31話 黒い影の呪い-2
キリが悪いね…。
仕方ないね!
夏にぴったりのホラー回です!
部屋の温度が寒くて書いてる最中寒気が凄かったです…。
「…小吉!!」
外に出るとライアーが思いっきり抱きついてきた…。
妙に体が震えている様だ…。
「どうした?そんなに怖かったのか?」
「みみみ見たんだ!ゆゆゆ幽霊を!」
まさか…
「どんなだった!?」
「し、信じてくれるのか?」
「ちょっと訳あって信じざるを得ないんだ…で、どんな見た目だった?」
「く、黒い影が道の真ん中に…で、いきなり消えたんだ…私も疲れてるのかと思ったのだが…嫌な予感がして振り向いたら…後ろにいて笑ってたんだ!」
やっぱりか…。
恐らく見間違いではなく絶対に居る。
しかし何故だ?骨になっていた"彼"の日記ではかなり時間が経ってから襲ってきていた…、その間、何故襲われなかったのか…。
「落ち着け…大丈夫だ…抜け出せそうな手掛かりはあった」
「本当か!?早くここを出よう!もう嫌だ!」
「ふぁ〜あ…何事ですか?ご主人様?」
トトーナの頭の上に移動させておいたマニが寝ぼけ眼で起きてきた。
逆にいままで起きてこなかったのが不思議だ…。
「ちょっと大変な事になった…変な場所に閉じ込められたんだ」
「えっ!?それってどういう事ですか!?」
「俺にも分からないが、此処がかなり危険な場所だというのは分かってる…」
"あひゃひゃひゃ!"
ビクッ!
突如響きわたった声?に3人が驚く…。
「何ですか!?これ!?頭に響いてきましたよ!」
「もうやだ…お願い…帰らせて…」
マニは驚きながらも冷静になり、ライアーは耐え切れなかったようでその場に蹲って耳を塞いでいる…。
(さっきの日記では気にしてなかったが年が昔の物だった…もしかしたらその時よりも強力になってるとしたら…)
バン!バン!バン!
突然後ろの玄関の扉の中から戸を叩く音がした。
咄嗟にライアーを抱え上げてその場から退避する。
バァン!
戸が壊され、倒れる。
そして中に居た奴が外に出てきた…。
「な!?みんな起きろ!逃げるぞ!」
腐敗臭を漂わせながら覚束無い足取りで半分幻覚の様になって、半分実体化した様な人型の何かが現れる…。
全員を起こすととにかく逃げる事だけを伝えて走り出す。
状況がよく分かっていないイナリとトトーナとリリーをナノ達に乗せて走る。
「何なんですか!?あれ!?」
「俺も知りたいわ!!とにかく安全な場所へ!」
「安全な場所なんてあるんですか!?」
「知らん!」
「帰りたい…もう怖いのは嫌だよぉ…」
「大丈夫だ!ライアー!何とかしてやるから!気をしっかり持て!マニ!追ってきてるか!?」
「……大丈夫みたいです」
「そうか…一先ずは安心だな……で、ここは何処だ?」
周りを見渡すとさっきは無かった噴水のある広場に居るのが分かった。
広場はかなり広いので周りを見渡せば例え黒い影が来ても先に発見出来るだろう…多分…。
近くの民家に慎重に入り、二階の部屋を借りる。
「ここでしばらく休もう…俺が見張りをするからゆっくりしてくれ」
イナリとマニとリリーとナノ達は完全に起きてるので大丈夫だろうが、トトーナとライアーが怯えてしまっている…特にライアーは震えが止まらなくなってしまっている…。
「待って!行かないで!」
普段のお硬い騎士の様な口調は無くなってしまっている。
それだけ必死なのだろう…。
仕方ないので窓を開けて監視する事にした。
…
……
………
約1時間位が経っただろうか…、俺は見張りのついでに月の位置が動いてない事を確認した。
これで完璧に閉じ込められている事が分かった。
「ライアー、落ち着いたか?」
「うん…」
「トトーナも大丈夫か?」
「うん、ありがとう、パパ…」
「お前達も大丈夫か?」
「はい!大丈夫です!お化けなんてバッサバッサと倒してやりますよ!」
「ぼ、僕も!だ、大丈夫…です!」
(((お気遣いありがとうございます!我々も準備万端です!)))
