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『プチ』モンスターテイマー  作者: BIG PURIN
神々と封神晶
32/95

32話 黒い影の呪い-3

寂しがりやかな?

まず一行は地を流して気絶してるライアーの手当てをしてから探索を開始した。


そして、屋敷を探索していて気がついた事がある…どの部屋も気味の悪い人形があるのだ…。

寝室や客室、更にはトイレにも人形があるのだ。

広い屋敷の2階を一通り回ったが気味の悪い人形があるだけで手掛かり等はなかった…。

そして一行は1階の捜索に移った。


「変だな…黒い影が1匹も居ない…」


「そう言えばそうですね…何故でしょう?」


ゴトゴト!


「「ひゃう!?」」


不意に物音が聞こえて驚くマニとイナリ…。

どっちかというと、俺はお前達に驚いたよ…。


「ななな何か居ます!?」


「落ち着け、ネズミでもいるんだろ?」


(はい!ここに居ます!)


「お前…変なところでボケるな…」


ポケットの中のリリーを撫でて自分を落ち着かせる。


"こっちだよ…"


不意に頭の中に少女の様な声が響く…。


「「きゃぁあ!?出ました!?」」


「!?」


"怖がらないで…貴方達に危害は加えないわ…"


さっきの物音がした所に青白くて、ワンピースを着ているの少女が浮いていた…。


「…君は誰だ?」


自分でも驚くほどに冷静になっている自分がいた。

周りがパニックになったお陰で冷静になれたのだろう。


"長くは話せない…ついてきて…"


少女は階段裏のドアをすり抜けていった…。


「ほほほ本物の幽霊ですよ!?」


「僕達を食べても美味しくないですよ!?」


「いい加減落ち着け…悪意は無いみたいだ…、ついていくぞ。ようやく掴んだ手掛かりだ…」


「「ま、待ってくださいよぉ!」」


ライアーを背中に括りつけてある所にマニとイナリがしがみつく…。

ちなみにトトーナは2階に居た時に怖くて歩けなくなっていたので前で抱き抱えている。

つまり、異常なまでに歩き辛い…。


「トトーナ?そろそろ歩いてくれないか?」


「いやっ!」


ギュッと痛いくらいに締め付けてくる…。


「ちょ!トトーナ!く、首がしまってる!分かった!そのままでいいから!……首が痛い…」


全く、怖がりな娘達だ…。



……


………


その後、度々現れる少女に連れられ、とある部屋にたどり着く。


部屋にはベッドが複数あってその分の机と椅子があって、2つのタンスがあった。

タンスの中には控えめなメイド服と執事の服があった。


「どうやら屋敷に仕えてる人達の休憩場所みたいだな…」


"ここよ…"


少女が机の上に現れるとすぐに消えてしまった…。

机の上には数冊の本が立ててあり、真ん中には開いたままの日記があった。


「また日記かよ…」


「これを見て欲しいんですかね?」


「多分そうだろうな…ちょっとマニかイナリで読んでくれないか?手が離せない…」


トトーナを前で抱っこしているので今手を離したら俺の首だけで支える事になる…。

片手でも持てるが日記は読みにくいだろう。


「分かりました!じゃあ私が読みますね!…………………えーっと、内容を要約すると、ここのメイド長さんが屋敷の主人の様子がおかしいと思ったって事が書いてありますね」


日付は凡そ70年程も前の物だ…。

ここの屋敷の主人は昔の偉い政治家だったようで、日記の前の方では人当たりも良くて周りから愛されていた。主人には妻と娘が居たようでかなり溺愛していたようで、妻も娘もそんな主人の事を愛していた。

それ以外にも有名な骨董品のコレクターだったようだ。

しかしある時、旅の古物商から取引をしてから変わってしまった…。

すぐに癇癪を起こしたり、常に何かに怯えたような表情でいて、大丈夫かと尋ねただけで暴力を振るう様になってしまったらしい。

流石におかしいと思ったメイド達と妻と娘は古物商から買い取った物が怪しいと踏んで、処分しようとすると主人は怒り狂ってメイド達と妻を惨殺してしまう…。

生き残ったが深い傷を負ったメイド長が娘を連れて逃げた。


日記にはここまでが記してあった…。


「なんだよそれ…完全にその骨董品のせいじゃないか…。大方、主人が邪魔になった政治家の策略か何かじゃないのか?」


「僕もそう思います…、でもそんな事で幸せな家庭を壊されたこの人達には同情します…」


「そうです!絶対に許せません!」


"はい…許せないです…"


「「わひゃあ!?」」


「い、いきなり出るのはやめてください!」


「そうです!心臓に悪いです!」


"ごめんなさい…でもこれで大体の事は察しが付いたと思います…"


「骨董品を壊してくれと?」


"そうです…ですが気を付けて下さい…未だに私のパパが取り憑かれています…それにこの長い年月で手もつけられない程に強力になってます…気を付けて…"


「パパ?じゃあ君はやはりこの屋敷の令嬢か?」


"そうです…メイド長さんを説得して私は戻って来ました…でも…ご覧の有様です。ここには私以外にも仕えていたメイドさんやママもパパを連れ戻しに来て居るわ…だからお願い…私達を助けて…"


