54話 死闘
最近涼しいですねー。
ゲームが捗ります!
ライアー達と集合した後、各々の役割を果たす為に別々で行動を開始した。
まずはラッツが走り回って敵を引き付け、古代遺跡の扉を開けるのが最初だ。
「ラッツさん!では任せましたよ!」
「健闘を祈ります!」
「どうかご無事で…」
「そんな今生の別れみたいな顔しないでくれよ…」
嫌々ながらもラッツはクラウスに教えてもらった制御室の方向へと歩き出した。
(…まぁ、なんとかなるだろう)
…
……
………
しばらくすると奥の制御室の方向が騒がしくなった。
「てめぇ!!人をおちょくってんのか!?」
「待ちやがれ!!」
「ひき肉にしてやる!!」
誰が聞いても尋常じゃないくらいに怒ってる兵士が通り過ぎるのを見送るとこちらも行動を開始した。
「こっちです!はぐれないでください!侵入者対策で迷路みたいになってますから」
何回か角を曲がったり、兵士をやり過ごしたりしてからようやく目的の制御室へ到着した。
「中は…誰もいない…よし!」
かなり広い部屋の中に3人は入るとフラールは扉付近で人形を展開して待機、クラウスとアリスは奥の制御盤へ駆けていく。
奥のガラスの向こうにはドーム状の途轍もなく広い空間があり、真ん中には変な形をした建築物があった。
「クラウス様…大丈夫そうですか?」
「…あぁ…多分これで…問題は無いはずだ」
"レベル6の権限が必要です"
クラウスは自身のカードキーを通す…。
"アクセス許可。ゲートを開放します"
遺跡の方を見ると小吉達が既に待機していたので彼に腕で〇を作って成功した事を伝える。
しかし…
バチュン!!
突如制御盤が弾け飛び少し開きかけていたドアが閉まり始める。
「えっ?」
「チッ!…遅かったか…まさか尻尾巻いて逃げずに攻めてくるとはな…」
3人は声の聞こえた部屋の真ん中を見た…。
そこには銃を構えたユリウスと一歩引いた場所にジェックが立っていた。
クラウスは咄嗟にアリスを後ろに隠して剣を抜き放った。
「お?俺とやりあうつもりか?だが残念…俺じゃないんだなぁ。ジェック、奴を使え」
「御意」
ジェックが前に出ると自身の右腕を腹に押し当てた…そしてその腕がズブズブと沈んで行って何かを取り出してきた…。
クラウスとアリスはその取り出されている"彼"を見て絶句した。
何故なら"彼"は死んだ筈なのだから。
「兄上!?」
しばらくして完全に出て来たクリント?は自力で立ち上がると剣を抜いた。
「遊んでやれ」
「あぁ…」
クリントがクラウスに走り寄ると上段から剣を叩きつけた。
クラウスは何度も繰り返した特訓のお陰か、勝手に体が剣を受け止める動作をしていた。
「あ、兄上…」
「そうだ、俺だ…」
「な、何故ユリウスについているんです?」
「分からない…ただ言える事は…」
クリントが剣を引っ込めて別の角度から斬りつける。
「お前と戦いたいって事だ!!」
ギャン!!
「何で…何で…僕は戦いたくない!」
「クラウスさん!!」
「おっと…外野はすっこんでてくれないか?…邪魔だ」
アリスはユリウスの威圧を受けて腰が抜けてしまいその場にへたりこんでしまう…。
「アリスさん!」
フラールが彼女を保護しに向かい、下がらせる。
ガン!キン!キャン!!
「どうした!?太刀筋がブレブレだぞ!」
「………」
「おっ?泣くのか?…まだまだガキだな…国を任せておけない」
クラウスは彼の言葉に一瞬だけ優しさのような物を感じた…間違いない、彼は本物だ。
「…勝てる訳が無い…」
そう心から思った。
今まで1度も勝てなかった相手だ…勝算は無い。
「おい…何時までそんな弱気でいるつもりだ?それだと勝てる勝負も勝てないぞ?」
クリントがクラウスの剣を跳ね上げ、腹に拳を叩きつける。
「うっ!?」
クラウスはあまりの激痛に剣を落としてしまう…。
こみ上げる物を堪えて腹を抑える。
「戦闘中に武器を落とすな…何度も言っただろ?さぁ、拾え…全力のお前と戦いたい」
「くっ…!」
和解は出来ない…こうなったら意地でも彼を倒す…動けなくするだけで行動するときっと負ける…殺す気で行かなければ。
「…いい面構えになったな…それでこそ俺の弟だ」
「兄上…ごめん!」
今度はクラウスから攻めてゆき、様々な角度から斬撃を繰り出す。
(最後に練習した時よりもかなり早く重くなってるな…)
そこからは2人とも無言になり如何に相手の剣を捌くか、如何に相手を出し抜くかを全力で考え始める。
そして…先に成功したのは…クラウスだった。
「…!!!」
ザシュ!!
