21話 休日-1
ちょっと息抜きのお話に突入です。
今日、私はご主人様を除いた4人+ライオネルさんで冒険者ギルドに来ています!
ご主人様は後一週間は絶対安静でないといけないからです…。
何故かみんなが驚いた様子でこちらを伺っています。
ライアーさんが受け付けで前の迷宮の報酬について相談している間、私達は椅子に座ります。
「ねぇねぇ!ライオネルさん!」
「どうした?マニ殿?」
「ライアーさんってご主人様の事が好きなの?」
「あっ!それ僕も気になってたんだ。ねぇねぇどうなの?」
「聞きたい!聞きたい!」
流石に姉妹全員に迫られては困るライオネル…。
「……で、では…絶対にライアーに言うで無いぞ?」
「「「うんうん!」」」
「ライアーはな…それはそれはもう、夜も寝れないくらいに小吉殿に傾倒しておる…」
「やっぱりそうですよね!」
「ライアー姉ちゃん分かり易いもんねぇ!」
「けいとうって何?」
「夢中になるって事ですよ!トトーナちゃん!」
「あたしもご主人様には夢中だよ!」
「トトーナのはloveよりもlikeに近いのでは?」
「?…難しい事はよく分かんない!」
「ちなみに私はloveです!」
「なら僕もloveだよ!」
「じゃああたしもらぶ!」
(トトーナ殿は意味が分かって無いみたいだな……)
「何が「らぶ」なんだ?」
「「ひゃ!?」」
マニとイナリがビックリして飛び上がる…。
「えっとねぇ!マニお姉ちゃんとイナリお姉ちゃんとあたしがご主人様らぶなの!」
「「こら!しー!」」(小声)
「?……よく分からんが、ほら!サルナルが手を回してくれたお陰でちゃんと報酬が貰えたぞ!」
ジャラジャラ!
袋からは銀貨が80枚近く出てきました!
「わぁ!一杯です!」
「僕、こんなに一杯初めてのみた!」
「わぁい!キラキラだぁ!」
「ほぉ、これまた多いな…」
「これで当分の間の生活費は大丈夫ーー」
「おい!そこは俺達の特等席だ!さっさとどきやがれ!」
せっかくいい気分でいたのにガラの悪いお兄さん達が邪魔をしてきます…。
周りをみるとちらほらと空いてる席があります…。
ちょっとむかっとしたので文句を言ってやります!
「そこら辺にいっぱい席空いてるじゃないですか!?」
「お姉ちゃん!やめときーー」
「んだぁ?この生意気なチビは?とって食っちまうぞ!」
「やれるもんならやってみなさいよ!」
「お姉ちゃん!その辺にしときーー」
「亜人は黙ってな!!」
「亜人って…」
イナリはチラリとライアーを見て、少しだけ顔が悲しんでいるのがわかった…。
「兄貴はなぁ!なんと!あの!Rank Bのアシッドヴァイパーを倒した強者なんだぞ!」
「そうだそうだ!お前らみたいなちびっ子共なんてひと捻りなんだぞ!?」
(まだ子供で死にかけだったけどな…)
まさに虎の威を借るダニですね!
こういう人、私は嫌いです!
「貴方達の兄貴は女子供を甚振る趣味を持ってるんですか!?それに、他の人の武勇伝を振りかざして恥ずかしく無いのですか?私達のご主人様は強い上に優しいですよ?」
「お姉ちゃん!いい加減にしないとーー」
「兄貴!こいつ生意気です!締め上げちゃいましょう!」
「そうですよ!舐められてます!」
「やめな、お前達。お嬢ちゃん?そのご主人様とやらは何処に居るのかなぁ?お兄さん達、ちょっとお話があるんだよねぇ?連れの躾がなってないってな!!!」
ドンッ!!
私達5人以外のギルド内に居た人達がいきなりの音に驚きます。
その事に腹を立てたリーダー格が更に声を張り上げます。
「どうやら相当なお花畑脳らしいな!表にでな!俺が躾てやるよ!!」
「やってみなさいよ!むしろ私が躾てあげるわ!」
「もう止めなよ!お姉ちゃーー」
「さっきから五月蝿いんだよ!この亜人がぁ!!!」
イナリに向かってダニAが吠えます…。
何故かイナリがぷるぷるしてます。
どうしたんでしょうか?お腹でも痛いんでしょうか?