「分かった。ただ1つ聞かせてくれ、この世界は何なんだ?」


"この世界は骨董品に取り憑いている魔物が生み出した自分の力を強める為の世界…多分貴方達は力が強いから取り込まれたのだと思う…魔物は強い喜びの感情に弱いのは分かってる…特に無邪気な子供の様な感情にはね…それを知っててもどうしようも無かったのだけど…もう時間みたい…みんなの力を借りて話をしてたの…もう話しは出来ないと思うけど、どうかお願いします…"


そう言って彼女は霧散した…。


「ご主人様…早く解放してあげましょうよ…」


「そうだな。だがその前にこの二人をどうにかしようか…」


俺はベッドにライアーを降ろしトトーナを説得する事にした。

マニとイナリにはライアーの手当てを頼んだ。


「トトーナ…そろそろ降りてくれるか?」


「いやっ!」


「聞いてくれ、トトーナ…これからやろうとしてる事は多分お前が1番頼りになると思う…」


「……1番?」


「そうだ。1番頼りになる」


さっき少女が"特に無邪気な子供の感情"と言っていた。

この中では1番トトーナが適任だ。


「やってくれるか?」


「うん!がんばる!」


「よし!偉いぞ!流石トトーナだ!」


よしよしと頭を撫でてあげる。

トトーナは嬉しそうにはしゃいでる。


(案外ちょろかったな…はっ!?これは無邪気とはかけ離れてる気がする…)


果たして心が汚れている自分が役に立つのか心配になってきたぞ…。


「うぅん…し…きち…」


「「ライアーさん!」」


「よう、調子はどうだ?眠り姫さん?」


ちょっとおちょくってみようと何時もなら絶対に言わないであろう言葉を言ってみた。


「小吉!」


がばっ!っと起き上がって小吉に抱きつき、床に押し倒すライアー…。

あれ?何でこんな事になってんの!?

てっきり顔を赤くして怒るかと思ったのに!?


「わぁ!?とうとうライアーさんがご主人様を押し倒しましたよ!」


「トトーナ!こっちにおいで!トトーナにはまだ早いから!リリー、ナノ、ピコ、マイ!お願い!」


(((ラジャー!)))

(了解!)


ナノ達とリリーは俺とライアーに背を向けて羽(リリーはちっちゃい腕)を広げて向こうとこっちで部屋を区切った!

うん、とてもいい連携プレーだ!


「お前ら何やっとんじゃー!!!」


「小吉…私も…準備は出来てる…」


「お前も乗るなぁー!!!」


何だこいつらは!?この状況で!?アホなのか!?馬鹿なのか!?


「「ご主人様!据え膳食わねば武士の恥ですよ!」」


「やかましいわ!…ほら…ライアーも退く!」


「す、すまん…」

(わ、私まで一体何を!?)


「パパ達何やってるの?」


「「子供は見ちゃいけません!」」


「やめーい!もうその件は終わったんだ!」


何か一気に疲れた…、代わりに他のみんなが元気になってるのは何故だ?


小吉達には見えて無いが、この時近くでは少女達がその光景を見ていた…。


「うぅ…楽しそう…私も混ざりたい…」


「うふふ…本当に仲が良いのね…昔の私と夫みたいだわ」


「そうですね…ご主人様が変わってしまう前みたいですね…」


まさかこの醜態が晒されてるとは夢にも思わなかった小吉であった…。



……


………


一行は1階の奥の部屋へ向かっていた…。

日記によると奥の仕事場兼書斎の部屋に例の骨董品があるらしい。

廊下にはホコリが積もり、足跡がつく…。


「ここだな…行くぞ!」


バンッ!


勢い良く開けて中に転がり込んで中の制圧に掛かる…、だが、書斎には沢山の本棚と机しか無く何も居ない…。


「何だよ…何も無いのかよ…」


「骨董品と言ったな?どれだ?」


本棚に紛れて様々な壺や置物が置いてある棚を見つける。


「そもそも壷なのでしょうか?」


「でも置物もあるよ?」


「全部壊すか?」


「それでもいいと思うぞ」


「よし、じゃあ俺が壊そう!…はっ!」


俺は鞭を振るった…だが…


バチィ!!


見えないバリアのような物に弾かれてしまう…。

そして…


"くきゃきゃきゃきゃ!!"


例の笑い声と共に部屋の壁が無くなり石で出来た様な足場しかない空間に変わる…。


「やっぱりそう簡単には壊させてくれないよな!」


"お前らには倒せねぇよ!"


声のしたあたりには30代程の上質な服を着た男性が立っていた…、恐らくこの屋敷の主人だろう…。

その男の周りには先程2階の部屋にあった気味の悪い人形が飛び回ってる…。


人形の手は鎌や斧や弓など様々な武器を持っており気持ち悪い動きで動き、目の部分が黒く何もない空間でこちらを捉える。


「「キモっ!?」」


"せいぜいほざけ!"

"今からお前達は俺の力に変わるんだからな!"


