62話 お食事
この辺のグダグダがやばい様な気がします…。
「おーい、起きろ寝ぼすけ共ー」
「ご主人様…後…2分お願いします…」
「今起きるのも2分後に起きるのも変わらないだろ…」
イナリは具合がまだ悪そうなので彼女を起こさない様に他の仲間を起こす。
「トトーナ?」
もう一人、痛手を負ったトトーナのベットのカーテンを開けてシーツを退かす。
ついでに足の羽毛を掻き分けて傷の確認をしておく。
(大丈夫そうだな…)
「ふぇ…くすぐったいよ…」
「あっ、ごめん。それと朝だから起きろよ?」
「はーい!」
「しーっ!まだイナリの具合が悪いから大声出すな」
「ご、ごめんなさい…」
「分かればよろしい」
なんかショボくれていたのでトトーナの頭に手を乗せて撫でる。
今日も良い触り心地である。
「お前らもさっさと起きろよー」
(後3分…お願いします…)
お前はどうせポケットの中で寝るだろ!と考えながら丸まってるネズミを首筋を摘み上げて胸ポケットに収納する
(もっと優しくお願いします…)
ついでにまんじゅう状態のマニを持ち上げる…するとその下にぷちまんじゅうが寝ていた…。
(えっ?まだあのままなの?)
とりあえず規則正しく上下に動く(恐らく呼吸?)まんじゅうを幅がある胸ポケットに入れておく。
(おっ、抱き枕…)
「…それ一応マニだからな?」
ちょうどいいサイズのまんじゅうをリリーは小さい両手で抱えてプニプニして遊んでいる。
で、一緒に寝てた小鳥はとりあえずクロトに預けた…。
「イルンー朝ですよー」
「すぴー…すぴー…すぴー…」
(あっ!クロトさん!その子随分と泣いて疲れ果ててたのでゆっくりさせてあげてください!)
「りょーかーい!」
さて…小さい奴らは起きても準備する事なんて無いのだがライアーは違う…流石にシャツと薄手の半ズボンにアホ毛が立っている状態で食事に出向くなんていくら国を救った者としても失礼過ぎる…。
「すー…すー…すー…」
「小吉さん!これはあれですよ!」
「…あ?アレ?」
「目覚めのキッスですよ!」
「…………はぁ!?」
突如出しゃばってきたアホ神がアホな事をキラキラした純粋な目で見てくる…。
止めろ!お前の目はそんなにキラキラしてない筈だ!!
「恋人の甘い目覚めのキッス…小鳥が鳴く清々しい朝…王子様の口付け…女性の憧れですよ!」
「ちょっと何言ってるか分からないデス…止めろよ…鳥肌がやばい…お前ってそんなに気持ち悪かったか?」
目を無邪気に輝かせて迫ってくる。
おいおい…こいつ本気で言ってるぞ!?
医者だ!医者を呼べ!
「さぁ!やるのです!お姫様が待っていますよ!」
ガッ!と頭を押さえ付けられて無理矢理やらせようとしてくる…。
「いやいや!!これなんか違うから!!誰もハッピーにならないから!!」
「さぁ!観念するのでーー」
シャンッ!!!
突如カーテンが動き、その向こうから青白い炎を纏った長い刀が突き出てきた…。
その切っ先はクロトの目に突き付けられている…。
俺達とイナリのベットの間にはトトーナのベットがあるため、二次災害として起き上がろうとしたトトーナの目の前に刀が突き出てきてしまい顔面蒼白になっている…。
「ウルサイ…」
「「「ご!ゴメンナサイィ!!」」」
…
……
………
「小吉ー準備出来た…ぞ?」
「ぐすっ…ひっく…うぅ…」
「はいはい、ごめんごめん…俺達が悪かった…トトーナは悪くないぞ」
俺は泣くトトーナを抱っこして落ち着かせる…完全に親子の図だな…。
「うぅ…小吉ざん…私も慰めで下ざい…」
「お前は自業自得だろ…ようやくライアーの支度が終わったか…」
「…一体何をやってるんだ?」
「いや…ちょっとアホ神がバカやらかしたせいでイナリがマジギレしちゃっただけだ…」
コンコンコンッ!
