43話 城にて 後日談
ふと目覚めると昼の12時…時間を無駄にした感がヤバイです…。
「あのぉ…そろそろ離してくれませんか?」
「お前、俺が離れろって言って離れるか?」
「うっ…反論の余地がありません…」
結局マニ争奪戦に勝ったのは俺だった。
とゆうわけで一日中ぬいぐるみみたいに抱えている。
「しかし、マニさんじゃないならこの液体は何でしょう?」
「確かにな…リリーが最初に見つけたんだろ?」
(はい。そうです…色合いがそっくりだったのでついつい勘違いをしてしまいました…ごめんなさい…)
「いやいや、勘違いしたのは俺もだから悪いのはリリーじゃないぞ」
俺はリリーを持ち上げると胸ポケットに入れて撫でた…。
…
……
………
(アルスさん、無事全員起きました!)
リリー…それ俺のセリフ…。
「おぉ!それは良かったですなぁ!」
「それと…死んだっていってた奴が実は生きてて……まぁとりあえず"みんな無事"だったって事だ。それとこの液体何か分かるか?」
「液体ですか?」
アルスさんは俺から受け取った瓶を揺らしたり眺めたりした後蓋を開けて匂いをかいで何かを確信した後俺達が止めるのを無視して舐めた…。
「…ワインですな」
「「「「へ?」」」」
全員が予想外の答えに変な声を上げる。
「ワインですな。50年物のアルコール度数の低いジュースに近いワインですな」
(言えない…毎夜ワインに話しかけてた何て言えない…)
ヤバイ変な汗が流れてきた…。
見ると他の仲間も変な汗をかいている。
「このワインがどうかしましたかな?」
アルスが意地悪くニヤニヤ笑いながら尋ねてくる…絶対にこの顔は知ってるって顔だ!
「い、いや…ちょっと零しちゃってー…えへへ」
(ご主人様!ちょっとクロちゃんの所に行ってきます!)
リリーはクロちゃんを見つけた様で、飛び降りると机の上を走って行った。
「では私達はこれからの事を話し合うとしますか…勿論毒の入っていない食事をしながら!」
「それはネタか?…リリーも後で来いよ?」
…
……
………
ご主人様達は出ていってしまった。
私はクロちゃんにどんどん近寄っていく…。
(ちょっと待て!準備するから近寄るな!)
(えっ…分かったわ…。あの…この間はありがとうちゃんとお礼が出来なくてゴメンなさい…貴方が居なければきっと大変な事になってたと思うわ…それでね、私もっと貴方の事を知りたいの!)
(…………)
(…ダメかしら?)
(俺が雌でもか?)
(えっ!?)
出てきたクロちゃんはふりふりした衣装を付けられていて中々に可愛らしい様をしていた…。
(いや、騙すつもりは微塵も無かったんだけど…引くに引けなくて…アルスは俺にふりふりした物ばかり着せるのが嫌で嫌でついつい男みたいな振る舞いをしていただけなんだ…ゴメン)
(ぷふっ…)
(そんな震えて泣くほど深刻なのか…本当に済まない事をーー)
(あはははは!ふ、服装と口調が!あはははは!!)
(えーっ!?そこは泣く所でしょ!?)
(知ってたわよ、貴方が雌だって…匂いで分かったわ…でも意地悪したくなってしただけよ!)
(せ、性格悪いなぁ…)
(あら?そう?光栄だわ…。それはそうと、別に恋人になりたいとかじゃなくて"友達"として貴方の事を知りたいってのは確かよ!さぁ食事に行きましょ!"可愛い子ちゃん"!)
(可愛い子ちゃんって言うなぁ!!!)
