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『プチ』モンスターテイマー  作者: BIG PURIN
神々と封神晶
30/95

30話 黒い影の呪い

前半は前の続きですが、後半からは別のお話になります!


夏ですねぇ…ほら…貴方の後ろにも…

「う!美味い!美味いぞぉ!」


「こら!大人しく食べなさい!お預けにするぞ!」


マヤが突然雄叫びを上げて立ち上がるので

反射的に言ってしまった…。

お母さんかよ…。


「す、すまん…あまりにも美味いのでついつい…」


「どうしたんです?今の雄叫び?ジェットさんの場所まで聞こえて来ましたよ?」


お盆を持ったイナリとマニが戻ってきた。

片足が無いためイナリが料理をベッドまで持って、マニがそれに付き添ったのだ。


「おぉ!これはこれは料理長!全く素晴らしい料理だ!是非ウチの店の専属料理人にどうだーー」


「おいそこやめろ!その子達はウチの最高戦力だ!!」


「そうです!僕達はご主人様以外には仕えません!り、料理を褒めて貰ったのは嬉しいですけど…」


「そうですね!作った料理がこんなに褒められるとは…まさに料理人冥利に尽きますね!!」


おい…お前は料理人じゃないだろうが…。

確かに美味いが…、飲み込みがいいのかな?


「そうか…なら仕方が無いな…」


ガックリと項垂れるマヤ…、ついでにアルーノも項垂れる…。

常日頃の食生活が窺えるな。



……


………


食事が終わって、今は食後の香茶を楽しんでいる最中だ。


「美味しい料理をありがとう!料理長!」


「そこまで喜んでもらえるとこっちも嬉しいです!」


「いっその事僕達、料理人目指そうかな?」


「そうですね!」


「やめてくれ…お前らが抜けると洒落にならん…」


「「冗談でーす!」」


してやったり、みたいな顔で楽しそうにニヤニヤしてる2人を見て、怒る気も無くなってしまった。


「本当に愉快だな!お前達は!……で、本題だが、今回の武具作成なのだが、防具は作るが武器の方はこちらに任せてもらえないだろうか?」


「ん?どういう事だ?」


「最近開発した魔道具の威力実験を代行してもらいたいんだ。……これだ」


そう言ってマヤは懐からシンプルな銀色の指輪を取り出してきた。


「それは"魔装具"と言ってな、自身の魔力を込めて使う武器だ。こんな感じにな……!」


シュン!


指輪を填めたマヤの右手には黄色に光る両刃の剣が収まっていた…。


「「「「おぉ!」」」」


俺達はみんな驚きの声を上げた。

まるでライト○イバーみたいな感じだな!


「使用者の魔力に応じて形が変わるのが特徴だ。それぞれが最も長けた武器として現れてくれるはずだ」


「ちょっとまて、それって高いんじゃないか?」


「確かに高いが、命の恩人なので今回はサービスしよう!それにこれは一般に売り出す事は無いと思う…。既存の武器よりも遥かに強力だが、魔力をより多く消費する。つまり、一般人には扱えないのだ。具体的に言えば一分で500程度持っていかれるな…」


「なるほど…、多分俺達ならその点は問題ないと思うぞ」


「だと思ったよ!アタシの目に狂いは無かったね!ちなみに、これ1個しかないから無くさないでくれよ!作るのに一月は掛かるんだ!じゃあ早速試そうじゃないか!ささ、外に出て!」


目が輝いてるマヤに強引に全員が連れ出された…。


「じゃあまずは小吉からやろう!はい、これ!」


「お、おう…、こうか?…………!」


バシュン!


指輪を填めた右手には、全体的に青白く光った武器?があった。

手に持つ部分の先からは長い縄の様な物が垂れ下がっていて、先端には小さな刃物?がついている。


「鞭?俺使ったこと無いぞ?」


「あれ?おかしいな?本人が1番使いやすい武器になる筈なのだが?……まぁ!とりあえず使ってみてくれ!」


「あ…あぁ…。こんな感じか?」


バチィン!

………ズドーン!


近くにあった木が数本倒れる。

え?俺そこには攻撃してないけど…。


「実に面白い武器だな…」


いつの間にか変なゴーグル?を着けたマヤがニヤニヤしている。


「鞭の先端のナイフから鋭利な魔力が放出されていた…。自分の魔力なら制御できるのでは?…それと、今度は思いっきり魔力を込めて振ってみてくれないか!?」


ゴーグル越しでもかなりワクワクしてる感じが感じられた。

仕方無いので思いっきり魔力を込めて見る…。


「あれ?変化しないぞ?」


「大丈夫だ!振ってみろ!」


と、とりあえず降ってみるか…。


ズゴォーン!!