「さっきから五月蝿いのは貴様等のほうだぁーー!!!!」
「「!?」」
ゴガシャーン!!
なんて事でしょう!イナリがブチ切れてしまいました!
ダニAとBを掴んでギルドの外に投げてしまいました。その際、直線上にあった机や椅子を破壊してドアも粉微塵になってしましました。
「ココン!?ブブン!?おい!お前!ただで済むと思うなよ!食らえ!」
リーダー格が背中の斧をイナリに振りおろします!
ガキィィィィン!!
リーダー格の持っていた斧が綺麗に薄くスライスされてしまいました!?
恐る恐るイナリをみると……
「お姉ちゃん?覚悟はいい?」
ゴゴゴゴ!っと震えてます!
揶揄とかじゃなく本当に物がカタカタしてます!
「ご…ごめんなさーい!!」
「待なさーい!!許さないよ!」
とにかく逃げましょう!
このままでは危険です!
そうだ!イナリは飛べないのでお空へ逃げましょう!
ビュンッ!
「あっ。マニお姉ちゃん逃げた…」
「トトーナ達は先に行っててもいいですよ!待てー!お姉ちゃん!」
…
……
………
街がかなり小さく見えるくらいまで逃げて来ました!
「………ここまでこれば大丈ーー」
「こぉらぁー!待なさい!」
「何で空飛んでるのよー!?」
「イミテーション使えばどうって事も無いのだよ!フフフフフ…お仕置きの時間だよ…」
…
……
………
「さて、行くとするか…、ほら…トトーナ…ライオネル、行くよ」
リーダー格はぺた〜っと座り込んでいるので放っておく…。
外に出ると何やら騒がしい…。
「突然中から人が飛んでくるし、何かが驚くスピードで飛び出してったぞ!?」
「…おい!あんたら!生きてるか!?」
「…何か上空にいない?」
「本当だ…!?、落ちてくるぞ!!」
直後…
ズドーン!!!
ギルド前のちょっとした広場に小さなクレーターが出来上がる…。
「…何で…接近戦なら…私の方が上なのに…」
ガクッ!と力尽きるマニ…。
本当に何をしてるのやら…。
「イナリ、ちょっとやり過ぎじゃないか?」
と、ギルドから受付嬢が走り寄ってくる…。
すると、見事な営業スマイルで…
「今回の乱闘騒ぎで発生した賠償金の請求です!保護者のかたですよね?」
(私は保護者じゃないんだがなぁ…、えっとなになに?)
「…何か高くないか?」
請求書には翠貨5枚分(50万円相当)の請求があった…。
「それだけ強ければランクを上げて稼げますよ!」
「だそうだ…イナリ…マニ」
よいしょ!よいしょっと!
私がイナリの頭に登り終えるとライアーさんが話しかけてきました!
「今回は誠に申し訳ありませんでした…」
「ごめんなさいです…」
「ですー」
何故かトトーナも一緒に謝ってくれました…。
そんな子に育ってくれて、お姉ちゃんは嬉しいですよ!
「では、本人達も反省しているようですので、特例として、ランク外の依頼を受ける事を許可します!」
受付嬢の方の目がキラキラしてます…。
何だかミツルさんと同じ感じがします…。
…
……
………
私達は今、手分けをして高ランクの魔物退治をしています!
イナリはランクA-のキングオーガ。
トトーナとライアー&ライオネルはランクAのスカイカイトというフワフワしたエイみたいな魔物。
そして私がA+の…
「きゃー!?キモイですぅ!?」
ザザザザザ!!
「とにかくどっか行けです!」
体長7m程の毛むくじゃらな砂漠に住む蠍…このキングサンドスコーピオンです。
関節がキシキシ言ってます!
毛もわしゃわしゃと全部が動いてるのが分かりますし、口からは毒液が垂れ、付着した砂が毒々しい煙をあげながら溶けます!
「なんでこんなの受けたんでしょうか!?私の馬鹿!馬鹿!馬鹿!」
「キシャー!!」
「ぎゃあ!!寄るなですぅ!!」
飛びかかってきたスコーピオンを避け、脚の関節を殴りつけます!
ピシッ!
なんと!原型が無くなると困るので軽いパンチをしたのですが、ヒビが入る程度でした!
すると…
わさわさわさ!
「ぎゃあ!!気持ち悪いです離せです!」
毛が意思を持ったように絡めとってきます!
