65話 さよなら!
遅くなってすみません!
段々と忙しくなってきましたね…。
ユリウスを倒してから二日目の早朝、荷物を纏めた俺達はヘルメスのエレベーターホールにてクラウス達から見送りを受けていた。
「小吉殿、お主達の旅の目的は知らないが相当な事だとは分かる。もし何かあっても技術都市ヘルメスはお主達の後ろ盾となる事だけは覚えていてくれ」
「おう!ありがとな!……覗きのおっさん」
「お、お前!?まだそれを言うか!?一応首長なんだぞ!?」
「だってしんみりした空気嫌だしな」
「ご主人様ならそう言うと思いましたよ…」
「だよね…」
ふぅ…っとマニとイナリが溜息をつく。
しかし2人とも目は笑っている。
「小吉さん!今回は本当にありがとうございした!この恩は末代まで忘れません!」
クラウスが物凄い勢いで頭を下げてくる…俺、今しんみりした空気嫌だっていったよな?
「そんな身分の高いやつがそんなに頭下げるなよ、他の貴族から舐められるぞ?あとお前はいい加減気付いてやれ…」
「はい?」
「あのな…アリーー」
「ダメー!!!」
「うごふっ!?」
アリスが俺の暴露を止める為にショルダータックルをかましてきた…そしてそれは綺麗に無防備な鳩尾に入って息が詰まる。
「はっ!?ごごごごめんなさい!!」
「いやアリス…今のは小吉が悪い…」
「ライ…アー…お前は…俺の味方じゃ…ないのか?」
「それとこれとは話が別だ!という訳で全面的に小吉が悪い」
「え?何の話しですか?」
クラウスがイマイチ状況を呑み込めなくてキョロキョロしてる…。
「トトーナちゃん、是非また来てアリスと遊んであげておくれ。あなたが1番年が近いからね」
「うん!おばあちゃんも元気でね!」
すっかり体調が良くなったリムールおばさんが優しい手付きでトトーナの頭を撫でる。
「あとこれ、クッキーを焼いたからみんなで食べてね」
「おー!」
甘い物に目が無いトトーナが目を輝かせて包みを受け取る…若干リムールおばさんが呆れている様にも見えた。
「本当は俺もついていきたいんだが…第一王子だから出られないんだよな…」
「ふふふっ…また遊びに来ますから大丈夫ですよ。これで最後って訳じゃないんですから」
「あはは!そうだな!」
ちょっと離れた所ではクリントとフラールがなんか話しをしている…。
その様子を伺っているとちょんちょんと肩を叩かれた。
「小吉殿、必ず戻ってきてくだされ…クリントの為なのだ!」
「って言われてもな…アレは個人の問題だしな…」
(それに俺にはフラールがクリントの事を友達としか思ってないようにも見えるんだがな…)
「孫の顔を拝むまでは死なぬぞぉ!」
「あっ。ちなみにフラールはゴーストだからな」
最近は以前と比べて透明ではなくなってきている…近くで見ると後ろの景色が分かるが、基本ローブを着ているので分かりにくいのだ。
「ゴ、ゴースト?つまりなんだ?彼女は幽霊なのか?」
「多分?」
「………孫はどっちになるのだ?」
「知らんわ!それにそもそも結婚するかすら定かじゃないだろ!」
話が飛躍しすぎなんだよ!とんだ親馬鹿だな…。
しばらくの間それぞれが個々に話していてしばしの別れを告げ、最後にエレベーターで地上へと上がっていった。
…
……
………
「やば…外ってこんなにも眩しかったか?」
「ずっと地下でしたからね」
「暑いので僕地下に戻っていいですか?」
「ダメに決まってるだろ?ほら、トトーナの方が文句を言わずに……」
俺はそう言いながら手をつないでいるトトーナを見る…。
「はぁはぁ…」
「トトーナ?大丈夫ですか?」
なんかトトーナが1番へばってる様に見える…見た感じ文句を言わないんじゃなくて言う元気が無い様な印象だ…。
「大丈夫か?まだ外に出て5分位だぞ…」
多分トトーナは羽毛が生えている為にそこが異常に暑のだとは思われる。
しかし此処に来る時はこんなにもへばっては無かったよな?
