89話 暗躍するお調子者
ちょっと最近思うように進まないですorz
また長く空いたらごめんなさい!
ウッソと愉快な仲間達の一件から約2週間が経った。
その間小吉達とついでにコルオ達は武術に置いては圧倒的な技術を持つハンニバル達に当初の予定通り武術を仕込んで貰っていた。
小吉、コルオ、ミディーヴァ、イナリ、ついでにラッツはハンニバルとダイゲツに剣を、ライアーはケイリスに槍を、セリスは元々の技術が殆ど完成していた為今回はケイリスから護身用に短槍を教えてもらっている。
マニとフラールはハンニバルから格闘の事を空いた時間に見てもらい、それ以外は自分達で組手的な事をしているが大きさがあまりにも違うので傍から見ると凄くシュールな光景になる。
それ以外のメンバーは戦い方が音だったり翼だったりと特殊な物が多いので今回はノエルとシエルという魔術のスペシャリストが居るため魔術の訓練を行っている。
「むむむむ…………」
"トトーナ違うよ。こうだよ…"
ノエルが両前足に力をほんの少し加えるとほんのり明るい光の球体が生まれた…いわゆる初級の明かりの魔術だ。
「う〜ん…えい!」
ぼふん!!
トトーナが半ばやけくそで無理矢理魔力を練り上げると両手の間の空間が爆発してしまった…。
「分かんなーい!」
「ま、まさかトトーナちゃんの魔術の素質がここまで壊滅的なんて…」
"あはは…流石にお手上げだね…"
「見てください!私飛んでますよ!」
人化したリリーが嬉しそうに空を飛んでいる。
服はミディーヴァの物を借りて着ているため前みたいな痴女の様な格好では無くなった。
"リリーは凄いよ。あれ結構難しいんだよ"
"そうだよね。まぁ私達は余裕だけどね"
「あははは!楽しいー!鳥になった気ーー
ドン!
ーーわひゃあ!?」
空をぐるんぐるん回って遊んでいると横から何かが飛んできてリリーに直撃……飛んできた何か共々地面に墜落した…。
「いってぇ……ま、まさかラッツに負けるとは…」
飛んできたのは小吉だった…小吉はすぐに立ち上がるが…
むにゅ…
「ご、ご主人様…みんなが見てますよ?」
「…俺はネズミの方が好きだぁぁぁ!!!」
…などと意味不明なセリフを残し猛スピードで元の場所へと戻っていった。
「でも私ネズミの状態だと話せないのに…」
「リリー大丈夫?」
「大丈夫ですよ。…ねぇトトーナ…私ネズミの方が可愛いです?」
「うーんと…ネズミさんの方が美味しそう!」
「ひっ!?」
「嘘だよー!あはは!!…えーっとねー…どっちも可愛いと思うよ!」
「ほっ…」
"ご主人様は僕達みたいな小動物が好きなだけだよ!"
"そうだよ!"
「はっ!?そういえばそうだった!」
リリーが目を丸くして納得する。
当たり前の様に撫で回されていたのですっかり忘れていた…。
"そんなことより授業再開!"
"トトーナも風の魔術なら出来ると思うから次は風ね!"
しかし案の定暴走したトトーナの魔力の真空刃が辺りの木を切り倒し、後日整備されたそこが広場として使われる様になったのであった。
…
……
………
「おぉぉ!!旦那に勝ったぞぉぉぉ!!」
「ラッツ…よくやったな。だが過信するなよ?魔力が無ければの話だからな。そして小吉は……………すまん」
「せめて何か言ってくれよ…」
「うわはははは!!これは笑える!ナイスだよラッツ!」
「コルオ…後で覚えておけよ…」
「いや、実際にラッツの太刀筋はかなり良いものだ。どうやら元々剣術に向いているらしい」
と、ボロクソに言われているラッツをハンニバルがフォローするがやはり悔しいものは悔しいのだろう…小吉は若干泣きそうになっている…。
「じゃあ一旦休憩にする。おーい!マニ!フラール!次はお前達だ!」
「はい!…フラールさん!今度こそ勝利を掴みとますよ!!」
「プランGです!やってやりますよ!」
ハンニバルがマニ達に向かっていく。一方何故か二人が異常なまでにやる気を出していて、目から火が出る幻覚すら見える…様な気がする。
「なんであいつらあんなに元気なんだ?」
「旦那…俺はあいつらが元気じゃないところなんて見た覚えが無いぞ…」
「それもそうだな…」
そう呟くと小吉は立ち上がりふと空を見上げる。
木々の間から少しだけ覗く空が綺麗だ。
まだ昼前だから余計綺麗に見えるのかも知れない。
「ん?」
ガサ…
今木の高い部分にある皮の一部が不自然に動いた気がする…。
「どうした小吉君?」
「いや、なんでもない…」
そして何気なく視線を逸らす。
ガサ…
「そこ!」
バスッ!!