(私はポケットに居ればいいので大丈夫です)
マニはその場でシャドーボクシングの真似をして、イナリは耳と尻尾を畳んでぷるぷるしている。
ナノ達はやる気に満ち溢れた表情で指示を待ち、リリーは刃物から普通の尻尾に戻ってる尻尾をふりふりして遊んでいた…。
「大丈夫そうだな…。じゃあ、これからの事を説明する。まずはこれを見てくれ」
「何ですか?これ?…日記?」
「そうだ。俺が最初に入った民間の奥で死体を見つけた時に傍にあった。恐らくその人物が書いたのだと思うが…。まぁそれはさておき、三枚目の裏に書かれた一文にあの黒い影が守っている場所があるらしい…、そこに行けば何か分かるかもしれない」
「でも…黒い影にはどうすれば…」
「それはこれから調べる。そこには物理攻撃は効かないとあるから魔力で攻撃してみようと思う。ちょうど魔術の得意なやつは居るしな。それと聞きたいんだが、誰か除霊みたいな魔術使える奴はいないか?」
「小吉、除霊みたいな魔術が使えるのは上級神官だけだ…多分使えないと思うぞ…」
「そうか…なら仕方ないな。とりあえず見つけたら魔術を使って攻撃をしてみよう。俺はマヤから魔装具を貰ってるからそれを使う、よし!行くぞ!」
そう言って立ち上がった時…
"あひゃひゃひゃひゃひゃ!!"
"ひーひっひっひっひ!!"
"くきゃきゃきゃきゃきゃ!!"
様々な笑い声が頭に響いてきた!
とても不愉快な声と共に部屋のドアをガンガン叩く音が聞こえる…。
ヤバイと思って窓の外を覗くと…
「おいおい…マジかよ…」
ぱっと見100人分位の黒い影が集まってきていた…。
"あひゃひゃひゃーー"
"ひっひっひっひーー"
"くきゃきゃきゃーー"
突然全ての音が止み、影も消えた…。
「一体どうなってるんだよ…」
しばらくの間、部屋を静寂が支配する…。
ライアーは再びパニック状態に戻ってしまい、マニとイナリが宥めてくれている…。
バンッ!!
全員が驚き音の発信源…部屋のドアを見詰める…。
バンッ!!バンッ!!ガシャア!!
ドアの真ん中部分が壊れて破片が舞う…。
壊れた穴から目が覗き、全員を捉える…。
"ミーツケタ…"
(((「「ぎゃぁぁぁぁぁ!!?」」)))
俺&マニ&ナノ&ピコ&マイ
(「「「きゃぁぁぁぁぁ!!?」」」)
ライアー&イナリ&トトーナ&リリー
全員が絶叫を上げてパニックになり、窓から外へ逃げる…。
何とか冷静に戻った俺は最後尾に着いて全員を窓から逃がす。
最後に気絶してるトトーナを連れて俺も外に出る。
幸い黒い影は外には居らず簡単に逃げられた。
「おい!待て!バラバラに逃げるな!集まれ!」
ナノ達は左、マニ達は真ん中、ライアーは右に逃げてしまった…。
おいおい!止めてくれよ!マニ達は多分大丈夫だと思うがナノ達とライアーはヤバイだろ!?
考えた結果、ナノ達は逃げ足は速いので多分大丈夫だと判断してライアーを追いかけた…。
…
……
………
(ん?此処は……は!?小吉達は!?)
ライアーは痛む頭を抑えて立ち上がる。
頭を触ると血がべっとりついていた…。
(そうだ!私は逃げる時に慌てて足を引っ掛けたのだったな…)
先程のパニックの時に窓枠に足を引っ掛けて頭から地面に落ちて気絶していたのだ…。
つまり"先程の民家の前"にずっと居たのだ。
(うぅ…頭が痛い…このままじゃマズイな…)
ライアーは自分の服を破ると頭に巻き付けた。
(これでしばらくは大丈夫だな…。ところで小吉達は?)
広場に取り残されたライアーは中々動かない頭を働かせた…。
(!?……もしかして、私は今1人なのか!?)
ザッザッザッ…
ビクッ!!
「し、小吉なのか!?」
「あぁぁああぁー?」
後ろを振り向くと腐敗した男性が路地の暗がりから現れた。
「うわぁぁぁぁ!?」
先程の恐怖が蘇って全力で足を動かして走った…。
…
……
………
「ハァハァ…ライアー!止まれ!俺だ!…ハァハァ…」
おかしい…あいつってあんなにも速かったか?火事場の糞力って奴か?
おっ?路地に入っていったぞ!マズイ!見失う!
路地に入ると俺は驚愕を禁じ得なかった…。
「な!?何で行き止まりなんだよ!?」
目の前にはただの行き止まりがあり通れる様な場所は無い…。
おかしいな…確かにライアーはここに入った筈だ…、とりあえず戻るか。
と、後ろを振り向くと…
「!?……なんだ、ライアーか…驚かせるなよ…必死に追いかけてたんだぞ?」
ちょうどさっき曲がったあたりにライアー?が立っていた…。
だが何か様子がおかしい…。
「?…どうした?ライアー?怪我でもしたのか?」
「………………ひゃ…」
「すまん、もう一回頼む…」
「あひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
今度は顔をあげて盛大に笑い出した。
全身から黒い煙が登り黒い影に戻った!
「クソ!偽物か!?本物は何処へ!?」
俺は右手に鞭を取り出すと黒い影に的を絞って振るう…、だが当たりはしてもダメージが入った感じがしない…ただ、魔力を嫌う様に後退するだけだ…。
(マジかよ!?これで食らわないのかよ!?)