ですが力ずくで引き抜きます!
「甘いですね!…爆ぜろ!」
ドンッ!!
さっき殴った時に魔力を流し込んでおいたのです!
ついでに毛からも流し込んでおきました!
「ギシャー!!」
スコーピオンの脚が2本吹き飛びます!
じゅうじゅうー
飛び散った血が地面を溶かしていきます…。
環境に悪いですねぇ!
「シャー!!」
「わわっ!?そんな危ない血をまき散らさないでください!」
距離を取りましょう!ここは危ないです!
「…ロックウォール!…ブリザードランス」
ロックウォールで動きを止める事が出来ました!
止めにブリザードランスで岩ごと砕いてやります!
ガガガガガガガガ!!
見事に命中!スコーピオンは凍りついて粉々に砕けます!
「やりました!………あれ?どの部位が討伐の証だっけ?………全部持って帰ればいいですよね!」
…
……
………
「遅いなマニ…」
ライアーは壊れたギルド内の椅子にトトーナとイナリと座っていた。
トトーナは疲れて机に突っ伏して寝ている。
ライオネルは現在、ライアーの中で眠っている…。
「1番大物がいい!って張り切ってたのにね…」
「ちょっとばかり心配になってきたぞ…」
「すぴー……すぴー……」
「なんと言うか…メルヘンチックな寝息ですね」
若干の呆れ顔でトトーナを見つめるイナリ。
「トトーナも張り切ってたからな…。表のアレ、9割はトトーナが仕留めた物だ…」
壊れたドアの向こうには体長1m程の薄い魔物がうず高く積まれていた…。
「アレは疲れますね…、僕でもキングオーガ10体を持つのが精一杯でしたからね…」
「いや…どう持ったらあんなの10体も持てるんだ…」
スカイカイトの横にはキングオーガが10体積まれている…。
通りがかった通行人も驚きのあまりに口が開っぱなしだ。
ちなみに何故全部持ってきたのかと言うと、この2人も討伐の証となる部位を忘れてしまっていたからだ…。
「お待たせしました!報酬の精算が終わりましたよ!キングオーガ10体、及び素材買取で翠貨15枚。スカイカイトの山、及び素材で翠貨20枚。計翠貨35枚から今回の損害賠償を差し引いて30枚の報酬です!」
ジャラ!
「おぉ!凄まじい量だな!」
「早速ご主人様に報告しましょう!!」
「そうだな!」
「にしても…1日でアレを狩ってくる貴方達は一体何なんですか?ライアーさんはC+ですよね?下手すれば命がいくつあっても足りないですよ?…それと、ギルド長が今回の件について話したい事があるそうです。今よろしければ面会して頂けたらと…」
「仕方ないな…ほら、いくぞイナリ。…トトーナ…トトーナ!…駄目だ起きない」
はぁ、とため息をつきながらトトーナを抱えて受付嬢の後を追った…。
…
……
………
コンコンコン!
「失礼します!例の御方達をお連れしました!」
「入ってもいいぞ」
ガチャ!
ライアー達が入るとギルド長の容姿に驚く…。
綺麗な薄い紅色の長い髪に完璧なスタイル…、キリッとした目つきが更に整った顔つきを高嶺の花に見せてくる女性だ…。
ただ、驚いたのは向こうも一緒で…
(全員女性じゃないか!?それに子供?が2人!?)
「ま、まぁそこら辺に腰掛けてくれ…。で、今回の乱闘騒ぎ、及び1日で損害賠償の7倍を稼いだ者はお前達で間違いないのか?」
「はい、そうです。乱闘騒ぎを起こしたのはもう一人の仲間だが、まだ帰ってきてなーーー」
ズドーン!!
「なっ!?またか!?今度は何なんだ!?」
バタバタバタバタ!!ガチャ!!
「大変です!ギルド長!外にキングサンドスコーピオンと思われる魔物が!!」
「暴れてるのか!?」
「いえ!それが…氷漬けでバラバラになってまして…」
「バラバラだと!?有り得ん!貴方達は此処で待っていてくれ!」
そう言うとバタバタ!っと急いで駆けていくギルド長であった…。
「なぁ…それって…」
「多分僕も同じ事を考えてますよ…」
「「マニ(お姉ちゃん)だ…」」
2人は胃がキリキリするのを感じて、スヤスヤと眠るトトーナを酷く羨ましく思った…。
…
……
………
ガチャ!