動いた瞬間を狙い鞭を振るい、皮を砕いて弾き飛ばす事に見事成功した…そしてその向こうには…
「な!?い、いきなり何すんのよ!?危ないじゃない!!」
身長30cm程で黒いドレスを着て、不自然なフードを被っていた…それに顔には一際目立つ泣いた顔をモチーフにした仮面が付いており全体的に不審者的な小人?が居た…。
声色からして性別は女だと推測する。
「なんだあれ?」
「さぁ?魔物なんじゃないか?」
「…妖精って感じがするぞ?」
「いいかラッツ!妖精というものはもっと可愛らしくてのほほーんとした世界に居るんだ!こんな不審極まりない奴じゃないだろ!」
「旦那って変なとこで意地張るよな…」
「むきー!!!誰が不審者だぁぁ!!ラッツが言った通り私は妖精ですぅー!」
不審者が地団駄を踏んで抗議するが最早3人の中では不審者と決まってしまった様で、生暖かい視線を送っている。
「ん?…ちょっと待ってくれ。なんで俺の名前を知ってるんだ?俺の知り合いにお前みたいなのは居ないんだが…」
言われてみればと小吉とコルオも疑問に思い生暖かい視線から疑いの視線に変える。
「ふははは!聞いて驚くがいいわ!私は妖精の中でもトップに君臨する第36代妖精王ルルーンよ!貴方達の事は全て知ってるんだからね!」
妖精王(自称)はない胸を張って自己紹介するが一度定着した不審者というフィルターのせいで何か言うたびに評価が下がっていく。
「妖精って羽が付いている筈だけどどうして付いてないんだい?」
「それに妖精王ってのも怪しいよな…」
「旦那達の事を全て知ってるってのも気味が悪いな…」
「な、なによ!私は小吉の修行の為に遥遥こんな僻地に来てあげたのよ!感謝しなさい!」
「え?俺?」
「そうあんた!あとあんたの仲間!」
「いやいや、ハンニバルの修行で十分ーー」
「ダメよ!あんたにはもっともっと強くなってもらわないと困るんだから!」
「ちょっと待て!話が全く見えてこなーー」
「問答無用!」
フッ!
幾度も話を遮られた挙句目の前からルルーンが消えた…そして次の瞬間…
「は?」
小吉は空を舞っていた…そして遅れて腹部に強烈な痛みが走る。
ズドン!
「あれ?この程度反応出来てる頃だと思ったのに。はぁ…期待外れもいいところだわ…」
驚愕するコルオとラッツの前ではさっきまで小吉が立っていた場所で拳を上げてため息を付くルルーンが居た…。
「おい!小吉君!大丈夫か!?」
「ぉぉ…めっちゃ痛い…」
「それだけ喋れれば大丈夫よ。さて次はコルオの番ね!ラッツは下がってていいわよ。多分手加減出来なくて死んじゃうから」
「…お、おう…」
3人の中では既に先程までの舐め腐った感情は無くなっていた…、代わりに全力で挑まなければ死ぬという気持ちが湧いてきていた。
「早く立って。時間はあんまり無いんだから」
「…こんなことをして君に何のメリットがあるんだい?」
「メリット?それは言えないわ主様からあまり言わないように言われてるからね。それより準備はいい?私は待たないよ」
嫌な予感を感じたコルオが全力で防御に徹する…腕に一点集中で身体強化を施し模擬剣では無く自身の愛用の神剣を使いガードをする。
ズンッ!!
衝撃で数m後退するが視線だけはしっかりとルルーンを捉えていた。
「フレアガスト!!」
神剣を地面に刺しそれを支えにもう片手で業火を放ちルルーンを飲み込もうとする…タイミングも狙いもバッチリで避ける事も出来ない筈だ。
(いける!)
だがそれはいとも簡単に破られた。
ルルーンはほんの一瞬の間に複雑な魔法陣を構築し発動する。
ルルーンと業火の壁の隙間に構築された魔法陣から真っ黒な波が放出されあっという間に業火を呑み込むとそのままの勢いでコルオも呑み込もうとする
「っ闇の魔術!?」
ピタッ!
驚くコルオに触れる前に真っ黒な波は止まる…寸止めされたのだ…。
「小吉よりマシだけどまだまだね。ちなみに私を倒そうなんて思わない方がいいわよ。絶対に無理だから」
「ごほっ!ごほっ!デタラメみたいな強さだな…それにさっき"主様"って言ったよな?そいつはもっと強いのか?」
「あら、ようやく立ち直ったの?そうねぇ…まともに殺りあった事は無いけど多分主様の方が強いと思う。そんなことより貴方はもっともっと修行するべきよ?あの魔神だってそろそろ本腰を入れるわ」
「!?…ちょっと待て!本当にどこまで知ってるんだ!?」
魔神と封神晶の事は自分達と神達知らない筈だ…なのにそれすら知られているという事はそれに関わる連中ということになる。
「だから全部だってば、ぜ・ん・ぶ。……あっ!!」
と、そこでルルーンが何故か硬直して動かなくなった…何故か仮面に汗がツーっと垂れている…。
「ちょ、ちょっと用事を思い出したから帰る!」
そしてそれだけかなりの早口で言うとその場から掻き消えた…。
「…何だったんだ?一体…」
「わ、分からない…それより小吉君、魔神ってどういう事だ?」
「あぁ…えーっと…どこから聞きたい?」
最後に面倒くさい爆弾を残してくれやがったなとルルーンを恨む小吉であった…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
場所は変わって上下左右全てに星星が散りばめられた様な場所…恐らくヌルの"神の庭"にルルーンが戻ってきていた。
「あ、主様ぁ…た、只今戻りました…」
「……………………」
「お、怒ってます?」
「……………………」
「反省しています…」
「……………………」
「何か言ってくださいよぉ!!」
「……………………あまり勝手な事はするな」
「ごめんなさい…でも彼の成長が少し遅いと思うんだ…」
「…………はぁ、仕方無い…任せる」
「わっかりましたー!!」
くよくよしていたのは演技だったのかルルーンはすぐに普段のお調子者の様な感じに戻った。
ヌルは疲れたと言わんばかりにため息をつくのであった。




