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『プチ』モンスターテイマー  作者: BIG PURIN
神々と封神晶
87/95

87話 尋問


「さて、こいつをどうしてくれようか…」


「ご主人様…まるで悪役みたいですよ…」


「そうだぞ小吉。こいつと同じになっては駄目だ」


村の隅の場所と鎖を借りてウッソを縛り上げて転がしてあるのを小吉とライアーとマニは見下ろしていた。


「うわぁぁ!ごめんなさいごめんなさい!どうか痛めつけないでくれ!」


「などと意味不明な供述をしておりますが…てか勝手に喋るな。他の住民に迷惑だ」


「私があの一件の後商業都市に戻った時この男が捕まったと聞いたのだがな…何故こんな所に居るんだ?」


「おい、なんでだ?」


「俺と他数名の乗った護送車が同業者に襲撃されただけだ。俺はそれに乗じて逃げたってだけさ」


「で、なんでこんな所に居る?」


「ふふふ…聞いて驚くなーー


ドゴォ!


ーーふごぉ!?」


額に青筋を浮かべた小吉がウッソの腹に拳をめり込ませる。


「なんでお前が上から目線なんだよ…続けろ」


「ご主人様…相当恨んでますね…」


「当たり前だ!!俺より先にライアーのアレやコレをああしたんだぞ!これでも一応抑えてんだ!」


「はぅ…」


小吉の怒りの理由を聞いたライアーが恥ずかしさのあまり耳まで赤くして俯いてしまい、手は服の裾を握り締めている。


「そ、それで俺がなんでこんな森の奥に居るかと言いますと…魔王を退治しに来ました。で、退治しました」


「「「……………は?」」」


まるでこいつの言っている意味が分からない…それに魔王なら既に俺達が倒した。

ならこいつの言っている魔王ってなんだ?


「ご主人様!この人のポケットからこんなものが!」


マニがウッソのポケットから盛大にはみ出している棒を取り出して見せてきた…赤い棒?


「…………蟹の脚?」


「蟹の脚だな…」


「蟹の脚です」


「そうだ!それが魔王を倒した証だ!」


得意げに語るウッソに魔王を倒した3人は絶句する…なんだこのアホは、と…。


「お前アホだろ」


「この脚身が締まってて美味しそうですけど痛み始めて変な臭いがします」


「仕方が無い…それは生ゴミとして処分だな」


「え?なんでだ!?それは紛れもない魔王の脚だぞ!ちゃんと片腕だったぞ!」


「あっそ。よーし戻るか」


「ご主人様、この人どうします?」


「見張りを立てて放置だ。今イナリがあの2人に事情聴取してるからそれが終わってからどうするか考える」


ぶっちゃけ囚人として送って奴隷にでもなればいいと思う…俺はなんでも許すような聖人君子では無いのだから。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


小さい小屋の中には机と人数分の椅子とランタンだけがあり、奥側にカイとカメロが座っており手前のドアの傍にミディーヴァが、カイ達に向かい合う様にイナリが座っていた。

しかしイナリの座高が小さく肩ぐらいまでしか机からはみ出ていない…。


「それでは尋問を始めます」


((そっちの大きい女じゃないのかよ!!?))


子分2人はミディーヴァとイナリを交互に見て驚いている…それをみて考えてる事を察したイナリがむすぅ〜っと頬を膨らまして怒っていた。


「ごほん!では始めますよ!!」


「…………」


「貴方達はなんでとウッソと行動していたの?」


「「…………」」


「早く言わないと僕怒るよ?」


「逆に怒るところ見てみたいっすね」


「どうせ子供だろ?俺達も舐められたもんだ」


カメロは自分より上が居なくなったせいかさっきのへこへこした雰囲気からは程遠い口調に変わった…きっとこっちが素なのだろう…。


「ようやくあのアホウッソから解放されたと思ったら今度は尋問官ごっこのお子ちゃまかよ…ったく嫌になるぜ」


「全くっすね。おや?どうしたっすかー?尋問官様ー?可愛いお顔が台無しっすよー?」


「「あはははは!!」」


イナリは頬を更に膨らませて顔が少し赤くなってきていた…。


(イナリってあんな顔もするんだな…か、可愛い…)


ダンッ!!