「お食事の準備が出来ました!準備が出来ましたら案内致します!」
「…だそうだ。トトーナ、大丈夫か?」
「うん…」
「小吉さん…ちょっとまっーー」
「よし!行くか!」
さっと気を切り替えて部屋を出る。
どうしたらいいかしどろもどろになっているライアーの背を押して外に出す。
マニは未だに頭の上で器用にバランスを取りながら寝てる。
「あれ?クローさんは?」
「ほっとけほっとけ…そのうち来るだろう。それとイナリがまだ調子悪いみたいなんだがそっちの食事を用意出来るか?」
「はい!大丈夫です!後でお持ちしますね!…では御案内致します!」
…
……
………
「おぉ、凄いな…」
「私もこういうのは初めてだ…」
趣味が悪くならない程度に綺麗に装飾された部屋の真ん中には料理が並んだ長テーブルがあり、既にラッツとフラールが座っていた。
横のドア付近では執事とメイドが待機している。
「お?傷は大丈夫ですか?旦那?」
「ん?あぁ、俺とトトーナは大丈夫だがイナリがまだ調子悪そうだったな。そっちこそ大丈夫だったか?」
「もうバッチリ!フラールちゃんがバッキバキに頑張ってたからな!わはははは!」
「そ、そんなこと無いですよ…」
「お前…それでいいのか…?」
「はは…は……それは言わないでくれ…」
自分でも思っていたのかショボくれる中年…。
「あっ!小吉さん!もう動いて大丈夫なんですか!?全身の骨にヒビが入ってたんですよ!?」
クラウスが別のドアから入ってきて慌てている。
てか俺そんな重態だったの!?
すると後ろからクスクスっと聞こえたので振り返るとクロトが笑っていた…お前のせいか!
「はっ!?大丈夫か!?小吉!?」
ついでにライアーも慌てふためく…俺の身を案じてくれているのか…。
「なんか大丈夫みたいだったわ…心配かけたな」
「だ、大丈夫ならいいんですけど…調子が悪かったらちゃんと言ってくださいよ!」
「な、ならいいんだが…無茶はしないでくれよ…」
そしてしばらくするとクリントも入ってきた。
すると待機していた執事とメイドが椅子を引いてみんなを座らせる。
「みなさま、おはようございます。中には知らない人も居るだろうから自己紹介をする。私は技術都市ヘルメスの旧国王、現首長のデッケンだ。よろしくたの…む…」
デッケンは座っている人を見渡してある人物に目が止まった…。
俺も何事かとデッケンを見る…。
「「あーー!!?」」
「覗きのオッサン!?」
「あの時の暴漢!?」
「「「「「「「え?」」」」」」」
ザワザワ…
「なんでアンタがここにいるの!?」
「なんでお前がここにいるのだ!?」
「俺はコイツらのリーダーだ!」
「ワシはこの都市の首長だ!」
「あのー父上…小吉さん…2人同時に話していては聞き取りづらいんですが…」
「のぞき?ぼうかん?」
(トトーナちゃん!考えちゃダメ!)
…
……
………
「さっきは済まなかった、小吉殿…いや、この国の英雄よ…」
「こちらこそ先程はすみませんでした…。…英雄?…はぁ…」
やっちまったとばかりに額を抑えて机に突っ伏す小吉…。
(ですよねー…)
「む?気に触ってしまったか?」
「いや、別に大丈夫だ…」
小吉の内心に気が付いたライアーがスープを飲みながら気になった事を尋ねてきた。
「なぁ?どうして小吉はどうしてそんなに英雄になりたくないんだ?」
「それは僕も気になりますね…」
その場に居た他の人々も興味を示してくる…別に大した理由じゃないのに引くに引けない…気まずい…。
「だって…絶対に面倒事が起こるだろ?なんか依頼されたりちょくちょく偉い人に呼び出されたり…絶対に面倒だ…」
「なるほど!そういう考え方もあるんですね!」
「フラール…そこは感心しなくてもいいと思うぞ…」
「そうか…なるほどな…では小吉殿の事も友人としておこう」
「まぁ、そっちの方が気が楽だな」
(このクッキー凄く美味しい!!)
カリカリカリカリ…
リリーが机の上にいるマニの頭に座りながら両手でクッキーを持って齧っている。
お前は空気を読むことを覚えてくれ…。
「ご主人様!このお肉も美味しいですよ!」
マニも机の上に乗って料理を両手に持って食べていた。
「ぷっ…あはははは!!」
「あ、兄上…わ…笑っちゃ…ダメ…ぷふっ!」
「あはは!!お前も笑ってんじゃん!」
「コラ!お前達!客人の前ーーふふぉっ!…」
おいこら首長…止めに入った奴が笑うなよ…。
ついでにラッツも仲良く笑っていて、段々と笑いが伝播していくこの光景はなかなかにシュールだ。
「どうしてこうなった…」
「リリー…ちょっと重い…」
(気の所為です!)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
暗い夜の様な月明かりしかない草原の様な場所では1人の男…魔神が激怒していた…。
「クソッ!また破壊された!…ユリウスに任せたのは失敗だったか!まぁいい、もともと奴はゴロツキの様な奴だったからな…」
魔神はユリウスをこの世界で選んだ時の事を思い出していた…。
「残りは4つ…約束を果たすのに必要なのは2つ…大丈夫だ焦る必要は無い…今更引き下がる事なんて出来ないからな…」
2014/10/6
(誤字の修正)