「入った…」
浅くだが、クリントの腕に傷を付ける事が出来た…。
「久しぶりにお前から痛いのを貰ったな…」
「おい、クリント!何を遊んでいるんだ?早く始末しろ!!」
「遊んでやれって言ったのはお前だろうが…」
再び騙しあいの様な剣でのやり取りの中でクラウスが驚く。
(早くなった!?何で!?)
そしてクラウスの頬を浅くクリントの剣が掠る。
「これでお相子だな」
「っ!?」
そこからは互いに傷を付け合う形で戦いが進んでいく…だが、お互いに決定打となる攻撃が無く傷だけが増えていった。
プシュー!
「…なんだこりゃ?」
ラッツが制御室に入って来て疑問を投げかけた。
左にはアリスを抱き抱えたフラール、右には椅子にふんぞり返って座ってる青年と横で立ってる神経質そうな男性…そして目の前で繰り広げられる達人の域に達している2人による剣での戦い。
「何だ?この冴えないおっさんは?…まぁいい、邪魔をするなよ?邪魔したら…分かってるな?」
ガキン!ギャァン!!
「「でやぁぁぁ!!」」
パキーン……カランカラン…
かれこれ40分は打ち合っている2人の剣はボロボロになり半ばから折れてしまった…。
「ラッツさん、剣を貸してください」
「ユリウス、剣をよこせ」
「ふはははは!!どうやら火がついたらしいな!ジェック!この国の宝物庫からパクったいい剣があったろ?アレを渡せ」
「御意」
「え?これでいいのか?」
ジェックが腹に手を突っ込むとそこから薄く赤い光沢を帯びた剣をクリントに投げる。
ラッツも自身のマヤの剣を投げる。
「「……………」」
2人はキャッチした剣を驚きの表情で見てから鞘を捨てて再び斬りかかる。
今度は一発一発が致命傷の可能性がある為にあまり大きくは出る事は無かった。
「ハァハァ…強くなったな…」
「ハァハァ…お兄ちゃんも凄いでしょ…」
「勝手に言ってな…」
大きくクリントが前に出る…右上段から左下にかけて袈裟斬りを繰り出す。
クラウスが剣を斜めに構えてクリントの斬撃を逸らそうとする…しかしそれを狙っていたクリントが軌道を変えて胴を狙う。
クラウスは何とかそれを防ぐが一旦崩れ、そこにクリントがラッシュをかける…。
「俺はなぁ!お前の才能が羨ましかったんだよ!だから俺はお前に負けない様にしてたんだ!」
ザクッ!!
「っ!?」
クラウスは手の部分を浅く切られ血が流れ出し剣を握る手から垂れていく。
「僕だってお兄ちゃんに勝つためにいつも何かしら頑張ってたんだ!」
クラウスがクリントの剣を上に弾く事に成功する…クリントに大きな隙が出来た…。
「1回くらいーー勝たせろぉ!!」
その時、クラウスは時の流れが著しく遅くなるのを感じた…。
"一定以上の感情を確認…満たしている最優先項目があります…実行"マキナ・カリバーン"プロジェクト…"
「マキナ・カリバーン?」
ザシュ!!
クリントの胸に斜めの大きな傷が付く…。
「がぁ!?」
クリントが膝を付く…。
だがそれまでだった…クリントの傷が塞がり始めたのだ。
「…ユリウスのせいか…邪魔をするなとか言っときながら邪魔をするんだな」
クリントが忌々しげに言葉を吐き捨てた。
「あぁ?お前がちんたらやってるからだろ?早く戦って楽しませな!あはは!!」
「なぁ、嬢ちゃん…」
「何ですか…ラッツさん?」
「クラウスに渡した剣ってあれだったか?」
「違いますね…」
クラウスが今持っているのは刀身が薄い緑色に光るシンプルな装飾の付いた両刃の剣だ。
(何だろう…この剣…凄く手に馴染む…それに体が軽い)
「クラウス…続きをやるぞ…」
「……絶対に僕が勝つよ」
クリントが突っ込んで来るが隙が丸分かりだ。
(周りが良く見える…)
(クソ!!何で当たらないんだ!?)
(さっきまでと違って余裕がある…)
ザクッ!!
「ぐっ!?」
クリントの腕に大きく傷が付く…。
そして段々と不利になっていくクリントにユリウスが怒りだした。
「おい!さっさと敵を始末しろ!!」
「分かった。もう終わらせるさ…クラウス!」
クリントがクラウスに剣を振りかぶって…投げた…。
「えっ?」
「は?」
但し投げたのはユリウスに向かってだ…。
投げられた剣はまるで意思を持ったかの様にユリウスに吸い込まれていき…
スパーン…
ユリウスの首を7割位切り裂いた…。
仕返し第一段階完了!