まるで竜巻を威力を数十倍まで上げてそのままに範囲を極限まで小さくしたような真空刃の嵐が木々を粉微塵にしていく…。


「…なぁ?小吉」


「何だ?ライアー?」


「ハンニバルの衝撃波が子供みたいだな…」


「俺もそれ思った…」


俺達はぽけー、っとその惨事にあった現場を眺めていた…、ただ一人を除いて。


「凄い!凄い!跡形も無いよ!」


自分が作った物が、物凄い威力を発揮した事に対して興奮してテンションがぶっ飛んでる。


「ちょっとこれは練習が必要だな…」


「私もゾッとしたぞ…」


そんな空気では実験どころではないのでお開きになってしまった…。



……


………


小屋に戻ってからマヤもジェットも工房に戻りたいと言ってきたので一行は街に戻ってきた。

工房に入ってからは俺とライアーの採寸をして欲しい武器や防具の要望を出した。

ライアーは槍を、イナリは自分の愛刀を鍛えてもらう事にし、トトーナには新しく護身用のナイフを作ってもらう事になった。

そして、俺のは何故か例の魔装具を使う方向になってしまっていた…。


完成までは約一週間かかると言われたのでそれまでは各自のんびりと過ごす事なった。


その日はもう日が暮れてから大分たって深夜になっていたのでとりあえずバイエル達の所で休む事にした。


その帰り道…


「すっかり夜だな…」


「そうだな…ちょっと怖いぞ…」


俺は寝ているトトーナをおんぶしていて、頭にはこっくりこっくりと舟を漕いでいるマニを乗せて歩いてる。

ライアーは月が出ていて比較的明るいお陰で何とかなっているがそれでもかなり怖い様で腕にしがみつきながら歩いてる…。

イナリは眠そうな表情で俺の服の端を摘んで歩いてる。

ナノ達も今日は全力で走らせた為に疲れて眠そうな表情をしてる。

流石にこの状況でナノ達には乗れないので仕方なく歩いているのだ…。


「それにしても人が居ないな…」


時刻はおよそ2時くらいなので当たり前と言えば当たり前なのだが、それを加味しても気味が悪い程に誰も居ない。


「こ、この時間帯だから…し、しょうがないと思うぞ…」


「ライアーもしかしてお化けとか駄目なタイプ?」


「お、お化けくらい平気だぞ!むしろ居るなら来てみろと思ってるぞ!」


ライアーは腕を組んで歩いてるので震えているのがよく分かる…。


「流石にこの時間に辺りを明るくするのは非常識にも程があるよな…」


「そ、そうだな…は、早く帰りたいのだが…」


もう泣きそうな表情で必死にしがみついてくる。

可愛いくて癒されるのはいいがこの状態だと流石に歩き辛い…。


「ほんのちょっとでいいから離れてくれないか?歩き辛いんだが…」


「い、嫌だ!絶対に離れないぞ!」


深刻な顔で見上げてくる。

ちょっと目が潤んできていた…。


「あぁ…はいはい…掴んでてもいいよ…」


流石にあそこまで必死になられると引き離せないな…、俺が甘いだけか?


「ん?」


その時、俺は遠くの道の上の真ん中に"いきなり"人影が現れたのを見つける…。


「ど、どうしたんだ!?小吉!」


反射的にライアーを見てからまた前を見ると"消えて"いた…。


(疲れてんのか?俺?)


「いや、何でもない…疲れただけだ…」


「そ、そうか…驚かせないでくれ…」


「す、すまん…」



……


………


「あれ?来る時こんな道通ったか?」


しばらく歩いていると見覚えの無い道に出た…。

俺は1度通った道なら確実に覚えていられる人間なので周りの景色を見て自分の記憶と確認する…。


「み、道を間違えたなら戻ればいいんじゃないのか?」


「それもそうだな…」


(おかしいな?今まで一度もこんな事にはならなかったんだがな?)



……


………


「ん?ここさっきも来たぞ…」


「えっ?そうなのか?私は方向音痴だから全く分からないのだが…」


(ありえない…いくら道が曲っていたとしても"真っ直ぐ進んでたのに"同じ場所に出る筈がない…)


そう、ここはさっき"引き返した場所"なのだ。

先程、ここから"真っ直ぐ"引き返したのだ。


(景色も全く同じだ…ここまで同じ様な場所を作る何て無茶にも程があるしな…)


「ちょっと俺の勘で進んで見てもいいか?」


「べ、別に戻れるならいいぞ…早くベッドに入りたい…」


「ご主人様…僕もう疲れた…」


「もうちょっと待ってくれ、イナリ。直ぐに着くからな」


そう言って眠そうに見上げるイナリの頭を撫でる。

イナリもちょっと元気が出たようで安心した。



……


………


やはりおかしい…また"同じ場所"に出てきてしまった…。

俺はイナリ達をパニックにさせない為にライアーにだけスキルを使って現状を伝えた。


(ライアー…落ち着いて聞いてくれ、此処は何かおかしい…また同じ場所に出てきてしまった…)


(つ、つまりどういう事だ?)