「はぁはぁ…お姉ちゃん…氷…」
「了解!…………っ!!…はい氷です!」
まるで抱き枕みたいなサイズの透き通った氷をトトーナは受け取ると嬉しそうに顔を押し当てた。
(絶対にこれ頭が痛くなるだろ…)
(((ご主人様ー!!!)))
「うわぁぁぁ!?小吉ー!!!助けてくれー!!」
先行してナノ達を迎に行った筈のライアーの声がする…そして声のした方を振り向くと物凄い砂煙がこちらに迫っていた…。
「いっ!?」
「えっ!?」
「わっ!?」
ナノ達が涙を流しながらこちらに向かって爆走してくるのが見えた…その後ろには宙に浮いて必死にナノの尻尾を掴んでいるライアーが居た…。
「馬鹿馬鹿!!?止まれ!!」
(((イエッサー!!)))
ナノ達は馬鹿正直に急停止をする…。
「えっ?わぁぁ!!?」
すると当たり前だが慣性の法則にしたがってライアーだけが前に飛んできた。
「リリー!退いてろ!」
(は、はいぃ!!)
すぐさまリリーがポケットから飛び出してムササビみたいに飛び降りた…。
俺は集中して勢いを殺しながらライアーを受け止めた。
ドサッ!
「大丈夫か?」
「し、死ぬかと思ったぞ……うぅ…口の中に砂が…」
俺は水筒を全身砂まみれのライアーに渡して立ち上がるとナノ達をこちらに呼び寄せた…。
そして拳を構えると手加減して頭を叩いた。
(あでっ!!)
(いたっ!!)
(うっ!!)
ついでに近くにあったちょっと多めの噴水に3匹を投げ込む。
ボチャーン!!
「お前ら…次こんな事したら唐揚げにするからな?」
(((ごごごごめんなさいぃ!!!)))
「…まぁ、一回も顔を出さなかった俺も悪いとは思うがな」
(((ひどい!?…おっ?)))
噴水の中で猛抗議するナノ達が突如フワフワと浮かび上がり目をぱちくりさせる。
しばらくすると噴水の中から水浸しのクロトが出てきた…。
「あなたが落としたのはこの金のナノちゃん達ですーー」
「なにをやっとんだお前はぁ!!?」
昨日から全然居ないと思ったらこんな所でアホをやっていた…。
…
……
………
「小吉さん!今回はありがとうございました!イルンも無事です!残りの仲間もよろしくお願いします!」
「ありがとうございました」
「別に礼はいいよ。所で君の姿は戻さないのか?」
「それが…魔力がカラになってしまっているから上手く出来ないんです…。でも数日もすれば元に戻れる筈です!」
「という訳でイルンはしばらく安静ですね!では、私達は戻ります!無事をお祈りしておきますね!1分くらい!」
「短っ!?」
「あっ!クロト様!ちょっと待って下さい!」
パタパタとイルンが俺の方に飛んできて肩の辺り、リリーが居る所に来た。
「リリーさん、1番お世話になった貴女にプレゼントです!」
(え?)
イルンから数枚の羽が抜けてリリーに吸い込まれていった…。
「貴女がやりたかった事が少し出来る様にしておきました!…クロト様、もういいですよ」
「そうですか?はい!では今度こそ皆様ありがとうございました」
パタパタとイルンがクロトの肩に止まるとそのまま掻き消える様に2人はその場から居なくなった。
「はぁ…疲れた…」
「旦那も大変ですな…」
そして次の目的地へと向かっていくのであった。
次から新しい場所に行きます!




