61話 妄想
翌朝。
目が覚めた小吉はずーっと天井を眺めていた。
左腕にライアーが引っ付き、胸の上ではマニとリリーと例の小鳥が寝ていて、右腕には…
(なんでこいつがここに居るんだ?)
トトーナがすやすやとよだれを垂らして寝ていた。
それを除けば彼女の羽毛が柔らかくてとても気持ちが良いのだが…。
(いつになったら親離れしてくれるのだろうか…)
昨日のカップルを思い出し妄想してみる…。
…
……
………
「ご主人様!婚約者を連れてきました!」
ちょっと背が伸びたマニがとても嬉しそうな表情で報告に来た。
「どうも初めまして!マニさんの婚約者です!」
ちょっと待てぇ!!
普通のまんじゅう型のスライムしか浮かばねぇー!!
そもそも他のスライムをあんまり知らねぇ!!
というかスライムって子供できるの!?
(うん。マニは保留しておこう。次は簡単に想像出来そうなトトーナにしよう)
…
……
………
「パパ!お姉ちゃん!私の好きな人連れてきたよ!」
かなり身長が伸びて、出るとこも出てきた大人のトトーナが勢い良くドアを開けて入ってくる。
「ふふーん、お姉ちゃんの審査は厳しいですよ!」
確かに変な輩にウチの大事なトトーナを渡す訳にはいかないな…。
「ほらほら!入っておいでよ!」
「し、失礼します!」
入ってきたのは…
「お、お久しぶりです…」
多分大人になったアカネだった…
俺のバカぁぁぁ!!
なんで何も考えずに妄想して女の子×女の子になってんだよ!!
あぁもう!婚約者役がアカネで固定されちゃったじゃん!
一回固定されてしまった妄想の中のアカネを中々消す事が出来なくて仕方なく諦める事にした。
(…次はイナリか)
…
……
………
「ご主人様…あのね…僕好きな人が出来たんだ…で、結婚もしたいって考えているんだ…」
「ほぅ…」
「それでね、今日はその許可を貰いに来たんだ…」
「一応相手を見てーー」
「ご主人様!僕と結婚してください!」
だぁぁぁぁ!!?
どうなってんだ俺の深層心理!!?
なんで何も考えないでやるとこうなるんだよ!?
あぁもう!イナリ可愛いぃ!!
「へくちっ!!」
隣のカーテン…イナリが寝てる方からくしゃみが聞こえてきた。
(はっ!?俺は一体何をしているんだ…。暇だ…ん?右腕の拘束が緩んだな…後は左腕だが…)
俺は緩んだ右腕を抜いて胸の上にのった3人を退かすと残りの左腕を抜きにかかる。
(ゆっくりと…ゆっくりと…)
「……あっ…んっ…」
(止めろぉ!俺の脆弱な精神が持たないから!てかお前なんで上シャツ1枚で寝てんだぁ!!?)
まな板の様にペッタンコだが破壊力だけはある胸からやっとの思いで手を抜いて起きあがる…。
「ふぅ…」
伸びをして体をほぐす…まだ体の節々が痛い…。
ついでにトトーナを自分のベッドに戻しておいた。
(俺達は十分強いと思ってたんだけどな…まだまだみたいだな…)
頑張るか、と気合を入れ直していると後ろから声が掛かった。
「その息です!頑張ってくだーーむぐぅ!」
「お前…何時からそこに居た?あと声がでかい」
いつの間に現れたのかアホ神が後ろに立っていた…。
そろそろ来るだろうなとは思っていたがこのタイミングじゃなくてもいいだろう…。
俺はアホ神を部屋の外に連れ出す…中だと彼女達が起きてしまうからな。
「ぷはぁ!もう!いきなり何するんですか!?」
「大げさだな。で?何時からあそこに居た?」
「えーっと…確か夜に小吉さんがイナリちゃんを撫でてる辺りからーー」
「お前もストーカーかぁ!!?」
「はひぃ!?小吉さん…静かに、彼女達起きちゃいますよ?」
「おまえがそれを言うのか?」
「あっ。これお土産です!」
「話しをすり替えるな」
とはいいつつちゃっかりお土産を貰う小吉。
「で、今回私が此処に来た理由は小吉さん達のお見舞いもあるんですけど…彼女、イルンを引き取りにきました」
彼女とは恐らくあの小鳥の事だろう…。
「まぁ、大体予想は付いていたがな」
「彼女寂しがり屋なんで小吉さん達に迷惑かけてないと良いですけど…」
「その点に関してはお前が群を抜いてトップだがな」
「いやぁーそれほどでもないですよ!」
「…褒めて無いからな?」
なんかもう既に疲れた…。
俺は壁に手を付くと聞きたかった事を思い出した。
「なぁ?」
「何ですか?」
「別次元の魔神の事なんだけどさぁ…アイツってどんな人物なんだ?お前達を閉じ込めた張本人なんだろ?」
「…私達を閉じ込めたのは"彼"じゃないんですよね…」
「え?じゃあお前達を閉じ込めたのは別の神か?」
あの魔神が何かのコミュニティに入っているとは到底思えない…。
「多分そうです…分かるのはその神が異常なまでに強大だった事ですね…私達の中でも一番強かったフロートがやられてしまったのですから…。それと私達は魔神に関しては殆ど知りません。何が目的でどういった手段を持っているのか、わかる事と言えば別次元から来たこと…それと…フロートと同じ位強い事…」
フロートって確かこのアホ神の中の人格?だっけ?
やばい、そんなに覚えていなかった…。
「まじか…それとアイツ、普通に戦闘に加わってきたぞ…動けないんじゃ無かったのか?」
「え?もう動けるんですか!?」
「あっ、でもそんなに極端に脅威にはならなかったな…」
「え?…多分それは憑代を使っていたのではないでしょうか?」
「憑代?…確かに使っていたな」
今回だと封神晶から生まれたジェックだな。
「憑代を使っている時はその憑代の力に左右されます…運が良かったですね!」
「…じゃあ本体はもっと…」
「強いです」
珍しく真剣な表情でこちらを伺うクロト…。
恐らくそれだけヤバイ相手なのだろう…。
「あっ!もう起きても大丈夫なのですか!?」
通路の向こうからメイドさんが慌てて駆けてくる…あっ、転んだ。
「大丈夫か?」
「あ、ありがとうございます…すみません…」
「ライアーさんにチクっちゃいますよー?」
「お前は黙っとけ!」
「あら?クローさんもご一緒でしたか!ちょうど良かったです!」
え?クロー?
(おい…なんでこいつはお前の事知ってるんだ?)
(都合がいいからです!ちょちょっと弄ればすぐに出来ます!)
(後で直しとけよ)
(もちろんです!此処では私は小吉さん達の仲間って事になってますのでよろしくお願いします!)
(勘弁してくれ…頭が痛くなる…)
「あのー…大丈夫ですか?」
「あぁ大丈夫だ、気にしないでくれ…。それと何か用事があったんじゃないのか?」
「はい、そうです。お食事の準備がもうすぐ出来ますので皆様の準備をと…」
「なるほどね、確かに寝起きのままで行くのは失礼だからな。分かった、みんなを起こしておくよ」
「ありがとうございます!では、準備が整いましたらお呼び致しますね!では失礼します!」
「おう。仕事頑張れよ」
メイドさんはペコッと頭を下げて戻っていった。
さて、寝ぼすけさん達を起こしに行きますかな…。
2014/10/6
(誤字の修正、後々出てくる矛盾の修正…)




