73話 潜入-3
虫が嫌いな人もそうでない人もご注意下さい。
きっと作者は小吉とコルオに殴られますね!
「「のわぁぁあぁぁ!!!」」
今、小吉とコルオはファルスに落とされて絶叫を上げながら落下中だ…。
キラッ…
そのうち底が見えてきて、何かが光るのが見えた…。
「針!?小吉君!俺に捕まっていろ!」
とりあえずコルオの左腕をがっしりと掴んでおく。
するとコルオは右腕を上に伸ばした。
ガシュン!!
ザクザクザク!!
コルオの右手首に装着しているガントレットからアンカーが複数射出され、四方の壁に突き刺さった。
「ぐっ…」
加速がついた男2人分の力がコルオの身体強化を掛けた右肩に掛かる。
それでも少し呻く程度ですんだ。
「た、助かった…」
その後腕輪から出た紐を掴んで少しづつスルスルと降りていってようやく底へと足がついたので、明かりを魔術で作り出す事で補う。
傍の針山にはゴブリンのものと思われる骨が沢山刺さっている。
「登れそうには無いな…」
「みたいだな…」
「とりあえず進むか…」
部屋には1つだけ通路が伸びていた。
そちら側に進む。どうやら下り坂になっている様だ。
「俺の知ってるこういう坂道って大体スイッチがあってさぁ、踏むとーー」
ガコンッ!!
「ごめん小吉君…何か踏んだ。それでそれを踏むとどうなるんだ?」
コルオが足元を確認して顔を上げると既に小吉は走り始めていた…。
ゴゴゴゴゴゴ…
「ん?…ぎゃぁぁ!!?」
不審な音に振り返ると大きな丸い岩が転がってくるのが見え、反射的に全速力で逃げ始めた!
「今俺は本気でお前を殴りたい!!」
「すまん!!こればかりは本当にすまん!」
全力で逃げているが、坂道なのと暗く足場が不安定なせいで若干岩の方が早い。
「落ち着け!大体こういう時は横に横穴があるもんだ!!」
「本当か!?」
しかし当たり前だが横穴なんてものは見えてこない。
冷静な小吉なら無いことなど分かりきっているだろうが焦りが大きくまともな判断が出来ないでいた。
「無いじゃないかぁぁ!!!」
「落ち着け小吉君!無ければ作ればいいんだよ!!」
そう言ってコルオがフレアボムで前方に穴を開けて中に滑り込む。
「てめぇ!!一人用かよ!!!」
しかし一人しか入れない様な穴だった為に小吉は1人取り残されて走っている。
「くそっ!落ち着け…落ち着け…」
しかしコルオに対する怒りが増すばかりで段々と思考がどうやって仕返しするかに変わってきた…、そして…
「コルオー!!!!」
魔装具の鞭を取り出して振るう。
振るわれた鞭は壁に刺さり、出てきてまた別の壁に刺さるを繰り返してネットを形成する。
岩がネットに当たるとネットがゴムの様に伸び…
ミシミシ…
「吹っ飛べぇーー!!!」
弾き返した!
「ふぅ…危ない所だった…」
ゴゴゴゴゴゴ…
「ん?」
ゴンッ!!!
起き上がったコルオに大岩が直撃して砕ける…。
その際足元の岩も一緒に砕けた…。
パラパラ…ボコォ!!
「ぐぉぉぉ!!!?いってぇぇ!?」
瓦礫の中から這い出てきたコルオが悶えて転げ回る…。
「いやぁースッキリしたよ!てか痛いで済むんなら最初から砕けば良かったな…」
…
……
………
「たんこぶが出来たんだけどぉ…」
「知らん!天罰が下ったんだよ!」
「確かにあれは悪かったと思うけどこれは酷くないか!?」
「忘れてる様だがあれを転がしてきたのはお前だからな?」
「じゃあもし逆の立場だったら同じ事をするぞ!いいな!」
「お前は子供か!?」
「君に言われたくは無いね!!」
またもや口喧嘩に発展した2人…。
ライアーやセリスが見たら恐らく溜息をつく光景だろう。
「なんだとぉ!?」
「おっ?やるか?こいよ!ここなら誰にも邪魔はされないからな!!」
そしてとうとう掴み掛かっての殴り合いに発展してしまった…。
ドカッ!ゴッ!ガツッ!
小吉が放った左ストレートをコルオが紙一重で躱して、そのまま勢いを乗せた蹴りを繰り出す。しかし小吉がそれを上手く掴んで壁に叩きつけてから坂の上方向に投げる。
「がはっ!?」
「はぁはぁ…どうせまだ立てるんだろ?こいよ肩書きだけ勇者君」
ぶちっ
「はぁ!?なんか言ったか?ロリコン冒険者が!」
ぶちっぶちっ
小吉が一気に距離を詰めてコルオに殴りかかる…、コルオも小吉に向かって行って拳を振りかぶる。
ゴスッ!!!
