51話 デストロイズ
久しぶり?の戦闘でございます!
「まだ見つからないのか!?」
ユリウスが机にひびが入る程強く叩く…その音で兵士がビクッと体を震わせる…。
「本当に貴様らは役に立たないなぁ!!ガキ2人とスパイも捕まえられないなんて!」
「し、しかしーー」
ズガンッ!
兵士の髪を掠めた弾丸が壁にひびを入れ、穴を空ける。
「…誰が喋っていいと言った?」
「ひぃぃ!」
ユリウスは冷め切った目を兵士に向けて言い放つ…。
兵士は蛇に睨まれた蛙の様に動けなかった…。
"動いたら殺される"…そうやって本能が警笛を鳴らしている。
…と、いきなり威圧が止み兵士が床にへたり込む…しかし次の言葉で再び緊張させられる事になる。
「そうだ!…"デストロイズ"を使え」
「「!?」」
まるで頭から冷水を浴びた様に兵士の顔が青くなる…。
そして先程の反省を生かして兵士が震える手を上げる。
「何だ?」
「し、質問をよろしいでしょうか?」
「言ってみろ」
「"デストロイズ"は国王の許可無しには使用は出来ないのでは?」
ふるえる唇を頑張って動かして言葉を述べる。
「あぁ?そんなもん後からでいいだろ?わかったらさっさと行け!このノロマ!」
「「は、はいぃぃ!!」」
「2セット使えよ!いいな!?」
兵士がバタバタと部屋を出ていく…部屋は途端に静かになりユリウスとジェックが残された。
「"デストロイズ"が出れば流石に終わるでしょう」
「だな…初めから使えば良かったな…だがまぁいい!そろそろ各国に宣戦布告でもするとしようか…」
ユリウスは嘲笑を顔に浮かべ薄暗い部屋の奥へと歩いていった…。
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「いやー、実にいい天気ですねぇ!」
その日の夜にクーデターを起こすなんて考えられない様な空気でフラール、クラウス、アリス、マニは緑が生い茂る街道を歩いていた。
「にしても凄いですねぇ!地下にこんな広い"地上"があるなんて!」
「まぁ、確かに地上だね。此処の気候や"空"も全て古代遺跡からの産物なんだよ。それにまだまだこの区域は拡張してる最中なんだ!」
「「おぉ!」」
フラールとマニが目を輝かせて周りの景色を眺める。
空には澄み渡った青い空とまばらに散った入道雲、そしてさんさんと輝く太陽がある。
「これならお弁当とか持ってきてみんなでピクニックしたかったですね!」
「あはは!そうだね!ここを解放出来たらマニちゃん達の美味しい料理でみんなでピクニックしよう」
「むぅ…」
アリスがちょっと仏頂面になって膨れる。
「どうした?アリス?」
「何でもありません!!」
ぷいっ!とそっぽを向くアリス…アリスに抱かれてるマニが居心地悪そうに尋ねる。
「あのー?まだつかないんですか?」
「…多分もうそろそろよ」
今回この居住区域に来たのには勿論理由がある。
秘密基地には元々食料が備蓄してあったが、流石にあの大人数分は無く、今回安全な協力者から食料を調達しに来ているのだ。
その協力者とはクラウスとクリントを育てた乳母で、世話役を終えた後は報酬としてこの素晴らしい景色の一等地に家を貰ったのだ。
「半年前に出来たばかりでね…彼女も気に入ってくれたんだ!ほら!見えてきた!」
クラウスが指を指す方向には赤い屋根の2階建てのお洒落な建物があった。
コンコンコンッ!
「リムールおばさん!僕です!」
中で物音はするが返事は無い…。
「おばさん?」
「………………い…!」
「入りますよ?」
ガチャ!
「危ない!」
フラールがクラウスを抱き抱えて横に飛ぶ。
グガシャァ!!
直後ドアを何かが破壊し、破片が舞い散る。
煙が徐々に無くなってその何かの姿が見えてくる…。
「な!?何でこれが此処に!?」
それは光沢のある赤い太めの甲冑の様な姿だが、何かの機械が沢山くっついている。
そして両手には馬鹿みたいにデカイ肉切り包丁みたいな物が握られていた…。
「来ては…いけない…」
「はっ!?リムールおばさん!?」
アリスが奥で同じ様な白い細身の甲冑に掴まれている血を流した元乳母を発見する。
白い甲冑は彼女を無造作に降ろすと無機質な声で告げる。
「ターゲット確認…対象の変更をします…ターゲット2名…クラウス・ヘルメス…アリス・グラハム…抹殺開始」
赤甲冑と白甲冑が同時に動き出す。
予備動作無しでいきなりトップスピードに達した甲冑は5mも無い距離を一瞬で詰める。
ズンッ!
ガキンッ!
