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『プチ』モンスターテイマー  作者: BIG PURIN
神々と封神晶
75/95

75話 旧魔王


カランカラン…


「ふぉっふぉっふぉっ!食った食った!これで準備はOKだぞ!」


「ふん!せいぜい食った分の働きは見せろよブルタン。なにせ食料4ヶ月分も食ったんだからな」


「問題は無い!そもそも人形とアレで十分な戦力であろう?それに侵入者も落としたしな」


「はぁ…お前はもう少し危機感というものを持った方がいい。まぁそんなことはいい、アレを完成させに行く。今度はお前にも来てもらわないと困る…しかしその巨体どうしたものか…」


「ふぉっふぉっふぉっ!少しまて、今体を作り替える……ふんっ!!!」


ブルタンが手を合わせ力と一緒に魔力を放出すると足元に魔法陣が現れた。


シューーン!!


一瞬の眩しい光の後そこには巨漢のブルタンは居なかった…、代わりに高身長、筋肉質の厳ついゴブリンが居た…。


「っ!?お前、いつの間にそんな力を…?」


「お前を信用して無い訳じゃないが、何処から情報が漏れるか分からないからな。黙っていた。恐らく"人形"程度なら互角に渡り合えるだろう」


「ふ…ふははは!頼もしいぞブルタン!よし!行くぞ!これで我らゴブリン族の長年の野望が果たされるぞ!」


ファルスとブルタンは部屋の奥の暗幕を押し退け壁の一部を押し込んだ。


ゴゴゴゴゴゴ…


そして壁が開き通路が現れた…、中に2人が入ると壁が閉まり、2人は高笑いをしながら進んでいった…。



……


………


薄暗い階段をかなり下の方まで下っていくと沢山の大きなガラスの筒がある部屋に出る。

ガラスの筒の中では変な動物っぽい何かや謎の肉塊が液体の中でプカプカしている…。


ギョロリ…


「おぉ!おぉ!私の可愛いギョロちゃん!今日も元気か?」


ガラスの筒の中で皮膚が無い犬?の様な生き物は犬歯を剥き出しにしている。

どう見ても威嚇している感じだ。


「おぉ、そうかそうか!楽しくやっているか!」


「ふふふ…ファルス、お前の趣味は本当に分からんな」


「なんだと!このギョロちゃんの究極の美を理解できないと言うのか!?」


「ワシには関係の無い話だ。それよりも先を急ぐんじゃなかったのか?」


「うむ、そうだったな。バイバイギョロちゃん♪」


「ガルルルル…」



……


………


ギョロちゃんと階段がある部屋からかなり離れた1番奥の重厚な扉の先…明かりが少ない部屋の中央には分厚いガラスがあり扉側と奥側で部屋が仕切られている。


パチンッ!


フォルスがレバーを上げるとガラスの向こう側の明かりが灯り中にある物が見えてくる。


「フォァア!!」


ガラスの向こうには得体の知れない半液体で、不完全ながらも辛うじて獅子の姿を形とっている全長3m程のスライムの様な魔物が居た…。


「ほう、もう此処まで成長していたのか…」


「そりゃそうさ、なにせ幾つもの国宝級以上のアーティファクトを食わせたのだからな!此処だけは人形の氏族に感謝だな!」


「なるほど…」


「後は我々の魔力を少し分け与えて絶対服従させ、仕上げに例の方からもらったこの宝玉を埋め込めば完全体になる。こいつは我々に絶対服従する究極の魔物になるのだ!!さぁ、早速この機械を腕にはめるのだ!」


そう言ってフォルスがブルタンに装置をはめて自分にもはめる。


プシューー!!


「ファァーー!!!…フガァァー!!ガガァーー!!!」


ガラスの向こう側に霧状の何かが噴射されスライム状の魔物が暴れだす。


「ガァー!!!」


ピシッ…


魔物が咆哮すると部屋全体が揺れ、ガラスにヒビが入った…。


「グァァー!!!」


ドンッ!ドンッ!ドンッ!