他に誰か居たら思わず顔を顰めるであろう凄い音がして人影が吹き飛ぶ。
吹き飛んだのは…小吉だ…。
坂の下に向かってかなりの早さで飛んでいくがその顔は笑っていた。
「っ!?」
唐突にコルオの体が思いっきり前に引っ張られ壁に体を叩きつけながら坂道を猛スピードで下っていく…。
(ぐっ!?これは…鞭か!?)
コルオの体には鞭が巻き付いており、それに引っ張られたのだ。
「ははは!!作戦通り!肉を切らせて骨を断つーーん?」
唐突に視界に映る景色が変わった。
どうやら坂道を抜けてそのまま広いホールの様な場所に落ちてきた様だ。
ドンッ!ドサッ!
2人がホールの床に叩きつけられ、その拍子にコルオの明かりの魔術が切れて小吉の弱々しい明かりだけが残った。
「いててて…」
「お前…本当にタフだな…」
「その言葉…そっくりそのまま君に返すよ…」
「で?まだやるのか?俺はヤル気満々だぞ」
「小吉君こそ今更謝っても遅いから…な!!」
そう言ってコルオが飛び掛った時…
キチキチ…
「ちょっと待った!!何か居る…」
「はぁ?ハッタリだったら無防備のお前を殴る権利を貰うからな…ライト!」
そう言いながらもコルオは自身の切れてしまった明かりの魔術を行使する。
辺りが照らし出され部屋の全貌が見えてくる…。
「な、何だこれ…」
「残飯か?」
途端に途轍も無い腐臭が漂ってきて思わず顔を顰める。
周りには食べ物や排泄物らしき物が沢山落ちていて山になっている。上を見ると沢山穴があり、今も少しゴミが落ちてきた。
どうやら側面の穴から落ちてきているせいか真ん中にはあんまりゴミは無い。
運が良かったのは真ん中から落ちてきた為に残飯の上じゃなく何も無い土の上に落ちてきた事だろう…。
「oh…」
「臭いね…でも何も居なく無いか?よし!小吉君!そこで"気をつけ"をしたまえ!…殴ってやる」
キチキチ…
「どうした?小吉君?怖くなって声もでなくなったのか?」
顔が青ざめた小吉は後ろを指さした…。
「そんな古典的な罠に掛かるか!!」
キチキチキチキチ…
「……罠に掛かった訳じゃないーー」
やはり後ろが気になったコルオが振り向く…そして絶句した。
キチキチ…
「ギュピーー!!」
「キシャーー!!」
後ろに居たのは超巨大化した体長80cm程のゴキ〇リだった…。
「「!?」」
一瞬で鳥肌が全身に浮かび上がり息をするのも忘れた。
「しょ、小吉君…こ、此処は協力しようじゃないか…」
「あぁ…」
「キシャー!!」
「「ぎゃあぁ!!?」」
とりあえず反対方向に駆け出すが反対のゴミ山からもゴキブリが這い出てきて居るのが見えた…。
というか周りの全ての山から這い出てきている。
「と、とりあえず背中合わせだ!」
「知ってるかコルオ…ゴキブリって何でも食うんだぜ…」
「言うな!薄々そんな予感はしてたんだよ!!」
「シャァーー!!」
「うわぁ!!?」
ザシュ!!
そのうち1匹がコルオに飛び掛ってきて、それをコルオが真っ二つに切り裂いた。
「ぎゃあ!?飛び散ったぁ!!」
それを皮切りに他のゴキブリもいっぺんに飛び掛ってきた。
「上だ!!」
咄嗟に天井に向かって鞭を飛ばして突き刺さった所で返しを形成し自分とコルオの体を上に引き上げる。
「た、助かった…」
下では未だにゴキブリ達が喚いているのが聞こえる…。
精神衛生にかなり悪い…。
「コルオ、とりあえずアレを燃やせないか?そろそろ色々キツイ…」
「やれない事は無いが熱いのは覚悟しろよ?フレアワールド!!」
コルオの手から出た炎が地面に降り注ぎゴミの山ごと燃やし尽くす。
熱風が熱いがアレよりは遥かにマシと言えるだろう。
やがて全てが燃え尽きたので下に降りて来た。
「もうあんな体験はゴメンだな」
「それは君に同意見だ。それに見ろ、あそこに通路がある」
どうやらゴミの山に通路が隠れていた様で、これは不幸中の幸いと言えるだろう。
「なんか臭いな…」
「そりゃ大量に燃やしたからね」
「いや、そういう臭いじゃなくて…なんだろう?よくわからんな」
「気の所為だろ…」
「…まぁいっか。さて、先に進むとしよう!さっさとこんな変な場所からおさらばしたいからな」
「全くだ…早く水浴びがしたい」
そして2人は通路の先へと進んでいくのであった。




