事されて嬉しいのかよ?」


「嬉しいに決まってるでしょ!あんた撫でるのだけはやたら上手なんだから!」


「"だけ"は余計だ!」


べち!


「あいたっ!?」


「てかそもそも何で風呂入るのに衣類全部着てんだよ!」


「見たいの!?あたしの裸!?」


「そんなゲテモノこっちからーー


ゴスッ!!!


ーーうぐっ!?」


「見たいの!?あたしの裸!?」


「…き、綺麗なお肌を私目にお、お見せ下さい…」


「やだ♪」


「ぐっ!!…こ、この野郎…」


「野郎じゃないし♪」


駄目だ…こいつと会話してるとストレスで胃に穴が開きそうだ…。


「あははは!」


…でも、とても楽しそうだ。

素顔は見えないが本当に心の底から楽しんでいるのが伝わってくる様な気がして少しほっこりとした気持ちになった。


(あぁ、早くマニとかライアー達に会いたい…)


「あ。大丈夫だよ。すぐに出れるから」


「…は?でも最後の課題って…」


「あぁ、あれは無しよ。あれは単なるあたしのご褒美が欲しいが為の我が儘だから♪」


「…………我が儘で燃やされてたまるかぁぁぁ!!!!…こんな事位なら頼まれればやったのに」


「えっ!?よかったの!?」


「ん?…なんと言うか…上手く言えないけどルルーンからはマニ達に似た感じがするから放っておけないんだよなぁ…」


「マニ達に…本当!?」


なんか凄い食いついてきた…よく分からない奴だ…。


「例えだよ例え」


「じゃ、じゃああたしも仲間って事で良いの!?」


「い、いいんじゃないのか?…まぁ他の奴等は知らんけど」


「やったぁー!!!」


いいんじゃないのか?と言った時点で飛んで跳ねて大喜びしている…一体なんなんだこいつは?とりあえずバシャバシャしてお湯飛ばすのをやめて欲しい…。


「あははは!やったぁ!…グスッ!あ、あははは!」


なんか嬉しすぎて泣いてる様だ…。


(ま、まぁ色々あったんだな…)



……


………


その後、元の世界の元の時間に戻ってきた2人は周りのその光景を見て「そう言えばそうだったな…」という少し虚しい感じになった。


「さーて、帰って寝よう…。久しぶりというほどでもないが早くあいつらの顔を見たい」


「余程あの子達が大事なのね…」


「当たり前だ。あんなに可愛くて強い上にこんな奴でも慕ってくれるあいつらは俺には勿体無い位だな」


「そんな事ないよ。みんなちゃんと理由があって貴方の事が好きなんだから…」


「…やっぱりお前、ストーカーかなんかだな…」


「違うわよ!!」


顔を真っ赤にして抗議するルルーンはやっぱり他の仲間に少し似ていてなんとも言えない気分になった…。


「…ま、いいや。じゃあな、色々とありがとな」


「う、うん…。またね…」


…なんだか元気が無くて寂しそうだ…。


(あぁ、調子狂うな…)


「一緒に来てみんなと寝るか?」


「!?」


「寂しいんだろ?どうせあいつらの事だから1人位増えてても問題ないと思うからな」


そもそもサイズがマニレベルなので4.5人増えても変わらないというのは驚きの事実(棒)だ。


「どうした?行かないのか?ならいいんだけど」


「い、いく!ちょ、ちょっと待ってよぉ!!」


慌てて追いかけてくるルルーンについつい笑みが溢れる。


彼女の事はまだ殆ど知らないが、きっと自分にとってとても大切な人物である、そんな風に思ってから客観的に自分を見つめ直して顔から火が出そうになった…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