椅子の上に立ち上がってイナリが机を叩くがどうにも迫力に欠ける為子分が余計笑い更に顔が赤くなってゆく…。


「余程怖い目に会いたいらしいね…漏らさないでよ?後始末が大変だから…」


「「あはははは!」」


「漏らさないでよだってよ!」


「おぉおぉ、怖いっすねー。わはははは!!」


「ねぇ?深海って知ってる?」


「なにをそんな一般常識を言ってんだ?あははははーー


ザブン!!


ーーうわっぷ!!」


突如部屋が水で満たされあたりが暗くなる…。

ランタンの明かりが弱々しくなるが消えはしなかった。


「ごぽごぽ…息がぁ………あれ?出来るっす…」


「本当だ…息が出来る…」


いつの間にか部屋には2人しか居なくなっており、弱々しいランタンだけが揺れてなんだか不気味だ…。


「おい、今の内に逃げるぞ」


「そ、そうっすね…」


カメロがドアを開けたタイミングでカイがランタンを掴み上げた…すると…


ふぉ…


ランタンの火が消えて辺りが黒一色に染まり上下左右の感覚さえも無くなった。


「おい!なにしてんだ!?早く火をつけろ!!」


「今やってるっす!」


ボッ!


幸いにもランタンの中に水は入ってなかった様で火が再び付き辺りが照らし出されて2人はほっとした…そして改めて逃げ出そうとした時…


ゴォォ!!


ドアの前を巨大な鱗が生えた"何か"が通り過ぎていった…。


「ひっ!?」


かなり長い"何か"の最後にはこれまた巨大な尾びれがあった…つまりこれは魚だ。


「ど、どうなってやがるんだ!?」


「わ、わからないっす…」


「…………よし…行くぞ…」


「正気っすか!?俺はごめんっすよ!」


「辛うじて地面は見えてるし泳げる…ちゃんと帰れるって!」


ランタンの明かりは半径5m程を照らしている。

一応地面と草は見えるのだ。


「わ、分かったっす…」


「…………行くぞ」


外に泳ぎ出した2人はまず辺りを見渡した。

明かりで照らしだされた範囲には不思議な形をした魚が泳いでいるがどれもこれも訳のわからない形や顔付きをしており不気味だ…。

後ろの小屋にも何やら藻の様な物がびっしり生えており、時々海老のような生き物がそこを歩いていた。


「気味が悪いっすね…」


「全くだ。よし、上を目指そう。此処が水の中なら水面がある筈だ」


「まじっすか…スゲー怖いんすけど…」


「つべこべ言わずに付いて来い。明かりはそれしかないんだ」


「仕方ないっすね…」


そして2人は上に向かって泳ぎ出した。

すぐに下が見えなくなって暗闇には自分達の体しか映らなくなった。

そしてどんどん泳いでゆく…、時には2m程の魚が出て来て涙目になったりしたがそれでもなお水面を目指して泳いでゆく。


「おい!あれみろ!上が明るいぞ!」


「よ、ようやくっすね…」


上を見るとまだ暗いが青く光っているのが分かる。


「自由だ!俺達の勝ーー」


ゴォォ!!


「!?」


突如余裕の表情をしたカメロを下から凄い速さで迫ってきた何かが呑み込む…。

巨大な胴体に大きなヒレ、そして鱗…あの巨大魚が襲ってきたのだ。


「う、うわぁぁあぁあぁ!!!?」


そのまま巨大魚は泳いでゆく…。

後には赤い霧の様な物…血が漂っている…。

そしてカイはその巨大魚を目で追っていって下を見て絶望した…なぜなら…


「ーーーっ!?」


慣れてきた目に映ったのは自分より遥か下にあの巨大魚がまだまだ沢山居たのだ…。

そのどれもがこちらを向いて恐ろしい顔に付いた口を開け、びっしり生えた鋭い牙をこちらに向けていたのだ…。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ぎゃぁぁあぁああ!!!?」

「うわぁぁあぁあぁ!!!?」


「こいつら五月蝿いな…何を見せているんだ?」


ドアに持たれたミディーヴァが両耳を抑えてイナリに問う…。

これをやった張本人のイナリも耳を抑えて苦笑いする。


「自分の何千倍も大きな沢山の化け物に襲われる幻覚を見せたんだ。僕を侮辱した罰だよ!」


下手したら一生もんのトラウマを現在植え付けられているのを見てミディーヴァは決してイナリだけは怒らせない事を誓ったのであった。

私はダイバーさんを尊敬します…。

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