だが、少し隙が出来たので走って逃げ出した。
(とにかくあいつらを探さないと…)
…
……
………
一方マニ達は…。
「うきゃきゃきゃきゃ!」
「ひゃあ!?追ってきた!?お姉ちゃん!逃げようよ!」
首をカクカクと動かしながら黒い影が迫ってくる…、リリーを抱えたイナリが逃げる事を提案するが…
「待って!黒い影は足が遅いみたいだから色々と試してみましょう!……ブリザードランス!」
マニが止め、得意な魔術を放つ。
かなり速いスピードで発射された氷の槍はいとも容易く直撃…だが…
「えっ!?効いてない!?」
思いっきり吹っ飛ばしただけで何事も無かったかの様に立ち上がる…。
「そうだ!なら動けなくすれば!……ブリザードプリズン!」
詠唱により発生した吹雪が黒い影を凍てつかせる…。
みごとな氷像が出来上がった。
「やった!これなら大丈夫です!」
「う…うきゃきゃきゃきゃ!」
突如氷像の中の黒い影が霧散する…
「くけけけけけけ!!」
そして後ろから声がした…。
「「(うぎゃぁぁぁぁぁ!!?)」」
「お姉ちゃん達!伏せて!」
咄嗟にしゃがむイナリとマニ。
もっとも、マニはしゃがむ必要が無いのだが…。
音速で飛来したトトーナは黒い影を引き裂いて突き飛ばす。
引き裂かれた黒い影はその場で苦しげな声を上げて消えた…。
「大丈夫か!?お前達!」
「「(ご、ご主人様!)」」
「あぁ、はいはい、怖かったな…もう大丈夫だ…」
小吉はナノ達を先に見つけていて、空からトトーナにマニ達とライアーを探してもらって居たのだ。
「むぅ…助けたのはトトだよ!」
「ふふふ、ごめんね、トトーナ…ありがとう!」
「ちゃんと感謝してますよ!ありがとう、トトーナ!」
(ありがとう、トトーナ!)
全員がちゃんと感謝して礼を述べる。
それよりも、さっきトトーナが攻撃した時何故か倒せたのが気になる…。
「トトーナ…さっき黒い影を攻撃した時、何をやったんだ?」
「ん?…うーん…いつもどおり!!」
うーん…分からん!
倒せる事が判明しただけでも儲けものだと考える事にした…。
「とにかくライアーが心配だ!探すぞ!」
「「はい!」」
「うん!」
…
……
………
「な、何で増えてるのよー!?」
ライアーは現在、凄い量の黒い影に襲われていた…。
「きゃぁ!」
途中で躓いて転んでしまった…。
「もう嫌だよぉ…助けて…小吉…」
頭からはたいして塞がっても無いのに運動した為、依然として血が流れ出している…。
そして、転んだ時に頭を打ったので、それが原因で立ち上がる体力と気力までも持っていかれてしまった。
(駄目だ…力が入らない…目も霞んできた…あぁ、小吉ともっと色んな事をしたかったな…)
そのまま再び気絶してしまった…。
…
……
………
「パパ!こっち!ライアーお姉ちゃんの声がした!近いよ!」
「よし!でかしたぞ!案内頼んだ!」
「うん!こっちだよ!」
ナノ達に乗って街を走っている。
先程とは比べ物にならないほどの黒い影が湧いているが今のところはまだ大丈夫だ。
たどり着くとちょうどライアーが襲われる所だった。
「うぉぉ!やめろ!」
精一杯伸ばした鞭を使いライアーを掴んで回収する。
その直後、黒い影が持っていた斧やら鎌やら槍等が地面に突き刺さる…。
「うわっ!……っと!…ふぅ…何とかなったな…にしても凄い怪我だ…早く手当てしないと!」
「ご主人様!あれ見てください!」
「どうした?マニ?…ん?……あそこだけやたら黒い影が多いな。!?そうか!あれが日記の中の…」
それはどうやら建物の様で、一般の人から見た豪邸みたいな感じの家だ。
その周りにはさっき広場で見た時と比べ物にならないほどの黒い影が集まっている…。
「マニ!あそこまでの道を開けるか!?」
「大丈夫です!やります!」
「よし!ナノ達!お前達は全力で走れ!行くぞ……フルパワーギア!」
「ロックシールド!…えいっ!」
マニは空中で生成した直径3m程もあるデカイ岩の円盤を投げつけた!
どんだけ力あるんだよ…。
ちょっと背筋が凍る感じがしたが味方なのでよしとした。
円盤はいい具合に黒い影を吹き飛ばし、その後ろに距離を置いてぴったりとついていく。
「今だ!飛べ!」
(((了解!)))
家の手前で大きくジャンプをして2階の窓を突き破って侵入する。
ズドーン!
恐らく円盤が突っ込んだ音だと思われるが気にしない。
「此処に手掛かりがある筈だ。手分けして探すぞ!」
そうして俺達は館の捜索を開始した…。
"ユルサナイ"
※誤字、脱字の改善
(2014/8/28)