(俺の予想だと"何か"に閉じ込められた…)


ビクッ!!


ライアーは凄い冷や汗とぎこちない動きでこちらを伺ってきた…。

完全に泣いてる目でイヤイヤと訴えてきた。


(とりあえず休める場所を探そう)


コクコク!!


"此処"に来てから一度も明かりの付いた家を見ていない…明らかに異常だ。

コルスタンでは夜に出歩けば必ず2.3軒は明かりが付いていたのだ。


「ちょっと民間に人がいるか見てくるよ」


「!?…大丈夫なのか?見つかったら衛兵に突き出されるぞ!」


「大丈夫だ。見つからないように行くし、見つかったらちゃんと事情を説明して、無理なら金を掴ませる!」


我ながら中々にアホな行動だと思うが何故か"居ない"と確信出来た。


"引き返した場所"のすぐ横の民間に近寄って玄関口の前でみんなには待機してもらった…。

音を立てない様に玄関を開けてく。


(ちょっとお邪魔しまーす…)


中に入るとキッチンや机等のこの世界でと生活の基本の様な場所だった。


(生活の跡が無いな…)


各所にホコリが溜まり、うっすらとだが足跡がつく。


(確実に人は居ないな…)


奥の部屋に向かって行く…。

玄関口から左に通路があり、その先には2つ部屋があった。

まずは手前の部屋を覗く…。


(誰も居ない…)


中は窓際にベッドと机とイスがあり、入ったすぐ横にタンスがあるだけの簡素な部屋だった。


もう一つの部屋も同様な感じの簡素な部屋だった…ただ1つを除いて…。

部屋の中央にぶら下がった紐…その下には…


(!?…骨!?)


バラバラになった骨が転がっていた…。

そこの床だけ腐っていた…。


俺は明かりの魔術を使い中に入ると腐食した様な嫌な匂いに鼻を抑えた。

中に入ったのには理由があった。

中に文字が書かれた紙切れが数枚落ちていたからだ…。


その紙を拾い上げて読んでみる…どうやら日記のようだ…。


××年×月×日


仲間とのランク昇格祝いで飲み過ぎて、すっかり深夜になっちまったが帰らないと妻が怖いので泊まっていく仲間を置いて一人で帰る事にした。

だが帰る途中で迷子になっちまったんだよ!

どうしても帰れないので近くの民間に助けを求めた。

だが誰も出てこないので門の前で待つことにした。


××年×月○日


おかしい…朝が来ない…もう何時間も座っているはずだ…。

流石におかしいので近くの家を周りドアを叩いて助けを求めた…。

だが、誰も出てこなくて、怖くなって最初の家に入った…。

幸い、誰も居なかった為に帰ってくるまで使わせてもらおう!

出来るだけ物は動かさずにそのままを保って帰ってきたら事情を説明して謝ろう!

そうだ!それがいい!


××年×月△日


おかしい…やはり朝が来ない…。

お腹がすいた…。

それに誰かにずっと見られてる気がする…。

流石に喋らずに居るのは堪えるので紙とペンを借りて日記を付ける事にした。

もし誰かが同じ目にあったら参考にして欲しいと思う。


三枚目には裏にも書かれていた…。


××年×月□日


空腹が限界に達したので近くの家を回って食料を漁っていた。

もう人は居ないので遠慮なく漁った。

漁っていると黒い影を時々見ることがあった。

人だと喜びながら近づくがすぐにいなくなってしまう。


××年×月?日


あの黒い影は人じゃない!化け物だ!

俺を喰い殺そうと沢山出てきて襲われる!

今も部屋の外に居る!

何度も噛まれて体が痛い。

途中…変な家を見つけたがそこを守る様に黒い影が集まっている。

だがそこをどうにかしようにもこの体じゃ無理だ…。

黒い影に物理攻撃は効かない。

それだけは調べた。

もう限界だ…もしこれを読んでる人がいたなら、俺みたいに逃げるんじゃなくて立ち向かって欲しい…さよなら。


黒い影…その単語にやたら引っかかる物を感じた…。

恐らく1度俺は見ている。

とにかく戻ろう…。

"ニガサナイ…"


※誤字、脱字の改善

(2014/8/28)


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