「おい!何をしているフォルス!!早く宝玉を使え!!」


「そう急かすなブルタン!ちゃんと此処に宝玉はある!」


思わず後ずさりして2人は怒鳴る。

フォルスが慌てながら服の内側を漁り、ポケットの中から少し大きめのビー玉サイズの珠を取り出し呪文を唱えた。


「頭を持たぬ破壊の使いよ!神の如き智慧を授ける我に破壊のーー


バンッ!!


ーーゴフッ!?」


「おい!司祭が居たぞ!」


「本当か!?…お前達…覚悟は出来てるんだろうな?」


「穴に落とされた恨みとゴ〇〇〇の恨みを晴らしてやる…」


「な、何故か貴様らが此処に居る!?しかもこんな時に!?」


「ガルルルル!!!」


ドンッ!ピシッ…ドゴーン!!!


「いかん!ブルタン!…テレポート!」


フォルスがブルタンを掴んだ瞬間二人の姿が消えた…。


「グルルル…」


「小吉君…あいつら置き土産してったぞ…」


「…なんかやばそうじゃないか?…"大迷宮"に居たモンスター並に感じるんだが…。まぁ2人掛かりなら余ーー」


シュン!!ドゴーン!!!


突如魔物が残像を残して消えたと思った瞬間小吉の姿が消え、後ろの重厚なドアがひしゃげた…。


「は…?小吉君!?」


コルオは剣を抜き声を出す、だが目はしっかりと魔物を捉えている。

挙動の全てを隙がないように観察していく。


シュ!!


(早い!?)


認識できた時には既に視界を覆う様に迫っていた。


「っ!?」


間一髪剣で衝撃をそらし、そのまま体を捻って回避をした。


「グガァァ!!」


魔物は当たらなかった事が悔しかった様で今度は連続で色んな角度からすれ違いざまの攻撃をする。


「…………っ!!」


コルオは最早喋る事も出来ずに攻撃を受け流す事に全集中力を使う。


ガガガガガガガガ!!


驚きのスピードで攻撃を繰り出す魔物の猛攻にコルオは若干劣勢気味だ…。

次々と傷が増えていく。


(これはまずい!!小吉君は何をしているんだ!?)


ピーン……


「ガァ!?」


そしてしばらく攻防を繰り返していると突如魔物の動きが止まった…。

息を切らしてるコルオは魔物の胴体に巻き付いていて、部屋の色んな場所に絡み付いている紐の様な物がある事に気がついた。


「はぁはぁ…いってぇなコノヤロー!!」


どうやら小吉が鞭を使って縛り上げていたようだ。

小吉は頭から血が垂れている事も無視して魔物に駆け寄る。


「だりゃぁー!!!」


そして思いっきり頭を蹴りあげ、瞬間的に鞭を解いてマキナ・カリバーンに変える。


ズンッ!!


「コルオ!」


「あぁ!」


そして蹴りの衝撃で天井にめり込んだ魔物に追い討ちを掛けていった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


シュン!!


先程の上の隠し階段があった部屋にフォルスとブルタンが戻ってきていた。


「はぁはぁ…何であいつらがあそこに居たんだ!?」


「知らん。それよりもどうやってあの魔物を手なずける?それが最優先だ」



「…!?、リンネ!ミディーヴァ!司祭が居たよ!」


「「!?」」


フォルスとブルタンは良く見ると部屋の至る所でゴブリン達が倒れている事に気がついた…。


「見つけましたわよ!さぁ!友人の大切な恩人を返してもらいましょうか!」


「イナリの師匠を惑わすとは…手足の5.6本は覚悟してもらおうか?」


「あれ?話に聞いていたデカイゴブリンが居ないね…。とりあえず捕まえるよ!」


セリスが素早く弓を構えて弦を引き、白色に光る矢を射る。

矢は途中で倍々に増えていって壁の様になりながらフォルス達に迫る。


「くくく…」


ズドーン!!!