しかし此処に居るのは一騎当千の猛者だ…。
フラールのノーム人形が小さなハンマーで赤甲冑の肉切り包丁を受け止め、マニのナックルが白甲冑の腕から出たブレードを受け止める。
「「…ターゲット変更…ターゲット1名…Null…抹殺開始」」
その隙にクラウスとアリスが元乳母に駆け寄る。
「おばさん!?大丈夫!?」
「私はいいから…早く逃げなさい…」
「おばさんを置いていけないわ!」
「アリス…私もいい孫を持ったわね…ますます死なせる訳にはいかないわ…ゴホッゴホッ!」
「おばさん!?アリス!運ぶぞ!」
「うん!」
「フラールさん!そっちは大丈夫ですか!?」
「マニちゃんの方は大丈夫ですか!?」
2人が同時に話しかけ同時に理解する…この人なら"大丈夫"だと…。
「「余裕です!!」」
「サモンドール!…サラマンダー!ウンディーネ!」
新たに2体の人形を召喚して攻撃させる。
ノーム人形は超高速で振るわれる大質量の肉切り包丁を小さなハンマー1本で捌いていくが徐々に押されていく。
そこに超圧縮された水と超高温の2本のビームが伸びる…しかし…
ギィィィン!!
咄嗟に後ろへ飛び、新たに出現した2本の大盾を持った腕がそれをガードする…そして片手に肉切り包丁、もう片手にこれまたデカいランスを構えてきた…。
「うわぁ…デカイですねぇ…よっぽど力持ちさんなんですね!…ノーム君!」
「ヤフー!!」
ぴょんっとノーム人形が飛び上がると膨れあがった…。
大きさで考えれば赤甲冑の半分だがそれでも170cmはあるだろう…。
「フー!」
ノーム人形がデカくなったハンマーを赤甲冑に振り下ろす。
ガツン!!
赤甲冑が片手の大盾でハンマーを受け止めた…。
「ありゃ?本当に力持ちさんですねぇ…」
赤甲冑が肉切り包丁を横薙ぎに叩きつける…ノーム人形はもう片手にハンマーを出すとそれを物凄い音を立てて受け止めた…。
しかし、赤甲冑にはまだまだ腕がある…左手のランスで鋭い突きを放った!
ザクッ!
中身は人形なので出てくるのは綿だけだが、それが致命傷になり一回転して遠心力を乗せた肉切り包丁が振るわれる…。
そして両断されたノーム人形はポンッという音を立てて消え去った…。
「あぁ!?よくもやってくれましたね!…サモンドール!…アラ君!やっちゃってください!サラマンダー君!ウンディーネちゃん!援護してあげて!」
「きゅーー!!」
アラ君が音速で赤甲冑に接近するとその小ささを利用して関節を集中的に狙って魔力弾やレーザーを撃っていく…。
サラマンダー人形とウンディーネ人形と新しく出したジン人形も援護に加わるが中々に痛手を負わす事が出来ない。
「きゅ!?」
そして油断した一瞬の隙を突かれ、大盾でアラ君が遠くへはじき飛ばされた…。
熱線やウォーターカッターも驚異だと感じなくなった赤甲冑は大盾を捨てると別の武器を取り出した…。
ズドドドドォォン!!
フラールの後方の地面が大きく抉られる。
まるで大砲を撃ったような威力だ…。
そして気が付くと周りに展開した人形達が居なくて弓を構えた赤甲冑が首を傾げていた…。
「物理の無効化を確認…スキャンモード………アンチアンデット起動…」
次に引き絞られた弓は微かに白色のオーラを纏っていた…。
バシュン!
「わわっ!?」
フラールはさっと避ける…。
「うわぁ…背中がゾクゾクしますぅ…」
そんな事を言っている間に第二、第三とどんどん撃たれて後方の地面が抉れて行く…。
(この中でお人形さんを出してもやられちゃいますよね……アレを使おうかな…あっ…)
考え事をしているうちに同時に5本の矢と1本の変な矢が飛んでくるのが見えた…。
キュイイイイイン!!ズゴォーン!!
そして光が溢れて大量の砂煙が舞い上がる…。
「アンチアンデットボム…着弾確認…」
「…舐めないでください…」
物凄い衝撃が走って赤甲冑が空高く舞い上がる…。
衝撃でさっき集中して狙われていた腕2本がもげる。
下には何故かさっきまで居た覚えのない全身茶色でお腹の部分が白くて丸い耳につぶらな瞳が特徴の腕を振り上げた二足歩行のクマが居た…。
直後クマの姿が消えて頭上から声が響いた。
「私だって接近戦くらいできます!!」
クマの口から顔を出しているフラールが両手を振り上げて…振りおろした。
ガンッ!!!ズドォォン!!
赤甲冑が今度は地面に叩きつけられそのまま10m位沈む…。
そしてなんとか殆ど壊れてる体を動かして這い出てくる…しかし…
「きゅ!!」
穴の淵で待ってました!とばかりにノーム人形のデカハンマーを持ったアラ君がその可愛さとは裏腹にゴゴゴゴ…と鬼が見えそうな笑みで振りおろした。
「じっ!?」
そして、再び穴に落ちた赤甲冑は横で点滅する丸い物に気が付いた…
ゴォォォーン!!
クマの着ぐるみを着たフラールの足元でアラ君が爆発の音に耳を塞いでぷるぷるしていた…。
空から土に混じって何の部品か分からないバネやネジが降ってきていた…。
予想より長かったので分けます…。
※誤字の修正
(2014/9/3)