「もしかしてコイツはお前達の連れか?」
ギルド長が片手で青い物体を持ち上げる…。
「そろそろ離しなさいよ!私はただ気持ち悪い蠍を倒してきただけじゃない!?………あれ?イナリとライアーさんじゃないですか!?この人横暴なんですよ!いきなり掴んで攫ってきました!」
「人聞きの悪い事を言うな!…でコレは貴方達の仲間?」
「コレって何ですか!?酷いですよ!ライアーさん達も何か言って下さいよ!…あれ?何で目を逸らすんですか!?」
(面倒な事になったな…)
(そうですね…1回放っとけばいいんじゃないですか?)
(だな…。いい薬になるだろう)
「私達は知らないぞ」
「そうです、知りません」
「だそうだ…とゆう訳で牢屋送りな…」
ギルド長も察して悪ノリしてくる。
「いやー!?ごめんなさい!何か分からないけどもうしません!!しばらく何でも言う事聞きますから許してくださいぃ!!」
(何か予想以上の効果を発揮してませんか?)
(まさかあんな顔で泣くとは思わなかったぞ…)
結局、マニを解放してあげてギルド長の話を聞くことにした…。
「申し遅れた…私の名前はグラッチェだ。以後お見知りおきを」
「私はライアーだ。で、こっちの狐耳の少女がイナリ、抱きついて寝てるのがトトーナ、で…さっきから泣いてるのがマニだ…」
「随分と子供が多いんだな…それも随分と変わっている…、旦那はどうしたんだ?」
「子供?旦那?………/////いやっ!?これは!違う!この子達は旦那ーーじゃなくて小吉の契約している魔物達だ…」
「ライアーさん…やっぱり貴女ご主人様の事そう思ってたんですね…」
じとー、とライアーをジト目で見つめるイナリ…。
「!?、断じて違うぞ!うんうん!違う!」
「まぁ、恋愛感情は置いとくとしよう…。で本題に入るとしよう。率直に言おう、私は君達をランクSに推奨しようと思う…。貴方達はここ数年で私が見てきた冒険者の中ではトップクラスで強い。先程貴方達がこなしてきた仕事もここ1ヶ月の間にこなせる者が現れなかったからだ…。そしてそれをこなしてくれて貴方達の評価は格段に高くなった、よってランクSへの昇格を認めるものとなった」
「通りであんな強力な魔物が多かった訳だ…」
「でも、ランクSって事は国にとっては重要な戦力ですよね?僕達はこれから世界を旅する予定なのですが…」
「そうか…確かにそれは困るな…」
「その辺りについては問題ない…、冒険者ギルドとは傭兵の集まりではあるが、国から縛られる事はまずない。あくまで所属は我々ギルドだ。」
「それは知らなかったな…」
「それならば是非受けましょう!悪い話じゃないですよね?」
「じゃあ、イナリちゃんとトトーナちゃんとマニちゃんにもきちんとステータスプレートを差し上げよう!」
「ステータスプレートって魔物にも使えるのか!?」
「そうだぞ。実際使う機会も無いから普通は分からないがな」
…
……
………
「ただいまー!!見てみてご主人様!あたしのステータスプレート!」
トトーナが俺の部屋のドアを開けて飛びついてきた…。
「あででで!!……頼むから飛びつく癖を治してくれ…。で?ステータスプレート?何でまた?……ん?ランクS!?」
「それとほら!!お金いっぱい!」
トトーナはジャラジャラした袋を小吉に渡す。
「随分と重いな……!?どんだけ入ってるんだよ…」
「おっ。いたいた…トトーナ、あんまり人に見せびらかす様な物じゃないぞ!」
ライアーと残りの娘も俺の部屋に入ってくる…。
何か、一気に騒々しくなったな…。
(ねぇ!マニお姉ちゃん、ちょっと…)
(どうしたの?イナリ?)
(ちょっとこっち来て)
ん?何やらイナリとマニが何かを話している…、と思ったら出ていってしまった。
「どうしたんだ?マニとイナリは…」
ガチャ!
「トトーナ!ちょっとあっちで遊ぼう!」
「わーい!遊ぶ遊ぶ!待ってーお姉ちゃん!」
タッタッタッタッ!
バタン!
結局部屋には俺とライアーが取り残された…。
ちょっと区切りが悪かったかな?
※誤字、脱字の改善
(2014/8/28)




