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魂喰い覚醒で最強へ成り上がるFランク少女、意識を奪う闇と共に歩む  作者: beck2026


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第四十三話:澱みの残響、偽装された死線

如月きさらぎ 三月みつき

十八歳。Fランク探索者。固有スキル『魂喰い』で魔獣の魂を喰らい進化する。

【能力】

固有スキル:『魂喰い』(魔獣が死に瀕した際、魂を捕食し強化・獲得)

獲得スキル:『怪力(中)』『俊敏(中)』『堅牢(中)』『気配察知(微)』『磁力操作(微)』『毒耐性(中)』『精密魔力循環(微)』

特殊ステータス:『魔力許容量の拡張』(肉体が許容できる魔力最大値が大幅に拡大)

【代償】:魔力という器が小さい状態で高次な能力を継承すれば、内なる獣の渇望に魂が飲み込まれる。三月は「魔力」という土台を地道に拡張・蓄積することで、獣の衝動を封じ込め、強固な理性を保ちながら進化を遂げている。

◆ 探索者協会

高橋たかはし:協会長。利益と管理を最優先し、三月を「駒」として囲い込む。

ガラン:調査員。

ヴォルグ:調査員。

◆ 組織・関連人物

「護民のイージス」:三月の家族を協会から隠匿するために組織した警護団。

鉄山てつやま げん:武器屋『黒鉄堂』店主。三月の実力を見抜く協力者。

第七層の深部、その「異常発生」の中心地にて、三月は毒の霧の中に独り佇んでいた。

周囲には、魔獣の死骸が山を築いている。協会が想定する「三月の戦闘力」を遥かに凌駕する数の魔獣が、ものの数分で屠られた証拠だ。

(……監視ログの同期、完了。高橋のモニターには、今も壁際で喘いでいる『弱い私』が映っているはずよ)

彼女は心臓に埋め込まれた監視回路を、毒の魔力網で完全に遮断し、高橋たちに送る映像と信号を別個に生成していた。これは協会が彼女に与えた「システム」を利用した、完璧なハッキングだった。

ふと、背後の闇が動く。

ヴォルグの影だ。彼は三月の生存能力を疑い、任務の進捗を確認するために、こっそりと後を追っていたのだ。

(……来た。今度は単独。なら、ここが私の演技の終着点)

三月はわざと『精密魔力循環』の出力を上げ、荒い呼吸音を響かせながら、毒の沼地に膝をついた。あえて『毒耐性』を一時的に過負荷状態へ追い込み、皮膚をわずかに変色させる。

「……ハァ、ハァ……っ! まだ、これだけしか……っ」

角を曲がってヴォルグが現れる。

彼は、三月が第七層の猛者たちを蹂躙した跡を見て、わずかに目を細めた。しかし、三月が作り出した「偽りの魔力ログ」と、毒に侵された今の脆弱な姿が、彼の疑念を強引に打ち消す。

「三月。……無様だな。これだけの魔獣を前にして、まだそんなところで足踏みしているのか」

ヴォルグは侮蔑の笑みを浮かべ、三月の髪を無遠慮に掴み上げ、強制的に顔を上げた。

「高橋協会長は、君に『さらなる進化』を求めている。だが、今の君を見ていると、埋め込んだ回路すら宝の持ち腐れのように思えるよ」

(……宝の持ち腐れ? そうね、あんたたちが私をそう評価してくれるなら、それでいいわ)

三月は恐怖に引きつる少女を演じながら、心の中で着々と魔力を圧縮していた。

彼女は今、あえてヴォルグの手の内にある「回路の干渉信号」を逆探知している。ヴォルグという調査員を、彼らが管理するメインサーバーへの「侵入経路」として利用するのだ。

「……ごめんなさい、ヴォルグさん。もっと、強くなりますから……」

「強くなるだと? 君に何ができる。……まあいい。今回の任務で、君の有用性が証明できなければ、その『心臓』はただの肉塊になるだけだ」

ヴォルグは三月を突き放し、背を向けて立ち去ろうとした。

(今よ)

三月はヴォルグが背を向けた一瞬の隙に、指先から極小の『毒の魔力網』を放つ。それは糸よりも細く、彼の影に溶け込んで、ヴォルグが腰に下げている協会の端末装置へと潜り込んだ。

ヴォルグは、背後で何が起きたのかに気づかない。

彼が本部へと持ち帰るその端末こそが、協会本部のセキュリティを内側から解体するための「トロイの木馬」となる。

三月は地面に倒れ込み、震える肩を抱きながら、去りゆく彼の背中を見送った。

(あんたたちが私を管理していると思っている間に、私はあんたたちの心臓を、その手で握り潰す準備を終えるわ)

彼女は、自分の中に住まう「怪物」が、獲物を仕留めた充足感に喉を鳴らすのを感じる。

力任せに喰らうだけではない。

「管理者」を騙し、彼ら自身に「破滅のスイッチ」を運ばせる。これこそが、彼女が迷宮の底で手に入れた、最強の捕食者の戦術だった。

あと数日。

協会が彼女の「真実」に気づくその瞬間まで、彼女は冷徹に、そして静かに、自分を「駒」として演じ続ける。

盤上の主役が誰なのかを知らないまま、高橋たちは破滅へのカウントダウンを続けている。

三月は迷宮の壁に背を預け、冷え切った毒の霧の中で、満足げに目を閉じた。

彼女の魔力は、今も器の中で膨れ上がり、より深く、より鋭く牙を研いでいる。

準備はすべて整った。

あとは、その時が来るのを待つだけだ。

第四十三話をお読みいただき、ありがとうございました!

第七層でヴォルグを欺き、彼が持ち帰る端末に「毒」を仕込んだ三月。

ついに彼女は、協会本部の心臓部へ直接攻撃を仕掛ける手段を手に入れました。

力と知略の両面で協会を翻弄する三月の戦いは、いよいよ決戦の時へ向かいます。

この話が面白い、続きが読みたいと感じていただけましたら、ぜひブックマークや**評価(↓の☆☆☆☆☆)**で応援していただけると、執筆の大きな励みになります!

それでは、第四十四話でお会いしましょう!

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