しかし突如天井が崩れ見覚えのある片腕の巨漢…魔王ハンニバルが現れた。


ハンニバルは崩れた天井の一部を盾にして矢の壁を防ぐ。


「魔王!?」


「探す手間が省けただけだ!それに奴は手負いだ!行くぞ!」


前衛であるミディーヴァが単身でハンニバルに肉薄してラッシュを掛ける。


♪〜♪♪〜♪〜〜♪


そしてリンネの演奏と歌声によりハンニバル達の動きが鈍くなり、ミディーヴァの動きが鋭くなる。


「ガァァ!!」


対してハンニバルは絶妙な間合いで攻めてくるミディーヴァに苛立ち、大剣を横凪に振る。


「ふっ!」


しかし抜群の破壊力を持った大剣は素早いミディーヴァに掠る事も無く、後ろに回り込んだミディーヴァはハンニバルの膝裏の鎧の隙間を横凪に切り付けた。

筋の切断には至らなかったが大きくバランスが崩れる。


「ミディーヴァ!…へビィスナイプ!!」


ゴォゥ!!!


ミディーヴァが素早くその場から離れた直後、極太の矢が轟音と共にハンニバルに直撃…。

大きく後ろに吹き飛び鎧は粉々に砕けハンニバルが吐血する…。


「ゴガァ…が…はぁはぁ…」


「すまん、イナリの師匠殿。しばらく眠っていてくれ」


ミディーヴァは刀を鞘に戻し、それを使ってハンニバルの首筋に打撃を加える。


ドンッ…


「さて…後はお前達だな?」


「は、ハンニバルがやられたぞ!!どうするんだ!?」


後ろで傍観していたフォルスが騒ぎ出す…。

しかしブルタンだけは至って冷静であった。


「別に問題は無い。相手はたかがハンニバルを圧倒できるだけの実力だ…」


「なにを言っている!ハンニバルにすら勝てなかったお前が勝てる筈がないだろう!?」


「………………」


「おい!何とか言ったらどうだ!ブルターー」





ドスッ………






「は?」

「え?」

「なっ!?」


「ふふふ…フォルス、しばし休むといい。後は我に任せろ…」


「くくく…なるほど…そうさせていただきます。我が君…」


バタン…

コンッ!コロコロ…


フォルスが地に伏して宝玉が転がる…。

ブルタンがそれを拾い上げるとフォルスはいきなり腐ってゆき、風化し、跡形も無くなった…。


「ふぅ…やはり消耗しているな…。フォルス、ブルタン、お前達はやはりいい働きをする…世界を手に入れたら再び呼び戻し我に仕えさせよう」


「何を言っている!司祭に何をした!ブルタン!」


完全にミディーヴァ達3人は驚いて戸惑っている…。

彼女達は司祭を捕獲するつもりでいたのにその司祭が目の前でもう片方のゴブリンに殺されてしまったのだ…。


「くくく…やはり人間というものは物分かりが悪いようだな…。私はそもそも"ブルタン"じゃない」


ドクン…ドクン…


ブルタンの姿をした何者かからどす黒いオーラが溢れだし凄まじい殺気を放ち始める…。


「ブルタンとフォルスは実に素晴らしい我の忠実な重鎮だ…。何百年も前にに世界を手に入れる一歩手前で勇者に敗れ封印された我を…時を越えてまで復活させてくれたのだ…」


ドクン!…ドクン!…


殺気が物凄い圧力となって3人に襲いかかる。

ハンニバルの比ではない強さに冷や汗が滲む。


「ふはははは!!覚悟するがいい人間よ!!我が名は旧魔王グレンデル…人間共を滅ぼし世界の王となる者だ!!!」

ちょっと分かりにくかったらごめんなさい!


要はフォルスとブルタンは忠犬だったのです!


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