弓を持った人形が動作なしで矢を放つ…、俺はそれを鞭で掴み、逆に投げ返す。

人形は首の動作だけで躱してしまう。


「小吉!アレは操れないのか!?」


「……無理だ…アレは本物じゃなくて分身みたいなものみたいだ…」


俺は斬りかかってきた鎌を持った人形を鞭で掴み、別の人形に当てる…、やはり効いて居ないようだ…。


マニとイナリはうっすらと効いている様で2人で何とかしてくれている。


「ライアー!ナノ達を守るぞ!」


「分かった!」


そういってライアーはライオネルに跨り、精霊武装の槍を手に持って迎撃する。


(あれ?ライアーの攻撃が意外に効いてるぞ…もしかして1番役に立ってないの俺だけ!?)


(今回いいところは無かったからな!小吉の為に頑張ろう!)


ショックでしょげてる小吉を尻目に、ちょっとにやけ顔で攻撃をするライアー…。


「ヤバイな…数が多いぞ!……くっ!逃げろ!ナノ!」


人形が1匹すり抜けてナノ達に迫る!


(((無理っす!?)))


ガキィィン!


人形の剣がナノに迫ったところでリリーが刃物に変えた尻尾で抑える…。

リリーはそのまま弾くと人形の腕を体を回転させて切り捨てる…。


(私だって最近調子がいいのよ!)


ドヤ顔でナノの頭でふんぞり返っているリリー…。


(ご主人様!後で撫でて!)


「あぁ、はいはい!分かった分かった!」


「♪〜〜♪♪〜♪〜」


"ぐぎゃぁぁ!?"


ズバッ!ズババババッ!


音速で飛行してるトトーナが歌いながら人形を切り裂いたり、羽を飛ばして蜂の巣にしたりする…。


(やはり1番効いているな…)


それに、トトーナの歌のお陰で元気が湧いてきた。


"くそぉぉ!何なんだ貴様らは!?………この人間がどうなってもいいのか!?魂ごと破壊するぞ!"


数が減って、弱った人形が屋敷の主人の首に鎌を当てる…。

くっ!?人質か!?


「トトーナ!戻れ!」


「はーい!」


"やはりこの人間が惜しいようだなぁ!お前達を依代にさせてくれたらこいつは解放してやるよ!"


"そうはさせない!"


"ぐっ!?何だ!?体が動かない!? "


「はっ!?…トトーナ!やれ!」


「はい!…えいっ!」


トトーナが放った羽が全ての人形を撃ち落とす。

その瞬間、周りの景色が崩れさり、徐々に夜明け空が広がる…。


"邪魔をしやがって!くそぉぉぉ!!"


最後に一風かわった人形が落ちてきた…、俺はそれを鞭で粉微塵にする…。


"ありがとう…小吉さん!"


最後に姿こそ見えなかったが、目の前からあの少女にお礼を言われた様な気がした…。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はいはーい!天国はこちらでーす!案内人を努めますのはみんなのアイドルクロトちゃんでーす!」


ジーパンに薄い白いシャツにサンダルというなんとも言えない格好のクロトが「天国ツアー」と書かれた胡散臭い看板を持って立っていた…。

少女は屋敷の主人にギュッと捕まって警戒心MAXである…。


「えっ!?そういう反応しちゃう!?しちゃうの!?ショックだわぁ〜」


少女が哀れに感じた為、クロトに近寄って慰める…。


「しくしく…うん、ありがとう…お嬢ちゃん…」


「貴方は誰?」


「私は神様であーる!偉いのであーる!」


調子を取り戻したクロトは何時ものハイテンションでアホを晒す。


「所でお嬢さん!貴方はさっき、小吉さん達の仲間になりたいって思ったでしょ!不幸な人生になってしまったお詫びにその望み叶えてあげましょうか!?勿論特別ですが!」


「えっ!?」


少女はよく分からない事態に父と母達を見つめる…。


「行きたいのでしょ?行ってらっしゃい…私達はここで待ってるから…」


「そうだぞ。私達は大丈夫だ、あんまり自由にさせてやれなかったからな…最後くらい自分の好きな様にすればいいさ!」


「私達もここでご主人様達と待ちますよ、お嬢様…」


「それならばこちらでお待ちくださーい!」


そう言ってクロトが手を振ると「保留」と大きく書かれた家が出来上がった。中は割と快適そうだ。


「いいの?パパ?ママ?」


「ああ、勿論さ」


「貴方は生きることの素晴らしさを分からないまま死んでしまったからね…私達は十分知ってる、これをあなたにも理解して欲しいわ…」


「パパ!ママ!」


少女と父と母はしばらく抱き合っていた…。


「なんと素敵な光景でしょう!私、涙が出てきました…」


「それではこちらをお使いください…」


メイドさんがハンカチをクロトに渡した。



「ありがどうございます。…ゴシゴシ…」


メイドさんは嫌な予感がした…


ズビビビー!!


メイドさんがちょっと引き攣った顔でハンカチを受け取った…。

それを見ていた他のメイドと執事も顔が引き攣っていた…。

クロトさんとしては少しでも小吉の苦労を少なくしようとしてるっぽいです!


※33話になっていたのを32に修正(14/8/12)

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