39話 不機嫌と不幸
玉ねぎが食べたい…。
「おっ?どうしたんだ旦那?そんな仏頂面で…」
ストーカーの手足を鞭で縛って連行したら丁度夕食のタイミングだった。
エレノアだけは嬉しそうに縛られていたのが印象的だった…。
いいところで雰囲気を壊された為に俺とライアーの気分はなんとも言えない空気になっていた。
「あぁ?何でもねぇよ」
「そ、そうか?スマン…」
我ながらヤンキーもビックリな声が出て驚いた…もちろん同席してる他のメンバーも驚いている。
「ごちそうさま、ちょっと散歩してくるよ」
「い、いってらっしゃいませ………ねぇねぇライアーさん?何があったんですか?小吉さんって普段からあんな感じなんですか?」
一緒に食事をしてたフラールが疑問を口にした…。
横でとある3人がビクッ!っと肩を震わせた事にも疑問に感じてる。
「いや、初めて見たよ…あんな不機嫌な小吉…こいつらが余分な事をするから…」
ベシッ!
「「「ひっ!?」」」
思わず握り締めた木製のフォークが乾いた音を立てて折れた…その音と威圧を受けてとある3人はそっちを見ないように努めた…。
「おかわり!」
"おかわり!"
トトーナとリリーだけが呑気に何時も通りの元気を見せている。
リリーは今日マヤから貰った10cm×6cm位の板に棒がついた看板を使って考えを伝えてる。
と、ソニアがバイエルとこそこそと会話をしだした。
「バイエルさん、一体何があったのですか?」
「どうやらマニちゃんとイナリちゃんとエレノアが小吉君達のデートを邪魔したらしいんだよ…」
「あいつ…居ないと思ったらそんな馬鹿な事してたのか…」
「「はぁー…」」
「とりあえず給料減らしとくかね…」
と、話しが進む一方でおかしな部分に気がついたらガナッシュが疑問をを口に出す。
「あれ?でもおかしいよな?マニとイナリは俺達に戦い方の手解きをしてくれてた筈じゃ…」
「ちょ、ちょっとガナッシュ!怖い事言わないでよ!」
「お姉ちゃん達っていっぱい居るんだよ!」
「ちょっと!トトーナちゃんまで!?」
「はぁ…」
ライアーはため息をつくと立ち上がって何処か行ってしまった…。
「何処行くんですか?」
「いや…特に…」
「何か可哀想ですね…」
フラールの一言がマニ達の胸にグサッと突き刺さった。
(ご主人様達が可哀想…?)
(僕達のせいで…?)
(2人を傷つけてしまった…?)
(((嫌われた!?)))
"Yes"
リリーが看板に書いて持ち上げるとそれを見た3人がポロポロと泣き出し、リリーとフラールが驚いた…。
"えっ!?何!?"
「どどどどうしたんですか!?」
「…ら…きゃ」
「えっ?」
「謝らなきゃ!」
3人は全力疾走で外に飛び出した…。
それとすれ違ってソニアが戻ってくる。
「どうしたんだ?あいつら…あんな泣きながら…。ごめんリリーちゃん、遠くからじゃ看板見えなかったよ…多分大盛りでいいかなって思ったけど大丈夫?」
"Yes!"
リリーは再び看板を持ち上げた…。
…
……
………
(全く…何時も何だかんだで邪魔が入るんだよな…呪われてんのか?)
足元の石を蹴りながらとりあえず歩く。
日は完全に沈んでいるがちょこちょこと人が歩いている。
(うわぁ…あのカップルキスしてるよ…)
ちょっと余所見をしただけだった…ちゃんと前を見て大丈夫だと思ってから余所見をしたのにガラの悪いお兄さん達にぶつかった…。
「うわぁ…ついてないなぁ…」
「おい…兄ちゃん…心の声漏れてるぞ」
それだけで手を出す判断をしたお兄さんは拳を振り上げて振り下ろす…俺はそれを受け止めて捻り上げた。
「ついてないのはお前らだがな…」
…
……
………
あの乱闘騒ぎの後、衛兵が駆け付けてきて逃げたのだ。
すぐに逃げきれたので街を流れる川を見ながら土手を歩いていた。
「はぁはぁ…やっと見つけた…探したぞ、小吉」
「ライアー!?」
前から誰かが走ってくると思ったらライアーだった…息を切らして膝に手をついている。
「汗びっしょりだな…」
「誰のせいだと思ってるんだ?」
「誰も悪くないと思う」
「そうだぞ!誰も悪くないんだぞ!……あれ?」
走り疲れてボケてる様だ…前から時々ボケてた気がするけど…。
「で、何でまたそんなになるまで追いかけて来たんだ?」
「そ、それを言わせるのか?鬼だな…目を閉じてくれないか?」
「…お前も好きだな」
「う、うるさい!早くしろ!人が来るぞ!」
俺は目を瞑ろうとするが…
「………おいおい…またかよ…」
「?」
「「「ご……なさ…い」」」
ライアーも走ってくる人物に気がついた様でため息をつく…。
「せっかく二度も勇気を出して言ったのに…」
俺はポンポン、とライアーの頭を無意識のうちに撫でていた…。
「おい、あいつら減速しないんだけど…」
「むしろ速くなってないーー」
「「「ごめんなさぁい!!」」」
「グフッ!!?」
ドポーン!!
…
……
………
結局罪を重ねた3人に物凄い勢いで泣き付かれてしまったので怒る気が失せてしまった…。
川に仲良く全員で落ちたので帰って軽く水浴びをしてから寝る事にした。
隣で寝てる狐とまんじゅうを見ながら何だかんだ楽しかったな、と感じて眠りについた。
翌朝…。
「おはようございます!こちらの店に魔物使いの男性が居るとお聞きしたのですがいらっしゃいますか?首長からの食事会への招待の通知をしに参りました!」
衛兵がバイエルの店に朝早くやってきて通知をしに来た。
用件を伝えると素早く城へ帰還して行った…。
「城かぁ…めんどい…」
「いやいやいや!?行けよ!首長だぞ!?自慢出来るぞ!?」
「そんなに自慢したいのか?」
「いや、別にそういう訳じゃないんだが…」
「俺は行かんぞ。絶対に面倒な事が起こる」
だってマナーとか知らんし息が詰まるし偉い奴らはみんな自慢ばかりだろうし…それにどうせ勧誘とかがメインだろうしな…。
「小吉君…今の首長はあまり良い評判は聞きません。行かないと何が起こるか分かりませんよ?」
「具体的には?」
「まず、悪政が問題になっていて民衆の支持が全くありません。なにより自分の欲には忠実で欲しいと思った物は何が何でも手に入れようとします」
なにそれ…怖い…近寄りたくねぇえ!!!
「お前らはそんな腐敗した奴の所に俺を生け贄に出す気か!?お前らも道連れにしてやるぞ!」
「いやいや、呼ばれてるのは旦那と数名だから!俺ら行けないから!あぁ悔しい悔しい!」
「私も出来れば行きたかったですよ!ドンマイです!小吉君!」
汚い大人2人はそそくさと逃げて行った…。
はぁ…面倒だ…。
"八つ当たり!駄目!絶対!"
"八つ当たりは貴方の周りの環境に深刻な影響を与えます。十分気をつけましょう。"
マニ「何ですか?これ?」
小吉「ポスターだ…」