…
……
………
料理はこの間の毒を盛られた部屋では無くて厨房横のメイドや執事達が食事をする部屋で食事をする事になった。
料理長達が俺達を見るなり駆け寄ってきて膝を付いて謝ってきたが悪いのはドンだけなので大人な対応で丸く納めた。
お詫びに何か好きな物を調理すると行ってきたので米やらピザやら久しく食べてない物をイメージで送ってみた…料理長もかなり驚いていたが「腕が唸るぜ!」と言って全力で作りに向かった。
そして現在、沢山の美味い料理が運ばれてきて、美味しそうな匂いに釣られてきた使用人達とパーティーみたいになっている…。
俺とアルスさん以外は色んな所に散らばってそれぞれ話をしている。
「フラールさんって幽霊なんですか!?」
「そうですよ!多分皆さんもご存じの有名人です!ヒントはお人形さんです」
「有名人の幽霊でお人形か…いや、まさか"人形姫"じゃないよな?」
「正解でーす!最近小吉さんに助けてもらって縁あって此処に居ます。ちゃんと生きてますよ!」
「君可愛いね!名前何ていうの?」
「ライアーだ…口説いても無駄だぞ。既にい、意中の人がいるのだ…」
「ほらほらあんた達!ナンパは他所でやってよ!…ライアーさん!私達と好きな人のお話ししましょ!…男どもは来なくていいわよ」
「おや?イナリちゃんじゃないか?同じ城に居るとは聞いていたけど中々見ないと思ってたんだよ!」
「ヤクトさん!(この街の衛兵長)じゃないですか!あの時はどうも…」
「いやいやそれ程でもないさ。それより聞いたぞ?首長を倒すのに一役買ったんだってね?君達がどんな腕前だか気になってきたな!」
「全く身に覚えが無いですが…、腕前なら模擬戦しましょうよ!負けませんよぉ」
「あっはっはっは!!舐められたものだなちびっ子相手には負けんぞ…」
「おい!隊長が模擬戦するってよ!」
「見に行こうぜ!!」
「♪〜♪〜♪♪♪〜〜♪♪」
「あぁ…癒される歌声だな…」
「日々の疲れが取れて元気が湧いてくるな…」
「あれ?足の痛みが取れて自由に動くようになったぞ」
「こっちも腕の傷が塞がってくぞ!」
「………重傷者を連れて来い!!!!」
「メタモルフォーゼ!……にゃ〜お」
「「きゃー!可愛い!」」
「次はクルーやってよ!」
「分かりました!メタモルフォーゼ!」
「…あれ?小さい…でも何これ可愛い!」
(クロちゃん、このぶどう美味しいよ!)
(ちゃん付で呼ぶ……まぁいっか)
「見てみて!面白い色のネズミと可愛い服のネズミがぶどう食べてる!」
「本当だ!こう見ると愛らしいな…」
「何かウチの仲間があちこちで騒ぎ起こしてるけどスマンな…」
「いえいえ、最近はドンのせいでピリピリした空気が続いていたから丁度いいガス抜きになりますよ」
「…そう言えば首長の後釜は誰なんだ?やっぱりアルスさんなのか?」
「アルスでいいですよ。私は死ぬまで執事で居るつもりですから…それにドンは仕事自体全て私に押し付けて甘い汁を啜っていただけですから困りません。多分しばらくは代理を務めると思いますが…」
「そうか…頑張れよ。あっ!?ずっと疑問だったんだが何であの時ドンに"操られた振り"をしていたんだ?」
「あぁ…あれですか?ただ単純に強い人と戦いたかっただけですよ…何せ先代に拾われる前まではただのゴロツキでしたからな…」
「…想像出来んな」
「私も思い返して見れば共通してる所何て戦闘狂な性格くらいだと思いますよ?」
「いや、そこは変えろよ…」
「そんな事よりウチの衛兵長とイナリちゃんの模擬戦を見に行きましょう!同じ剣士なので気になるんです!」
アルスさんは俺の腕を掴むと中庭に引っ張っていった…随分とアクティブなおじいさんだな…。
中庭にではイナリとヤクトさんの模擬戦が行われていて、イナリが木刀でヤクトさんの木剣を両断した所だった…。
しかし審判に反則を食らって仕切り直しになったのでもう一回行われた。
今度はしっかりとヤクトさんの木剣を弾き飛ばして首筋に寸止めをした…。
そこで若干興奮気味のアルスが飛び入り参戦して会場はヒートアップ…。
あの剣術ならかなりの腕前のイナリと拮抗するレベルの腕前で、最早剣筋が見えない所まで来ている。
最終的には両者の木刀と木剣が耐えきれずに壊れてしまったので引き分けに終わった…。
いつの間にか更に人が増えていて剣術大会みたいになっていた…。
(何で何時もこんな騒ぎになるのだろう…)
自分に変な体質でもあるのではと疑わざるを得ない小吉であった…。
あれ?そんなに進んで無くね!?
き、気のせいですよねぇ…。




